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【ぼくらの地元#1】 地元がほしかったあの頃 〜菊池百合子と北参道〜

こんばんは!もとくら編集部アシスタントのきくちです。

先日【きくちのアシスタント記】でお知らせした新連載を【ぼくらの地元】と名付けて、今週からはじめていきます。

【きくちのアシスタント記#1】あなたの「地元」はどこですか?

 故郷から出てきた人がたくさん集まっている街、東京。故郷への郷愁を抱えながらも、東京で人と出会い、街で過ごす中で、最初は肌になじまなかった東京にも、少しずつ思い出深い場所や大切な場所ができていきますよね。そして気づけば、東京にも生まれ故郷とはまた別の、自分が自分らしくいられるような、思い入れのある街ができるのではないでしょうか。

 私は首都圏で生まれ育ちましたが、長らく「地元」と思える場所がないと感じていました。そんな私も、ある街との出会いをきっかけに「地元」は自分でつくれるのだ、と考えが変わりました。この企画では、東京で「地元」の不在感と自分の所在なさを強く感じていたかつての私に、「帰れる場所はつくれる」というメッセージを届ける気持ちで、もとくら編集部メンバーそれぞれの「地元」のつくり方をお届けしていきます。

今回は、もとくら編集部の「地元」のつくり方を聞きに行く前に、ずっと「地元」がないと感じていた私が初めて「地元」と感じることができた街、北参道と私の物語をお届けします。



地元の不在感は、どこからやってきたのだろう

ずっとずっと、地元がないと感じていた。

地元がある人がうらやましかった。

地元に「帰る」、そんな言葉を聞くたびに、「自分は帰れる場所がないこと」をひしひしと感じていた。


あれ、でもそういえば、なんで私はこんなに地元がほしいんだろう。

この連載を書きはじめようとしたとき、私はようやく自分の中に潜んでいたコンプレックスのような願望に気がついた。

「連載をとおして、帰れる場所は自分でつくれる、って伝えたいです」

「なんで、帰れる場所をつくりたいの?」
「…たぶん、私にとって帰れる場所が、ずっとなかったから」

「帰れる場所はなんで必要なの?」

「………甘えたかったから」

そっか、私、甘えたかったんだ。

だからずっと、どこかに帰りたかったんだ。

私が人生で初めて「地元」と思えた街、北参道に初めて降り立ったのは、この街に「どうしても仕事してみたい」と思える場所があったからだ。

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