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【要約】
 うつ病とは原因不明の落ち込みを繰り返す脳病であり、落ち込む期間は長く、3~6ヶ月ほど続きます。再発も多く、また3分の1の方は薬物治療の効果が乏しく、症状が遷延します。
 落ち込みを抑うつ気分といい、他にも意欲集中力低下、思考が止まる、不安、焦り、食欲低下もしくは過剰、睡眠障害、死にたいと考えてしまう、などの症状があります。
 うつ病の症状は多彩であり、他の疾患との鑑別が困難です。うつ病は中高年発症が多く、10~20代では躁うつ病の発症が多いと言われています。うつ病の発症率は2~3%だと考えられていますが、うつ状態は10人に1人が生涯で経験すると言われています。
 抗うつ薬が有効であり、抗うつ薬にはSSRI、SNRI、NaSSA、S-RIMなどがあります。電気けいれん療法(ECT)や磁気刺激療法(TMS)などの薬物以外の治療法もあります。
 カウンセリングも有効と考えられ、認知行動療法が代表的です。対話による治療は症状が重い時は行いません。症状がある程度改善し、再発予防のために行います。うつ病になりやすい人の特徴として、しなやかな思考が苦手というものがあります。対話では柔軟で多角的なものの見方ができるように、学びや気づきを促していきます。また、リワークプログラムや就労移行支援施設での復職訓練を行うこともあります。
 希死念慮が強い、食事が取れないなど命の危険性が高い、家族の看護では不安な場合は入院治療を検討します。入院には措置入院(自傷他害の恐れがある人が対象の強制入院)、医療保護入院(家族もしくは市長の同意による強制入院)、任意入院(自発的な入院)があり、通常は医療保護入院での治療が多いです。
 うつ病の症状が重い時はなかなか眠ることさえできませんが、回復期に入ると、1日中寝てばかりになることもあります。その時期は焦らず、〇〇をしたほうがいいという言葉に惑わされず、ゆっくりお休みください。脳に刺激や情報を与えないことが回復への近道です。
 健康保険に加入されている(国民健康保険ではない)方は、保険組合から傷病手当金として給与の3分の2が支給されます。

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