【昭和村特集番外編】エステティシャンの仕事を通して持った、現代のサービスのあり方への疑問

今年の秋、もとくらでは【福島県大沼郡昭和村】の特集記事を公開しました。

・参照:土からうまれた糸を継ぐ【福島県大沼郡昭和村】特集、はじめます。

昭和村の伝統工芸である「からむし」「織姫さん」に焦点を当てた記事を制作したのですが、執筆を担当してくださったのはすべて中條美咲さんという女性です。

美咲さんが「なぜもとくらで執筆することになったのか」「昭和村とどんなふうに関わってきたのか」を、特集を担当した私・小山内との対談形式でお届けします。

前回までのお話はこちら↓
【昭和村特集番外編】「土からうまれた糸を継ぐ」昭和村特集を終えて
【昭和村特集番外編】「紡ぎ、継ぐ」気持ちで言葉を綴っていきたい
【昭和村特集番外編】素材としての「良さ」を考えたとき、髪を染めるのをやめた

仕事と震災を通して暮らしを見つめ直した

小山内 美咲さんは、どうしてエステティシャンを辞めることにしたのですか?

美咲 人の身体を癒すという仕事を通じて、私の価値観は大きく変わっていったし、自分自身の暮らしを見つけ直すきっかけにもなりました。私が勤めたエステサロンは、東洋医学をベースにしたマッサージを行っていました。東洋医学って、西洋医学とは違って全体の流れを診るんです。

西洋医学は「ここが痛い」と言われたらその部分を診るけれど、東洋医学は「ここがツライのはこっちの流れが悪いからとか、こういう生活をしているから」というふうに、普段の姿勢のクセや体質を含めてその人の全体を診る。

小山内 生活習慣病の人ならわかるけれど、すべての人をそういう目で見ていくというのはすごいですね。

美咲 マッサージを受けることで一時、癒されもするんだけどそれは一過性のものだから根本的な改善には繋がっていない。全体の流れとして人生を見つめたときに、各々が心地よく生きるためにも、自己治癒力を養う術を身に付けることが実は大切じゃないかって。

そんなときに東日本大震災が起きて、渋谷で帰宅難民になったというのも大きかったと思います。この先も都市に縛られて働き続ける未来を想像できなくなりました。東洋医学を通じてアニミズムや民俗学など、自然や土地に根ざしたものには力があると感じるようになって。次第に「ことば」で伝えていくことに関心が芽生えていきました。

小山内 仕事と震災を通して、美咲さん自身が自分の生活を見つめ直したんですね。

美咲 仕事は好きだったけれど、働く中で感じていた違和感もありました。私が働いていたサロンは、1時間で2万円近い金額でマッサージを含めたおもてなしを提供していました。会員になるためには20万円近いチケットを買うんです。

それだけのお金を払える人たちが通われるので、客層は経営者や経営者の奥様、あとは芸能人の方とか自分とは住む世界が違う方たち。

小山内 一生行ける気がしないです(笑)。

美咲 そこなんです。たとえば、その技術を身につけても、2万円のお金を払ってもらってサービスとして提供し続けていくっていうことに私はどこか馴染めなかった。

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