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「あと3回。」 1年・菊地彩花

アディショナルタイムの劇的な決勝弾。

叫びながら集まっていく監督とベンチメンバー。

スタジアムが揺れるほど盛り上がる観客席。

ピッチレベルの端で

首に掛けた一眼レフの存在も忘れて

私はその光景に圧倒されていた。


正直、早慶戦というものを舐めていた。


世間的にライバルとされる2つの大学が試合をする。

ただそれだけ。
公式戦でもないし。


そう思っていた自分が恥ずかしくなった。


入部してから3ヶ月間、

早慶戦のために尽力する部員達を見てきた。


先陣を切って働く主務、副務。

多方面に活躍して早慶戦をさらにビッグイベントへと成長させていく先輩マネージャー。

それぞれの部門で、来場者に楽しんでもらうために試行錯誤する選手たち。

早慶戦勝利に向けて、一体感を強めるトップチーム。

彼らが早慶戦に向けて

ここまで身を削り

時間を費やす理由。

全てがあの歓喜の瞬間に詰まっていた気がした。


一方、私は


勝利を決めるホイッスルが鳴った瞬間に

同じくらいの喜びを感じられなかったことが


すごく悔しかった。

何にも出来なかった。


早慶戦での自分への感想、
たった9文字。

ただ与えられた仕事を
受動的に淡々とこなしただけで

発信力ゼロ。


思えば、

私の人生19年間を振り返っても、

自ら何かを発信し、行動したことは

あんまりない気がする。


やりたいことがあっても

失敗することを恐れて
人から責められることを怖がって

間違っているということを自覚するのが嫌で


結局人の意見に同調していた。

こんなんじゃだめだ。


早慶戦で
自分の無力さを実感して

やっと気付いた。

『人の心を動かす。』

マネージャーという
一般的に“裏方”と呼ばれる立場でも

人に影響を与えられると証明すること。

ア式に入部することを決意した時、
自分で立てた4年間の目標だ。


でもこのままじゃ、

いつまで経っても他人の心なんて動かせない。

まず、私自身が変わらなきゃ。

もっと自信を持った人間に。
もっと発信力のある人間に。


人の心を動かす、

そんな力をもつ早慶戦。

運営に携われるのはあと3年。

目標を達成できるチャンスはあと3回。


私は

1年目のこの経験を無駄にせず、


自分なりに

これからの早慶戦を

より魅力的なものにしていきたい。


勝利の瞬間、

今度は本当の笑顔で

喜べるように。

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拙い文章ですが、
最後まで読んでいただきありがとうございます。


菊地 彩花(きくち あやか)
学年:1年
学部:政治経済学部
経歴:渋谷教育学園幕張中学校→渋谷教育学園幕張高校

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