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【その後、どうですか?】「エムピウ」店主・村上さん|蔵前でこだわりの財布・鞄づくり

こんばんは、タクロコマです。

※本記事は期間限定で全文無料公開中です

不定期連載としてnoteではじめた、「もしもしシリーズ」。取材させていただいた方の、その後をうかがうnote限定企画です。今回は、東京「蔵前」で革の財布や鞄をつくる「m+(以下、エムピウ)」店主の村上雄一郎さんにおうかがいを立ててみました。

※もしもしシリーズは、FacebookのメッセンジャーやLINEなどチャットツールや電話取材にてお話を伺っています

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■もしもしシリーズ3回目:【その後、どうですか?】クラウドファンディングで200万の目標金額を達成。ソルズコーヒー(SOL’S COFFEE)の音楽事業がおもしろい

その後、どうですか?

タクロコマ 村上さん、ご無沙汰しております! 最近の蔵前は雑誌で特集されることも多くて、目立つ機会がさらに増えてきましたね。

村上雄一郎(以下、村上) そうだね。一時はメディアに取り上げられる勢いとスピードが早すぎて、一過性のことのように感じて不安だったんだけど。それがここ最近、いつものことみたいな感じ。メディアに慣れたのかな?(笑)

タクロコマ そうだと思います。実際、町に変化はありますか?

村上 新しいお店ができるのが当たり前になってきましたね。

タクロコマ 追い風が吹いていますね。もとくら(灯台もと暮らしの略称)のイベントに来てくれた方がエムピウさんの名刺入れを使っていたり、蔵前に行ってきたよ!って言ってくれたりするひとがいるんです。

村上 ありがたいねぇ。

墨田区の「HIS-FACTORY」とコラボしたこだわりの鞄

タクロコマ 新しい製品は、なにか考えていることはありますか?

村上 墨田区の「HIS-FACTORY(以下、ヒズファクトリー)」とコラボして、すごくこだわった鞄をつくったんですよ。「GAGLIARDO(以下、ガリアルド)」っていう、¥120,000する鞄。

タクロコマ ……高い!ですね。

村上 高いから、売れない(笑)。自分のお店ではなかなか手に取ってもらえない鞄なんだけど、藤巻百貨店というところに出したら、結構売れて。ターゲットにしている客層が違うんだなぁと。

※藤巻百貨店:「日本」をテーマにした通販サイト。財布・名刺入れ・バッグから衣服・食品など、ジャンルの垣根を越えて、一流の目利きが選ぶ珠玉の逸品を取り揃えている。

タクロコマ 以前取材したときもこれからは鞄をつくりたいと仰っていましたよね。どんな鞄なんですか?

村上 うちでつくっている鞄は大抵¥40,000~50,000くらい。その価格帯になると、予算の都合でイタリア製の革をよくばって使えないんですよ。ところが今回は、予算よりも妥協しない鞄づくりということで、全面的にイタリア製の革を使いました。ヒズファクトリーさんは手を抜かないので、作業がすごく膨大なんです。革製品のコバという部分「革の端部、切れ目」のところは、普通はちょっと磨いて、仕上げに塗料を塗るんです。けど今回は、塗料は使わず磨いて磨いて、磨きまくって仕上げてもらってるんです。

そうすると1個のパーツを仕上げるのにものすごく時間がかかるんですよ。ハンドルのまんなかの芯は、床革を積んで肉盛りしているので、全て手間がかかっているんですよね。金具も真鍮のものを特注でつくって、端っこははずれないようにネジ止めして。ねじ切りまで特注なんです。だから、高くなっちゃってね……。

タクロコマ こだわりづくしで、村上さん、たのしみましたね!

村上 そう。だから「高くなるからやめよう」という予算を考えた鞄づくりは一切やっていない。これもあれも全部こだわったらこうなった、みたいな。

そうしたら価格が高くなっちゃって、自分のサイトで売れなくなったという(笑)。

タクロコマ でも、そういうモノづくりがしたいですよね。

村上 うん、したかったんだよね。普段は価格を考えてデザインしちゃうからね。エムピウって、比較的お手頃感のあるものだと思うんだけど、今回はいつもと違うモノづくりをやってみたかった。

タクロコマ いつもの革製品は、どちらかというと機能性重視ですよね。

村上 普段は「発明」みたいに「アイデアが世の中に認められるか?」というところで、機能を評価してほしいわけですよ。こうやって使っても便利でしょう?と提案したい。

こだわってつくって高すぎる商品になっちゃうと、その価格がために使ってもらえず、評価もされずにおわっちゃう。だから普段は買いやすい革製品をつくっているんですね。財布だったら、市場でよく売れている価格帯にする。「機能はこうだけど、他の財布とどっち買う?」って言ったときにうちの財布を買ってくれるような土俵に立ちたかったんだよね。だから造りに手を抜いているわけではないけど、製造工程はそこそこにしているんですよ。

タクロコマ なるほど。それでも、イタリア製の革をわざわざ使うのはどうしてですか?

村上 たしかにイタリア製の革を使わなければいいじゃんってなるよねぇ(笑)。それは使えば使うほど「革の味が出ること」がエムピウのコンセプトのひとつでもあるので、使っています。

理想のモノづくりとは

タクロコマ 「ガリアルド」のような鞄づくりが、村上さんの理想のモノづくりのあり方ですか?

村上 つくりこむことだけが「良い」とはかぎらないと思う。妥協なくつくり込めばすごくいいものにはなるけど、お金持ちだけに流通して、一般的なひとに手に取ってもらえないよね。

だからさ、俺はお客さんに「この機能はどうですか?」って提案できるように考えたりしているんです。言い方がいやらしいけど、モノづくりは客層を決めるのが大事じゃないかと思います。客層って言うのも、なんだか失礼だね。ターゲット……?

タクロコマ ターゲットは20代男性、30代女性みたいに考えるのですか?

村上 ターゲットは40代のひとたちになってきているのかな? 蔵前で店を始めてからもう10年以上経つけど、基本的に僕が欲しいものをつくっているんですよ。

タクロコマ それがすごいことですよね。つまりどういうことかというと、自分が欲しいものがわからないひともいると思うんです。選択肢が多すぎて何が欲しいのかわからないから、ユニクロや無印良品の商品を選ぶ。もちろんそれは悪いことではないんですけど、若者のあいだではこういう話を最近聞きます。

村上 なるほどね、俺は逆だなぁ。こういう色でこういう柄で、こういう素材の革製品を探しに行こうっていうと、市場にないんですよ。「なんだ、ないんだぁ」ってなる。「ここまで細かくデザインを決めちゃったら、そんな商品があるわけがないんじゃないの?」ってかみさんとかにも言われるんだけど(笑)。だから、じゃあつくっちゃおうか、みたいな。

タクロコマ それがつくり手の発想ですよね。

村上 そうだと思います。いざつくってみたらオリジナリティがあって、誰かに売ってみたくなるんですよ。

例えば最近は「straccio(ストラッチョ)」という、薄くて小さくて、「肩肘を張らない財布」ができました。できるだけ余分な部品や機能を足さずに、革に包んでホックを留めるだけで使えるようにしています。小さな財布だけど、お札10枚・100円玉15枚・厚めのカードが5枚くらい入りますよ。

タクロコマ またコンパクトな財布をつくられたんですね! 僕が使わせてもらっている「zonzo(ゾンゾ)」の使い心地が良いだけに、期待してしまいます。今度は蔵前のお店で、ガリアルドと合わせて手に取って見てみたいと思います。

村上 ぜひぜひ。


(一部写真提供:エムピウ公式サイト

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