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SOLシンポジウム講演:ジャック・ヴァレ「真の科学的問題としてのUFO現象」

世界のUFO研究家の間ではもはやレジェンド級の存在といえるJacques ValléeがSOLシンポジウムに登壇。

ジョークを交えながら、UFO問題への真剣な科学的取り組みの必要性を訴えた。

発言要旨:

科学界がこのような問題に取り組み始めたのは素晴らしいことです。こうなるまでに65年待ちました! ご覧の通り、その間に私の髪の色は以前とは変わってしまいました。

この壇上に戻ってくるといつも少し懐かしい気持ちになります。 私はこのスタンフォード大学のキャンパスで4年近くを過ごしました。最初はシステム開発で、IBMより数年先を行っていた計算センターで働き、その後ピーター・スチュラック教授の下でプラズマ研究所で太陽コロナ、パルサーエネルギー、未確認飛行物体の分析モデルを開発しました。

時は 1972 年で、これらの宇宙に関わる3つの主題に多くの共通点があることは、少なくとも私たちにはすでに明らかでした。

今日はお話ししたいことが4つあります。

この写真に映っているのは、クリントン大統領と、1993年から98年まで彼の科学顧問を務めていたジャック・ギボンズ教授です。ジャック・ギボンズ教授は、太陽の構造とエネルギー保存を専門とする天体物理学者で原子力の専門家であり、それで彼にこの役目が与えられたのです。

アメリカの科学界と環境運動のスポンサーとして知られるローレンス・ロックフェラー氏が、米国におけるUFO問題を取り巻く秘密主義を取り除くようクリントン大統領に強く提案したとき、ギボンズ教授はこの科学顧問の地位に就いていました。UFOの問題は科学的なものである一方、主に政治的な問題でもあり、周知のとおり、機密は解除されませんでした。

1994 年 2 月、私はここサンフランシスコで開催された米国科学進歩協会の年次総会でギボンズ教授の話を聞く機会がありました。私はコンピューター・ネットワーキングの利用と産業および環境問題における危機管理に関するパネルディスカッションの一員として参加しました。ギボンズ博士は基調講演を行い、2つの質問を受けました。

聴衆の誰かが、ロックフェラー氏が地球の近隣にある未解明の物体の真実を明らかにすることをアメリカ大統領に求めているとき、あなたはアメリカ大統領にどのようにアドバイスするのかと尋ねました。聴衆からはいくつかの笑い声が起こり、その後、深い期待の沈黙が続きました。

ギボンズ博士はマイクを手に取り、ホワイトハウスの代わりに答えることはできないが、彼の個人的な状況を要約する短い話をすることはできると述べました。その話はここでの私の個人的な状況にも関係するため、お話しておきたいと思います。

ある晩、一人の老人が疲れて道沿いの草むらの中を歩いていました。歩いていると彼は異常な光が近づいてくるのを感じ、金色に発光する小さな冠をかぶっている奇妙なカエルを発見しました。彼がその発見に興味をそそられ、カエルを拾い上げ、ポケットに入れようとしたとき、カエルが話しかけ始めました。

この話はサンフランシスコ・ベイエリアのトリプル A の科学者全員の前で披露されたことをお断りしておきます[笑い]

カエルは、実際には彼女は意地悪な魔術師によってカエルに変えられた若い裕福なお姫様であり、彼がしなければならないのは彼女にキスすることだけだと説明します。 彼女は再び人間に戻り、彼らは幸せに一緒に暮らし、たくさんの素晴らしい子供たちを産むでしょう。

老人はしばらく状況を真剣に考えた後、私の年齢だとお喋りするカエルを持っている方がいいと言い、彼女をポケットに入れました。 [笑い]

この笑い話は、米国におけるUFO問題の歴史的状況に関して私がこれまで最高レベルの人物から聞いた中で最も明確な説明でした。
この人が大統領の科学顧問であったことを忘れないでください!

2番目にお話ししなければならないことは、私がこの素晴らしいキャンパスで過ごすようになり、大学の医学部のための汎用データベース システムの開発に雇われたときのことです。私はコンピュータを持っていたので、その機会を利用して、未解決のUFO事件のカタログを実装しました。 これは 1973 年のことであり、最も興味深い事例と説明可能と思われる事例を摘出するためのプログラムを開発しました。これは科学分野でデータをクリーンアップした最初の事例だったと思います。

この写真は、左から右へ、カリフォルニア大学バークレー校のジェームス・ハーダー博士、NASAのリチャード・ヘインズ博士、個人研究者のブラッド・スパークス氏、黒髪の私、アメリカ海軍のブルース・マカベ博士です。 スタラック教授はまだご存命で、ここパル・アルトに住んでおり、彼もまたスタンフォード大学でUFO研究を始めた最初の人でした。

当時、フランスの宇宙組織CNESは世界で3番目に裕福な宇宙組織で、赤道直下に基地を所有し、赤道から衛星を打ち上げることができたのは彼らだけでした。これは明らかに大きな利点です。 とりわけ重量級の衛星の打ち上げでは、クール基地からキャップ望遠鏡を打ち上げました。

CNESも同じ問題に関心を持っていて、事例の5%から10%のデータをクリーニングした後の有用なサンプルについて話し合っていたのですが、説明されている残りの事例は情報内容の点で貧弱すぎました。

誰もが知っているように、CNES の努力のおかげで、科学者にとって貴重なデータであるデータの割合は分析の結果現在2% まで絞り込まれています。それ以外の事例は、光学効果、観察エラー、目撃者の想像力の影響などによるものです。

ここカリフォルニアに戻った私たちの小さなグループには退役軍人も含まれていました。1943年頃、彼はマサチューセッツ州全般の米国北東海岸沿いでドイツ潜水艦の調査と探知を担当したと語っていました。

彼の部隊は統計を研究していましたが、彼は私たちの姿勢に強く反対して、UFO研究家は問題を後退させていると主張しました。彼の立場では、報告された事例の2%がドイツ潜水艦であることが判明した場合、状況は米国にとって実際に非常に深刻でした。彼は、陸軍が北大西洋の波の中のエノミー潜望鏡の検出に適用したのと同じ規律を UFO にも適用するよう私に勧めました。

それは私に多くの教訓を与えてくれました。彼は私にこう言いました。「あなたのやっている科学研究では、報告書の98%を説明できれば満足されるのです。それであなたは問題が解決したと信じています」

あのプロジェクト・ブルーブックの行った調査を考えると、空軍は議会に送った報告書の中で、2%を除いてすべての事例を説明したと述べていました。 アメリカ国民からは拍手が起こり、プロジェクトは解散して調査員たちは元の仕事に戻っていきました。

彼は、彼の仕事は諜報活動であると言いました。「私の問題はあなたの問題とはまったく逆です。 98% が説明可能なケースだとしても、残りの2%は我々を殺す可能性があります。それを検出し解明するためにはより多くの費用を投入しなければなりません。それが私たちの立場です」

私はその教訓を決して忘れていません。

政府機関(ARRO)が最近、事例の大部分が説明されていると議会に報告しましたが、それは私のような情報担当者にとって、調査がきわめて不十分であることを意味します。 大事なのは残りの2%なのです。

3番目にお話ししたいことは、キュリー夫人が実験容器内の説明のつかない放射線源を調査していた日々のことです。

彼女は数トンの原料に対して塩化ラジウムの 10 分の 1 グラムしか得られませんでした。しかしその 10 分の 1 グラムが彼女に2番目のノーベル賞をもたらしました。

UFOによって提起される科学的かつ戦略的問題は、無期限に未解決のままにしておくわけにはいきません。

一般市民がますます正確なパラメータを使って個人的な観察を報告しているだけでなく、ここ数年以来、防衛機関には、宇宙、大気、地球の表面の間の相関関係の観測を可能にする最新のシステムが装備されています。

CNES の努力により、目撃者の観察と当時の正確な気象測定値を関連付けることができるようになりました。当時は仮想の錯覚エラーや幻覚について推測を働かせていたのですが、現在では軍事宇宙の観察と、航空設備が整っている地方空港からの監視データを利用することができます。そこから得られる結果は非常に興味深いものです。

米国でも同じことが当てはまり、電子検出器と光学検出器を備えた航空機による驚くべき数の測定が可能になりました。これらの観測は数十分から数時間継続でき、非常に正確なデータ収集が可能になりました。

最後の4番目のセクションに移りましょう。曲線とグラフがあるのはこれだけです。結局のところ、ここはスタンフォード大学です。ノーラン博士が示したスライドには圧倒されたので、私も少なくとも 1つくらいはグラフを用意しないといけませんでした。これは圧倒的とは言い難いですが、興味深いものだと思います。

なぜこの現象は、多くの国民にとって、さらには国防総省にとっても、65年間も謎に包まれたままなのでしょうか。私はセキュリティを侵害して内部情報を探ったわけではありませんが、国防総省は私たちがここで取り上げているようなことについて、実際にどれほど大規模なことが起こっているのか全く分かっていないのは間違いありません。

答えはここでわかるように、非常に無視されがちな統計的な効果にあります。このグラフは次の方法で読み取ることができます。

まず観察者が事例報告をするために動機付けられる確率があります。誰かがあなたに報告書を送る動機を持っている必要があります。人々は自分の名前を新聞に載せたいなどの理由で常にそうするだろうと思いますか。それは真実ではありません。

観察者が報告書を送信する動機になる確率は、グラフの横軸の示す「経験の奇妙さ」に依存します。これはやや恣意的です。つまり、確かに私が作ったもので、ある程度の相関性はあると思いますが、実際のスケールとは違うかもしれません。

「奇妙さ」は定義されています。2つの急な丘で表されるグラフは 1 つではありません。分布は 1 つではありません。少なくとも2つの分布が存在します。 これは議会で証言するときに私たちが犯している間違いです。

2つの異なる分布があり、それらは「奇妙さ」のカテゴリーにおいて大きく異なります。カテゴリーの1つ目は、目撃者が空または地上で何らかの奇妙な動作をする異常な光を観察した可能性があることです。

彼らが当局にそれを通報する可能性は低いですが、この目撃情報は、私が4年間かけて一つ一つ調べた空軍のファイルにあるような、異常な生理学的反応と同時に発生したものも含んでいるかもしれません。

「奇妙さ」のカテゴリ2では、物体は複雑な形状や変位を持つ発光体のようなものとして定義されます。今朝のプレゼンテーションでそれらのいくつかについて言及されました。または、風に逆らって飛んでいるように見える空の球体です。 時には、それは明らかに静かで安定した光ですが、突然消えたので、人工衛星であるはずはありません。

そういったケースは、信頼できる公的機関に送られます。たとえば、何らかの形で個人的に接触した場合、そしてそれに付随する何らかの反応があった場合、おそらく 10 人中 3 人が報告すると思います。

パリ天文台での初期の頃、私たちは公務員として、フランス国民が私たちに送ってくる報告書に答え、説明する責任がありました。人工衛星は非常に重要なものとなり、そのための膨大な教育プログラムがあったため、そうしなければならなかったのです。 多くの人はソ連のプロパガンダだと思っていましたが、そうではありませんでした。空を見ても衛星はほとんど見られませんでした。

私たちは日中、夜間に観察し、日中は人々からの手紙に答えることを割り当てられましたが、それらのいくつかは未解明のままでした。空の真ん中で衛星が消えるのは、単にそれが日陰に入ったからでしょうか。地球の影が円錐形であることを人々は知りません。それで彼らはこのように進む光を見ます。そしてそれは消えます。それは神秘的に見えます。

これらのことはまだ説明可能ですが、カテゴリー3ではすべてが変化します。動機は切羽詰まったものとなり、人々は空軍や陸軍に電話します。オレンジ色の光が、孤立した場所であなたの車を追跡します。道路で飛行機のような発光物体が燃え上がり、隣の丘の後ろに墜落したようです。

何かの生命体が孤立した車に飛び込み、同時にエンジンが停止し、光の小隊がゆっくりと空を横切り跡を残し、翼のない飛行シリンダーが航空母艦の警報機を鳴らします。国民はこれらの観察に悩まされ、空母に乗っている人々も同様であり、すぐには説明が得られません。

私たちはそれらを警察の報告書で見つけますし、それらは公式ファイルを埋め尽くし、多くの場合、フランスのCNA、米国の地方空軍基地、または現在は国防総省などの関連機関の記録に残ることになります。レーダー基地や民間の部隊で目撃され、捜査官がデータを精査し、 パイロットや地域の技術機関と連絡を取ります。それが「ブラックヒル」です。レポート番号 1 、 レポート番号 2、 レポート番号 3 というように記録されます。

物体が車を乗り越えて前方の道路に着陸し、その後再び離陸した場合、それは「奇妙さ」のカテゴリー4に入ります。報告書は空軍には送られないかもしれず、おそらく地元の警察に送られるかもしれません。そして多くの場合、地元のジャーナリストか独立した研究者に送られるか、あるいは人々や職場の笑い者になるのを恐れて報告がない場合がほとんどを占めます。

スタンフォード大学に来てから10か月以内にベンチャーキャピタリストとして私を知っている何人のCEOが私のところに来て、このようなことについて相談してきたと言えば皆さんは驚かれるかもしれません。

カテゴリー5は決して報道されないものに属します。それはさらに恐ろしい経験で、報告はほぼゼロです。あなたの車の前にあった物体から生き物が出てきたのかもしれません。おそらく目撃者はそれが何であれコミュニケーションの一種、あるいは一時的な麻痺などの生理的反応を感じたでしょう。私たちはその数百の事例を持っています。

このような事件は長年にわたって私のファイルを埋め尽くしており、それらを調査するのに議会の許可は必要ありません。その人に電話するだけで、運が良ければコーヒーを一杯おごってくれるでしょう。そして私たちは彼の経験について話します。 公式なものではありません。

経験豊富なUFO研究家なら、さらにカテゴリー6とカテゴリー7があると教えてくれるでしょう。グラフの赤い曲線にはカテゴリー6とカテゴリー7がありますが、それらはきわめて奇妙なものであり、その数も多く内容も豊富であるため、警察や軍、あるいは本格的な報道機関によってはめったに考慮されず、狂人扱いされるのを恐れて目撃者も出てきません。 公式報告書は非常に低水準であり、フランスの社会学者ピエール・ランジュ氏が「噂」と呼ぶものに属します。これらのことについては噂があるだけで、事例を特定するのは困難です。そしてそれは、UFO学の友人たちが言うことには反しますが、無意識から意識への伝達であるとか、催眠術によって退行されるものではないと仮定しています。

したがって、このグラフの2つの丘から導き出される結論は2つあります。 それらの報告自体は、一般の人々による未知の多数の観察結果に基づいていますが、分析はほとんどの報告書が提出されない限り不十分なものに留まるということ、報告されるのは 10 件の観察結果のうちの 1 つであり、曲線の高さも推定にすぎないということです。

軍事分析は非常に信用性が高く、私たちに多くのことを教えてくれますが、米国での目撃例は少数であり、いわゆる古典的事例に限られます。研究を重ねても事例の 3% は説明がつかないままです。これらの数字を、報告されなかった推定観察数と関連付けなければなりません。また、なぜ報告されなかったのか、その数はどれくらいあるのかを調べる必要があります。

公式調査は重要なサンプルに取り組んでいますが、結論の範囲を限定する厳しい選択パラメータによって制限されています。これは現代科学でよく理解されている医療現場の状況です。たとえば、ある国の小さな統計サンプルについてテストされただけの新薬をリリースすることは決してありません。

私は、メディアの暴露記事や社会的なディスクロージャーの試みに基づいてこの現象に対応することには重大な危険があると考えています。ディスクロージャーの定義はさまざまで、 データにおける微妙なカテゴリに十分な注意を払わなければ、深刻な状況をもたらす危険があります。

軍からの資金を求めているなら、それは危険なものでなければなりません。つまり、軍が扱う情報とはそういうものだからです。もし危険でなければ、彼らは資金をカットするでしょう。それは私たちにも時々起こることです。

私たちがほぼ一世紀にわたる無視と無知に苦しんでいることは事実ですが、この状況は私たち自身の無知が生み出す現在のあるいは潜在的な危険に過剰反応することによって改善されることはないでしょうし、すべてのファイルを単にいくつかのAIエンジンに放り込むことによって変わるものでもありません。

私は1968 年にノースウェスタンでAIの博士号を取りました。AI は常に存在しています。それは工場にあり、車にもあり、どこにでもあります。一般大衆が AI の最新バージョンを利用しています。それは至る所で活躍することができます。ただし、問題が何であるかを定義することさえできないファイルに対しては機能しません。

事例を精査するために、すでに他の分野で本格的な調査を行っているレベルで AI を適用する必要があります。 本当の解決策は、私たちがずっと無視してきた、5,6,7のカテゴリーにあり、将来的にはそこにほとんどの時間を費やすべきだと考えています。結局のところ、科学を社会の進化から切り離すことはできないのです。

先ほど、UFO または UAP の真実性がその「奇妙さ」と連動していることを指摘しました。事件が明らかに異常で、良好な条件下で観察されているが、目撃者の精神的安定を脅かしていない場合に最高の評価が得られます。

しかし、最も科学的な分析価値の高い事例はは公的部門に偶然にしか届かず、分析が難しく、社会へのフィードバックが不十分であるという現実があります。私たちはその全体像を十分に把握できていません。私たちは米国やフランスについてはある程度知っていますが、インドやアフガニスタンについては殆ど何も知らないのです。

軍部の間ではより明確に定義されているものの、彼らは社会的現実から孤立した立場にあり、彼らの装備は最高品質の技術データを提供しますが、それは特定の領域にのみ対応しており、私たちが必要とする全体像を明らかにするものではありません。特に、彼らはあらゆる異常を、観察され分析され記録される機会としてではなく、消滅すべき潜在的な脅威として扱います。

本当の危険は、より広範な研究プログラムが存在しないことにあるのです。
それはより根本的で、よりアクセスしやすく、物理操作や軍事的脅威だけでなく生命科学や社会の現実にも取り組むものである必要があり、いくつかの機密プロジェクトを保護することはもはや正当化できないと考えるべきです。

一つの国だけでなく、主要な国々が、実際のファイルを科学界に広く公開する時期が来ているのです。

ありがとうございました[拍手]

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