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【SNSライフを学ぶ#2】情報の受け取り方を意識することで、自分の言葉が生まれる/伊佐知美

SNSとのよりよい関わり方を模索するために始まった『ぼくらのSNSライフ』。もとくらのインターン・飯塚が、編集部の先輩や私がSNSを活用して豊かな暮らしを送っていると感じる方々に「SNSをどんな気持ちで使っているのか」また「SNSとどんな付き合い方をしているのか」を聞いていきます。

前編では、昔はSNSが苦手だった伊佐さんが、Twitterを好きになったきっかけを伺いました。後編では、伊佐さん自身がSNSを使う上で大切にしている意識と、今後どんな風にSNSと付き合っていきたいか伺っています。

Twitterは好きだけど、基本はリアルの世界に生きたい

── 私は今、どんなスタンスでSNSと付き合うべきか悩んでいて……。伊佐さんはTwitterを始め、SNSとどんな距離感で付き合っていますか?

伊佐 基本はリアルの世界に生きたいな、と意識しながらSNSと付き合っています。「基本はリアルの時間軸で生きていて、途中でオンラインに顔を出す」みたいなほうが、私は気持ちいいなって。

私も、すきま時間についついタイムラインを追っちゃうんです。だけどあるとき、「電車の移動時間は本を読む」と決めて実行したことがあって。意識的にオフラインの時間を作るようにしたら、すごく気持ちよかった。

── なんで気持ちよかったんだろう。

伊佐 ちゃんと、「自分」と「今」と生きる時間を作れたからだと思います(笑)。

流れる情報をランダムに見続けてしまうと、一体自分はどこにいるのかとか、何を見てるのかとかがわからなくなって、自分の立ち位置を見失う感覚が私にもある。

海外にいるときも、基本は現地のリアルに生きることを意識しています。海外にいて、ずっと日本語の文章を打って、日本の同僚と連絡を取りながら仕事をしていると、日本と海外のタイムラインの間で混乱してしまうことがあります。

でも、ぱかんとパソコンを閉じると「さっきまであった13インチのMacBookの中の世界」は実質的にはないわけで。

せっかく自分の耳と目が使えるのに、そこに意識を全部持っていかれる意味ってなんだろうね? ……なんてことを考えたりする。その理由は、きっと私が表現したいことが、流れて行くタイムラインに何を思うかってことじゃなく、自分の五感を使ってこの世界に何を思うか、だからなんだろうね。

そういうのを大切にしたいから、あんまり意識をSNSの中に閉じ込めちゃうのはよくないなって。意識的にリアルをきちんと生きよう、という気持ちを持ってるなぁ。

俯瞰して見るのは、ひとつのスタンダードに囚われないため

── リアルで受け取る情報を大切にする伊佐さんですが、SNSを見ているときに大切にしている意識ってあったりしますか?

伊佐 俯瞰して見たいなぁと思っています。

たとえば、私の場合はウェブの仕事をしていて旅人で、周りにもフリーランスみたいな人たちが多いから、ともするとこの世界が正義みたいな気持ちになっちゃう部分がある。

でも、私が文章なんて書き始めるより前からの友だちや元同期は、最近みんな子どもを産んだり車や家を買ったりしているんです。だからみんなとランチをしながら出る話題はね、「子どもを保育園に入れるのか入れないのか」「オムツが100円なのか130円なのか」、とかそういう話。

それが世の中の大多数だと思うし、だからこそそういう世界を忘れちゃいけない。そういう世界にも情報を届けようとしないと、伝える仕事って意味がないとも思っていて。だから俯瞰して見る姿勢を意識していると思う。

── 私ももとくらでインターンをするようになってから、ウェブの人たちがタイムラインに並ぶようになって、常識が変わり始めたかもしれないと思ったことはあったので、ハッとしました。

伊佐 講談社でアシスタントをしていていた時代に、インフルエンサーの食べたものについてTwitterですごく盛り上がった日があったのね。

何の食べ物か忘れちゃったんだけど、それが麻婆豆腐だとしたら、Twitter民は「今日の夕飯は麻婆豆腐なwwww」みたいな会話でみんな笑えちゃう、みたいな。

で、その空気につられて私も会社の人に、麻婆豆腐食べちゃいます?って冗談で言ったの。そしたら、みんなが「え?」って。「あ、今日は何、中華の気分になっちゃったの〜?」とかって普通の会話で返してきた。

その時に「あ!やばい。Twitterがスタンダードじゃないんだわ……!」って気づいたんだよね。「あれは、全部の世界じゃなくて、たくさんある世界の中の一つに過ぎないんだ」って確信した瞬間でした。

今思えば当たり前なんだけど(笑)。勘違いしそうになっちゃう瞬間が、ウェブにはあると思っていて。

── 何も知らない人はほんとに知らないですよね。そういえば、TwitterもInstagramもなんにもやってない子もいて、そういう世界もあるよなぁ、と思いました。

新しい自分、新しい感性に出会うために

── 最近noteで4月から新しいスタート切ることを表明している伊佐さんですが、これからどんなふうにSNSと付き合っていきたいですか?

伊佐 あはは、見てくれてありがとう。これからの発信も頑張るね。

ええと、質問に関しては迷っているんだけど。とりあえず最近は、いつも使っているTwitterのタイムラインに新しい情報を入れていこうと思っています。

── 新しいとは、たとえばどんな情報でしょう?

伊佐 そうね、たとえばだけど、アーティストさんとか音楽家さんだったりとか。

というのも、私が今後、自分の活動をもっとアーティスト寄りに、尖っているものを創りたいと思っているから。

やっぱり新種の情報を入れないと、新しい自分って出会えないし、新しい感性ってでてこない。となったときに物理的に見える景色を変えられたらいいけど、思い立ってすぐってわけにはいかない部分もあります。だけど、SNSの中は思い立った瞬間、意図的に変えられる。

だからまずはTwitterの中身から、生涯かけて作品をつくっているような人や、国の垣根なく仕事をしている人の毎日を覗いて見たいなって思ったんです。そうやってTwitterからも、刺激をもらう数を増やしていきたいな。


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