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「サッカー人生を振り返って」 4年・大里優斗

プロサッカー選手。

ボールを蹴り始めた頃から
一度もブレなかった夢。

でも、そこに辿り着くことはできなかった。

そして、サッカーから離れることを決めた。

悔いは当然ある。

あの時こうしていたら、れば、
と言い出したらキリがない。

しかし、これが結果であり現実だ。


サッカー人生はゲームオーバーに終わった。


5歳の頃、南流山少年団で始めたサッカー。
リフティングができなくて
泣きながら蹴り続けた。
高いレベルを求めて入った柏イーグルス。
天狗だった自分の鼻を叩きおられた。
中学生になり鹿島アントラーズつくばに入団した。
サッカーの奥深さを知り、
よりサッカーの虜になった。

あの頃の自分はその日のやる気で
プレーが変わる人間だった。
チームの勝敗よりも自分のやりたいこと。
上手くいかないときは環境や人のせいにして、
自分さえよければいい、そう思っていた。

そんな自分でも評価してくれる人がいてユースに昇格できた。

ユースではそんな自分の弱さと
とことん向き合った。
本気で向き合わせてくれる人たちがいた。

ある日の練習で「帰れ」と言われ
理由も分からないまま練習途中で
帰らされたことがあった。


その時、
初めてなぜサッカーしているのか考えた。
もちろん好きだから、楽しいからそれはある。
でも、それ以上に支えてくれる人、
応援してくれる人のことが浮かんできた。
ありきたりなことかもしれないけど、
そこで気付くことができた。

自分のためだけにサッカーをしていた。
だから日によってプレーが変わる。
波のある選手だった。

もうダメだとか、もういいやとか
弱い方に逃げたくなるときに
支えてくれる人、応援してくれる人を想ってみた。

そうしたら、限界だったはずなのにまだ走ることができた。
調子の上がらない時でもその日の100%を出すことができた。

そうやって日々積み重ねていくと、着実に成長している自分がいた。
中学までの考え方とまるっきり変わっていた。

それでも苦しくて妥協したくなる時もあった。

そんなとき、隣を見たら同じ夢を追いかける仲間が黙々と練習していた。
きっと自分と同じ想いを背負っている仲間が。
すると、負けられないって気持ちと一緒に頑張ろうって気持ちで突き動かされた。

そうした想いを持つ仲間たちとだから日本一になれたと思う。
そうやって3年間同じ釜の飯を食った仲間は一生モノだと言い切れる。

トップ昇格はできなかったけど
色んな人のおかげで自らの芯を築き上げられた。
自分も、千葉の言っていた
「立ち返る場所」を見つけられた。

自分の「立ち返る場所」は
「どんな自分で在りたいか」とも言える。


そして早稲田大学に進学した。

大学では上手くいくことなんてほぼなかった。
度重なる怪我、復帰しても試合に絡めない現実。


いくら頑張っても、もがいても
現実は理想とかけ離れていた。

努力は必ず報われるなんて嘘だ。
結局身体能力、才能には勝てない。
そんなひん曲がったことを考えてた。


どんな大きな波にも負けないと思っていた自分の芯は折れかけていた。

弱い方に逃げてもユースの時みたいに正してくれる人はいなかった。

自分が弱い方に逃げていることにすら気付けない時もあった。

上手くいかないことを環境や怪我のせいにした。


上手くいかないときこそ本質が出る。
本当の自分の姿が見える。


高校まではたまたま試合に出られて、
結果もついてきていたから。
全部良い方に捉えられた。

上手くいかなくなった途端、
ブレはじめる。言い訳を探す。


結局、自分の弱さは変わっていなかった。


そんな時にもう一度問いただしてみた。

サッカーが上手い下手とか、
試合に出る出ないとかそうじゃなくて。

サッカー選手じゃなくて1人の人間として。

答えはすぐに出てきた。

また自分のことばかり考えてた。


「どんな自分で在りたいか」


そこに立ち返ることができた。


長々と過去の話を綴ってしまったが、大里優斗という人間の芯はこうして築き上げられた。


サッカーから離れる理由はシンプルなもので

上の世界でプレーする実力がないから。

この現実を受け入れるまで時間がかかった。

逃げ。諦め。
そんな言葉が頭の中をぐるぐる回った。


何よりも支えてくれた人、応援してくれた人たちに与えるだけ与えてもらって、何も返せない。

サッカーを続けてきた17年間すべてが否定されてしまう気がした。


でも、高みを目指せないならやれない。

その気持ちが1番強く、けじめをつけた。

諦めるのにも勇気がいるって知った。


だけど、辿り着かなかったからといって
何も残らない訳じゃなかった。

夢を追いかけるプロセスで得たものは
今の自分を形成していた。

サッカーを通じて本当に多くの人に
出会うことができた。

色んな考え方、価値観を知った。

今まで自分を支え、応援してくれた人のおかげで
「在りたい姿」を見つけることができた。

これは自分の人生の軸になるもの。

これさえあれば、自分はどんなことがあってもそこに立ち返れる。

この17年間は無駄じゃなかったって証明する。


この先の人生で。


自分のサッカー人生もあと1か月。あと4試合。

勝っても負けても、泣いても笑っても

これで終わる。

諦めたから気付いたこともある。

諦めたから見えた世界もある。


全てやり切った先にはどんな景色が見えるのか。

その時、自分は何を感じるんだろう。

少しは恩返しできるのだろうか。

そんなことを考えながら、

今日も精一杯、頑張ります。


大里 優斗(おおさと ゆうと)
学年:4年
学部:社会科学部
経歴:鹿島アントラーズジュニアユース(松戸市立新松戸南中学校)→鹿島アントラーズユース(鹿島学園高校)

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