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【昭和村特集番外編】彼女たちはなぜ、「織姫さん」になるのか

今年の秋、もとくらでは【福島県大沼郡昭和村】の特集記事を公開しました。

・参照:土からうまれた糸を継ぐ【福島県大沼郡昭和村】特集、はじめます。

昭和村の伝統工芸である「からむし」「織姫さん」に焦点を当てた記事を制作したのですが、執筆を担当してくださったのはすべて中條美咲さんという女性です。

美咲さんが「なぜもとくらで執筆することになったのか」「昭和村とどんなふうに関わってきたのか」を、特集を担当した私・小山内との対談形式でお届けします。

前回までのお話は「#昭和村特集番外編」から

織姫さんという存在から関係性をつくっていった

小山内 最初、昭和村を訪れたときは「言葉なんて紡げない」と思った美咲さんでしたが、2年間かけたことによって、村の人たちとの関わり方やご自身の中で変化はありましたか?

美咲 人との関係はどんどん広く深くなって行きましたね。渡し舟さんとの関わりが、最初の昭和村との接点でした。それから次第に、いろんな織姫さんたちと知り合うようになりました。

小山内 それは渡し舟の由貴子さんと悦子さんを通じて?

・参考:【福島県大沼郡昭和村】だいじなのは、ここでの「いとなみ」が変わらずに巡っていくこと。からむし布のこれからを探りながら。|「渡し舟」渡辺悦子・舟木由貴子

美咲 最初の頃は紹介していただくことも多かったですね。当初から私自身は、「織姫さん」という存在に惹かれていたので、村の人たちよりも先にいろんな織姫さんにコンタクトをとっていました。

村に通い始めたとき、私は26歳だったんですけど、だいたい織姫さんたちもそのくらいの年代で村に来るんですよ。

きっと女の人はその時期に、なにかしら自分の人生を見つめ直して考えたくなる。仕事なのか恋愛や出産なのか、もしくは人生ぜんぶなのかわからないけれど。それで、来る人は来ちゃうんですよ。

小山内 自分と同い年くらいの女性がなにを考え、仕事や暮らしを変えてまで昭和村に来るのか、たしかにとても興味がありますね。

今回の昭和村特集では、仕事として「からむし」に携わる元織姫さんに取材をしたけれど、昭和村を訪れた理由もそれまでの人生も本当に人それぞれでした。

美咲 うん、それを同じ目線で感じて、一緒に考えていきたいと思っていたんですよね。だから、織姫さんたちにはなるべく会うようにして。結果的には数年で村を離れた元織姫さんや、織姫制度を始められた村役場に勤めていたおじさんなど、「織姫」と「からむし」を取り巻く周辺の人たちにもお話を聞かせてもらいました。

そうしてどんどん村の中で「織姫さん」や「からむし」が昭和村の中でどういう立ち位置なのか輪郭を捉えていきました。

小山内 今回、美咲さんが昭和村特集をもとくらでやることになったのは、どうしてでしょう?

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