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【君は心ふるえているか?】飯塚編|失うかもしれないと気づいてから、輝き出す一枚

MTGでの一コマ。

「飯塚さんは、心ふるえる1枚について写真を使って書いてみたら!?」

「書きたいですねえ!書きます!」

ところで、そんな感動的な写真あったっけ?と思っていた私。

それは予想外なところから見つかりました。

【君は心ふるえているか?】テーマのnote。今日は飯塚が、小山内さんに続きます。

小山内さんのnoteはこちら:「お父さん、チェンジアップ覚えたから」|【君は心ふるえているか?】オサナイ編

* * *


神奈川県川崎市。

生まれた土地だが、笑えるぐらいにはこころがふるえない響きだ。

人と会うことも、働くことも……日々の大半を東京で済ませてくる人を寝かしつけるだけの帰る場所。

その街で起きる出来事はすべてが当たり前すぎて、外の世界に、ここじゃないどこかに、憧れることばかり。

今年の夏、そんな場所から一家で離れることになった。

悲しくもなく、嬉しくもない。

ただ、この街は自分の帰る場所ではなくなると知ってからは、ベランダから見える小田急線と広がる住宅街もみな、見たことのなかった景色かのように少し輝き出した。

「そうか、こうやってベランダから西の空が変わっていくのを眺めることもなくなるのか」

そうして突然、離れることが決まる前に撮った写真が特別な意味を帯びた。


思い返せば、いつも“終わりが来る”と知ってから「大切だ」とか「好きだ」とかそういう感情が大きくなってぶるぶる襲ってくるのだ。

そろそろおじいちゃんは死んじゃうだろうとわかったときのような。

近所の本屋が今月で閉店になると知ったときのような。

バイト先の最後の出勤日のシフトが決まったときのような。

「失うかもしれない」と気付いてから、それほど大切にしていなかったものが急に愛おしくなる。

ぞわぞわっと全身を襲うようなこころのふるえではない、じりじりと鳥肌がたつようなふるえ。

私が写真から感じるふるえは、いつもそんな静けさがあるようだ。

今はなんとも思わないものが、いつかその“終わり”がやってきたあと、輝き出すから。

その日までそっとしまっておくように、1枚1枚。


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