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【昭和村特集番外編】素材としての「良さ」を考えたとき、髪を染めるのをやめた

今年の秋、もとくらでは【福島県大沼郡昭和村】の特集記事を公開しました。

・参照:土からうまれた糸を継ぐ【福島県大沼郡昭和村】特集、はじめます

昭和村の伝統工芸である「からむし」「織姫さん」に焦点を当てた記事を制作したのですが、執筆を担当してくださったのはすべて中條美咲さんという女性です。

美咲さんが「なぜもとくらで執筆することになったのか」「昭和村とどんなふうに関わってきたのか」を、特集を担当した私・小山内との対談形式でお届けします。

前回までのお話はこちら↓
【昭和村特集番外編】「土からうまれた糸を継ぐ」昭和村特集を終えて
【昭和村特集番外編】「紡ぎ、継ぐ」気持ちで言葉を綴っていきたい

髪を染めることをやめた理由

小山内 美咲さんは現在、哲学者・鞍田崇先生のアシスタントをしながら、ライターとしてご活動されているんですよね。

美咲 そうです。あと、花屋さんのアルバイトも5年ほど続けています。それぞれが大切な居場所となって、気がつくと居着いてしまっていたという感じですね。ライターを始めたのは鳥井さんにお会いしてからだったので、3年前くらいからでしょうか。

小山内 もともと新卒ではどんなお仕事をされていたんですか?

美咲 エステティシャンです。渋谷のホテル内にあるエステティックサロンで3年半ほど働きました。系列店が広島にもあったので、入社した夏から3ヶ月くらい出張したりもしながら。

小山内 美咲さんがエステティシャンになられた経緯を知りたいです。美容とか健康に関心があったのですか?

美咲 私は長野県生まれなんですけど、子どもの頃から都会への憧れが人一倍強かったんです。友だちの影響もあって、ギャル系や赤文字系、裏原系や青文字系とひととおりのファッション誌を読んだかと思います。

だから中学生の頃には、「田舎は絶対に出よう!」と思っていましたね。

小山内 ああ、その感覚わかるかもしれません。東京は忙しそうに見えるけれど、私もその忙しい感じに憧れていました。「東京になにがあるの?」って聞かれたらわからないのに、なんでもある気がしてた。

美咲 その一方で、思春期の頃から心理学に興味を持ちはじめました。10代って多感な時期じゃないですか。友だち同士のいざこざも多い中で、「居場所」ってどこにあるんだろう?って考えたりもして。人の心理や心を取り巻く環境に関心を持ったんです。

小山内 人の気持ちがどうなっているのか気になったのですかね。

美咲 でも当時の私は、せっかちというか早く大人になりたくて。心理学を専門にする、心理カウンセラーや臨床心理士になるためには資格が必要なんですけど、資格取得のためには大学院まで出ないといけないんです。

小山内 社会に出るまで時間がかかりますよね。

美咲 高校を出てからさらに6年は大人になるまでの道のりが長すぎると思って、その道に進むことは諦めてしまいました。

それでも人の心に関わる仕事への関心は変わらずにあって。子どもの頃から父親の肩もみを習慣にしていて、身体がほぐれていくと楽になって喜んでくれる。そんな中で「身体に触れることでも人の精神に関わることができる」と気づいたんです。

考えてみれば「触れる」ってすごく直接的な癒しにつながるんですよね。コミュニケーションって言葉はもちろんだけど、相手に触れることからも始まるんだろうなって。

小山内 それで、美咲さんはエステティシャンの道に進まれたのですね。人と一対一でコミュニケーションをとることを仕事にして、美咲さん自身になにか変化や気づきはありましたか?

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