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Wasei Salon透明化プロジェクト No.6 三浦希

Wasei Salonメンバーの「好きなもの」や「大切にしていること」から、その人のパーソナリティに迫る『透明化プロジェクト』の第6弾!

今回は、Twitter上で「#服屋三浦」としても活動する三浦希くんのインタビューです。

パンクへの憧れ、強く影響を受けた両親や親友、そして甲本ヒロトの話を通して、三浦希という人間を丸裸にしました。

聞き手は当プロジェクトの発起人である小林やばこさん、写真は土田凌くん、記事の執筆・編集は早川大輝です。

なお、透明化プロジェクトの概要や立ち上げの経緯は、「透明化プロジェクトを始めます。」から、他のメンバーの記事は以下のリンクからご覧いただけますので、併せてご覧ください!

Wasei Salon透明化プロジェクト No.1 長田涼
Wasei Salon透明化プロジェクト No.2 金井塚悠生
Wasei Salon透明化プロジェクト No.3 竹田匡宏
Wasei Salon透明化プロジェクト No.4 阿部光平
Wasei Salon透明化プロジェクト No.5 平山高敏

パンクへの憧れ

やばこ
じゃあやりますか。ちゃちゃっとやって飲みに行きましょうか。

三浦
いいですね~。

やばこ
今日は、どんな物を持って来てくれたんですか?

三浦
4つくらい持ってきたんですけど。ちっちゃいものばっかりで。

全部共通してバラバラのものなんですけど、とにかく共通して「思い出があるもの」をすごい大事にしています。

やばこ
どこから話しますか。

三浦
どこから話しますかね。甲本ヒロトについて話し出したらめちゃくちゃ長くなるんで、先に話しちゃいますか。

やばこ
じゃあそうしましょう(笑)。

『甲本ヒロト全詩集』。もともと甲本ヒロトが好きなんですか?

三浦
ずっと好きですね。お母さんがもともと、忌野清志郎の大ファンで。清志郎と仲の良い甲本ヒロトをメディアで見ることが多くて、あぁこの人格好良いなと。
僕、剣道やってたんです。で、道場の送り迎えの時、お母さんが絶対、清志郎のMDとブルーハーツのMDを交互にかけてたんですよ。

やばこ
おお。

三浦
清志郎を聴き終わったら甲本ヒロトのブルーハーツをかけるんですよ。なんか、歌の中で『ガンバレ』って言ってるし、なにこれ、ダッサと思って(笑)。

やばこ
ははは(笑)。

三浦
これは甲本ヒロトが書いた歌詞を全部載っけた本。ブルーハーツの『人にやさしく』ってあるじゃないですか。これやばいっすよね、宗教みたい(笑)。

やばこ
ホントだ。

三浦
一発目に「人にやさしく」って書いてあって。ずっと『ガンバレ』って歌ってるんですけど、これが本当に好き。

わざとダサいことやって、でも思ったことは直接ちゃんと言うっていう、裸の感じがすごくかっこいい。僕はパンクが好きなんですよ。とにかくムカついたら『ムカつく』ってちゃんと言う感じ。そういうのが美しいと思うんですけど、僕はあんまりそういうことができないので、一生懸命表現を考えたりとか、かえって、一個のことを物凄く遠回りして言ったりしてしまうんです。

やばこ
うん。

三浦
やっぱ、こうなりたいなと思うんですよ。みんな、ダサいことってあんまりしたくないじゃないですか、カッコいいとか、綺麗とか思われたいし。絶対。でも、ダサいことをダサいままにちゃんとやって、それでもブルーハーツは日本で一番というか、固定の熱いファンがいっぱいいる。その姿がすげえカッコいいと思って。

やばこ
それで言うと、忌野清志郎じゃなくて甲本ヒロトなのは…

三浦
お母さんの真似するのが嫌だったからですね。

やばこ
ははは(笑)、そうなんだ。

三浦
そうです。清志郎ももちろん聴いたんですけど、そのとき僕は反抗期だったので。

「へえ、じゃあ、そのお母さんが知らない方にするわ。清志郎の仲良しの」って。いや、甲本ヒロトのことはもちろん知ってるんですけどね、お母さんも。

やばこ
そうだよね(笑)。

三浦
でも直接ストレートに清志郎を聞くよりは

やばこ
自分の中で納得がいく、みたいな?

三浦
そうっすそうっす。本当に好きだった、ヒロトは。

やばこ
三浦くんの文章を読んでると、いま自分でも言ってたけど、何かひとつのことを遠回しに、いろんな表現を使って言うじゃない? だけどこの、甲本ヒロトの "何でもダサくてもストレートに言っちゃう" みたいなのを真似したくない、みたいなのもある?

三浦
ちょっとありますね。僕、表現をこねくりまわすのがすごい好きなんです。ハッキリと物を言うような、ちょっとダサいことはしたくない。憧れですよ、だから。近づけないんです。そういうのには。

最近友達になる人とかがそういうやつが多くて、WaseiSalonのたっけくんとかも全くそういう感じなんですけど。思ったこと全部言うし、思ったまんま言うっていう。そういう人にまわりを囲まれてるので、別に自分はそうじゃなくても良い、というか。

やばこ
そこに嫉妬とかはない?

三浦
まったくないです。

やばこ
単純に自分はそこに行けないと思ってるのかな?

三浦
うん、思ってます。近くで見てて、純粋に「良いなぁ」と思ってます。

やばこ
僕は結構びっくりして。三浦くんの文章を普段から読んでるから、こういうTHE ストレートなものを好きなものとして挙げてくるのが、意外ってほどでもないんだけど、どうつながってるのかなぁと思って。

三浦
100パーセント、憧れですね。自分はなれないから。だから良いなと思う。

やばこ
これは中学校のときからずーっと?

三浦
ずっとですね。こればっかり読んでます(笑)。

こっちに持ってきたものって、実はあまりなくて。僕、大学まで北海道に住んでたんですけど、自分の持ち物でこっちに持ってきた物っていうのが、本当にない。布団も同居人からもらったし、洗濯機とかも彼らの借りてるし。僕がこっちに持ってきて昔から使ってるものって、本当にないです。これは唯一だな。中学校のときにブルーハーツ聴いて、詩集はいつ買ったんだか忘れたけど、北海道で買った。これだけは絶対に持って行かないとダメだと思いました。

やばこ
アルバムを持ってくるんじゃなくて、詩集を持ってきたっていうのは、三浦くんらしいというか。

三浦
いやあ。

やばこ
言葉、文章みたいなところに思い入れがあるんだなと思って。

三浦
あんまり音楽は興味ないので。カッコいいとは思うんですけど、音楽を聴くことに対しては、そんなに深く関わったことないんですよ。

唯一、ブルーハーツ、セックス・ピストルズとか、『俺らパンクですよ』っていう、明らかなパンクの音楽を聴いてたんです。それは、歌詞とか見た目の、"態度" の話なんですね。音楽のカテゴリでパンクが好きなわけじゃなくて、パンクロックの態度がすごい好きなんですよ。反抗して、でも言ってることは正論というか、『俺の思ってるのはこれなんだよ!!』と、ただただ叫んでるだけ。そういう、核の部分、中身がすごい好き。クラッシュの、名前忘れちゃったんですけど、その人が"Punk is not style ,attitude"っていう話をしてて。パンクはアティチュードなんですよみたいな。それがすごいある。だから音楽じゃなくて、詩集を持ってきたっていう。

やばこ
なるほど、それは面白い。文章はどうなんですか? 三浦くんは表現をこねくりまわすのが好きだっていうのは、ある意味それはスタイルにも関わることかもしれないんだけど、アティチュードとスタイルで言ったら、三浦くんが書く文章はどっち?

三浦
僕はもともと、あんま流暢に喋れないんですね。考え過ぎちゃうから。つくづく、すべて "態度の話" にしたいなと思ってるんです。見た目が長い、だらーっとした文章を書いちゃうんですけど、「見た目をデザインする」とか、「きれいな表現を使おう」とかじゃなくて、あれでも思ったままを書いてるんですよ。考え過ぎたものを、考え過ぎたままに出してる。

やばこ
うん。

三浦
脳みそをパンって割って話してるみたいな感じです。文章でも、喋ってるんですよ。思ったことを。僕が思ったまんま書いたらああなんですよ、っていう文章。だからその点、スタイルではないような気がします。態度そのものなんじゃないかなぁ、って。

やばこ
三浦くんの文章って、本当に三浦くんがそこにいるような感じがする(笑)。

三浦
嬉しい。

やばこ
三浦くんが見てるものがそのまま書いてあるみたいな、そんな感じがすごいして。描写の細かさとかテンポとか。それはスタイルじゃなくて、頭をパカっと開けたらっていうのは、分かるかもしれない。

昔から書くのは好きだった?

三浦
好きっすね。

中学校のときに、論文発表みたいな、作文コンテストみたいなのがあったんですね。

やばこ
みんなの前で読むやつ?

三浦
そうそう、めっちゃ抑揚つけて読むやつ。あれで中学1年か2年くらいのときに、ばあちゃんの話を書いたんです。

僕のばあちゃん、じいちゃんと二人で住んでたんですよ。二人暮らしで。で、僕のじいちゃん、もともと足が悪くて、ずーっとベッドに寝たきり。そんな彼を、おばあちゃんがずっと介護しながら生活してた。その姿を身近で見ていて、「僕も協力したいから、社会福祉士になりたい」って文章を書いたら、北海道代表になった。

やばこ
マジで!すごいな。

三浦
千葉かどっかの全国大会に出場して、全然普通に負けたんですけど。でも北海道で一番になったっていうのはある。そのときから文章は好きだったんだと思います。たぶん。

思い出を身に着ける

やばこ
全部「思い出」っていうくくりだと思うんだけど、このブレスレッドはいつもらったの?

三浦
これは大学の時です、上京前ですね。

これの話、マジでやばいっすよ。

やばこ
ははは(笑)。

三浦
これ、ほんと、めちゃくちゃ良いんすよ。北海道に、3つ下の「ナヤ」っていう友達がいて、僕がいま25なので、彼は22歳。大学を卒業したばっかりですね。

本当にめっちゃ仲良くて、互いにタメ口とかで話してたんですけど、もう、大学の友達で真っ先に頭に浮かぶ奴って、ナヤぐらいなんです。で、僕が大学卒業するとき、彼が『最後くらい飲みに行こうよ』って言ってくれて。そいつと一緒に居酒屋に行ったんです。

やばこ
ほう。

三浦
あいつ、インディアンジュエリーをずっと付けてたんですよ。それ、急にめちゃくちゃ格好良く見えちゃって。まぁ僕もすげえ酔っ払ってたんですけど。そうそう、勢いで「くれよ。めっちゃ良いじゃん」ってベタベタ触ってたら、急に『あぁ、あげるわ』って。全然何の気もなかったんですけど、いや、格好良いとは思ったけど。なんか高そうだし、全然わかんねえけど、多分みんなこういうのって大事にするじゃないですか。磨いたりして。でも、それを『いいよ、あげるー』って。僕も僕で、拍子抜けしちゃった。「あ、くれるんだ。ありがと」みたいな。そしたら、アイツ、酔っ払ってたくせに急に真面目な顔して、『ずっと付けろ』って言ってきたんです。今日、ほんと久々に外しました。

やばこ
あっ、そうなんだ。

三浦
風呂入るときも付けてる。寝るときも。葬式でも付けてたな。どこ行くにしても、見えるところにずっと付ける。誇張とかじゃなくて、ものすごい思い出すんです。本当に最高。ナヤは良い奴です。今も、彼とすごい仲良くしてて。アイツ、人に物をあげるっていうのをまったくいとわない人なんです。彼が『あげるよ』って言ってくれたことに、僕は今もすごい影響を受けてる。僕が履いてるスニーカーを指して、友達が『めっちゃいいじゃん、かっこいいな』みたいに言ってきて、なんなら冗談で『欲しいな』とか言ってくるじゃないですか。そういうとき、あげちゃうんですよ。ベーンって。それ、ひたすらあの時のナヤの真似をしてるんですよね。

やばこ
うんうん。

三浦
俺、あの時のナヤの真似をずーっとしてるんです。3つ下だけど、めちゃめちゃ影響されてる。ほんとカッコいい。

やばこ
そうやって譲り受けて、本当にずっと付けるって、なかなかないじゃない? それは、「ナヤくんだから」っていうのはある?

三浦
なんなんだろうな。確かに、ずっと仲良い人だったから大事にしてるっていうのもあるかもしれないですけど、誰からもらったものでも長くは使います。もらった物捨てるって結構きついじゃないですか。

やばこ
うんうん、わかる。

三浦
思い出のある物は売ったりとかあまりできない。

やばこ
三浦くんにとっては、「思い出を扱ってる」感じなのかな。

三浦
すごいありますねそれは。

「あー、これ、あいつのこと思い出すわ」っていうのって、その時だけじゃないですか。なにかきっかけがあって、バシッと一瞬だけ思い出す。「高校のとき好きだった子、音楽これ聴いてたよね」みたいな。それってすぐに消えちゃうんだよな。3分もすれば曲終わっちゃうし。歩いてた風景見て、「ああ、あそこに似てるな、あのとき仲良かったやつ今何してるのかな」とかふわっと思い出しても、すぐなくなっちゃうんです、歩いてたら。めっちゃきれいごとなんですけど、「モノ」って、そういう「一瞬」じゃないというか。思い出したときに、今話しててもずっと思い出してるし。なんかこう、ずっとあるじゃないですか。「モノ」として。形見なんですよ形見。ナヤはまだ生きてるけど。

モノでもらったら絶対忘れないですね、ちゃんと大事にする。

やばこ
でも別に忘れっぽいとかそういうことじゃないじゃないですか、三浦くん自体が。

三浦
うん。

やばこ
思い出したいのかな、なんなんだろうな。忘れたくないというか。自分が影響された人のことをちゃんと覚えておきたいみたいな。

三浦
それもあると思いますね、覚えておきたいのは。あんま人の名前とか覚えられないですけどね。酒飲んだら記憶なくなっちゃうし(笑)。

やばこ
ははは(笑)。

「僕はひたすら、お父さんお母さんとナヤの真似をしてるんです」

やばこ
ジッポとペリカンは、ご両親からもらった。

三浦
そうですね。お父さんお母さんが。ペリカンの万年筆は、お母さんが僕が東京来るときに『なんかあげる』って言ってくれた。

やばこ
へえ、すてきだな。

三浦
これ、めちゃくちゃ良いんですよ。

やばこ
あっメッセージ?

三浦
うん、メッセージカードが付いてた。

やばこ
『煮詰まった時には、文字を書く事からまた始めなさい』

すごい! めっちゃ良いね。

三浦
最高ですよこれ。名前も彫ってくれて。普段あんま金がないので、モノとかすぐ売っちゃうんですけど、「これは名前彫られちゃってるから売れないな」っていうのがあって。

やばこ
はははは(笑)。

お母さんは、甲本ヒロトが好きだったり、こんなすてきなメッセージを文章にして渡してくれたり、書く仕事をしてる方なの?

三浦
いや全くないですね。

僕、お母さんからの影響がとにかくデカいんです。甲本ヒロトもそうだし。服を好きになったのも、中学の先輩から教えてもらったっていうのもあるけど、もともとはお母さんなんですよ。お母さん、めちゃくちゃ服好きな人で。『服ってこういう風に楽しいんだよ』って、いっぱい教えてもらって。すごい影響された。あと、彼女はいつもLINEをすげえ送ってくるんですけど、もれなく全部、めちゃくちゃ凝った文章なんです。

やばこ
へええ!

三浦
面白いんですよ。『文章を仕事にしてます』とかではないけど、彼女は彼女で、「言葉」とか「思い出」を大事にする人で。僕はひたすらお母さんの真似をしているんです。いまだにお母さんと、服の相談話したりしますよ。「これカッコいいかな」って。本当にする。

やばこ
すごいね。

三浦
お母さんも「これ良いよね」みたいに送ってくるんですけど、全部ドンズバで良いんですよ。いまだにやっぱ影響受けてます。

やばこ
最初は真似したくないみたいなところだったけど、今はすごく影響されてるんだね。

三浦
めちゃくちゃ影響されてる。反抗期終わって良かったなと思いました。

やばこ
ははは(笑)。

三浦
もったいなかった。

やばこ
早く終わって良かった。

三浦
良かった(笑)。

やばこ
結局真似したくないと言っても、同じパンクが好きだったりとか、そういうとこで言ったら昔からリスペクトがあるんだな。反抗期とはいえずっと思ってたんだろうね。

三浦
たぶんイライラしたんでしょうね、僕なんかよりはるかに良いこと言ってくるから。

やばこ
ああ、悔しいみたいな。

三浦
きっと悔しかった、嫉妬してるんだと思います。

やばこ
それはわかるかもしれないなあ。

お父さんのジッポは、どういう思い出がある?

三浦
お父さんのジッポは、これもすごい思い出深いっすね。ペリカンのペンって、これはお母さんが『贈り物ですよ』って言って贈ってくれたわけじゃないですか。でもこのジッポは、すごい簡単に渡された。『お前煙草吸うべ』「吸う吸う」みたいな。『じゃあこれやるわ』ってペンッてくれただけなんです。なのに、かえってそういう方が、思い出として残ってるんですよ。

やばこ
へえ、左手のブレスレットもそういう感じだもんね。

三浦
そうそう。酔っ払って、「くれ」『あげる』「ああ、ありがとう」って。一生つけろよって言われたからつけてるんですけど、いつの間にか染み付いてる。このジッポもそうです。空港でくれたんですよ。新千歳空港。あの、金属ゲートみたいなのあるじゃないですか。

やばこ
ある。

三浦
あそこの前でベルトとか外してるときに、お父さんが近寄ってきて、『お前のライター安そうだな、俺使ってるのやるわ』って。なんでもないやつですよ、2000円くらいで売ってるジッポ。バンッてそこに置いたんですよ。なんかもうエモい感じになっちゃうんですけど、そのときの光景をめちゃくちゃ覚えていて。恥ずかしそうなんですよね、お父さんが。なんて言えばいいんだろうなあ。たぶんカッコつけてるんですよ。

やばこ
はは(笑)

三浦
何気ないんですけどめちゃくちゃ覚えてるんだよなあ。ブレスレットをくれたナヤもそうなんですけど、人にものをあげるのをいとわないっていうのは、僕のお父さんがもともと持ってた考えなんですよ。

やばこ
へえー。

三浦
あの人バイク乗るんですけど、バイクの部品買うじゃないですか、取り寄せで。家に届いて、バイクいじって、さあこれつけましょうかといったときに、お父さんの友達が来るんすね。

『お前それめっちゃ良いな』みたいな。その友達が。『そのマフラーめっちゃ良いね、でかいし。良いじゃん、くれや』って言われちゃうんですよ。あの人、たかられやすいんです。

やばこ
ははは(笑)

三浦
で、そんなもん断れば良いのに、やっちゃうんです。友達に。『おう、持ってけ』っつって。買ったマフラー。そのままやっちゃうんです。自分のために買ってるのに、人にあげちゃう。バカだから。あの人、バカなんですよ。でもそれは、特に「人のためを思って」とかじゃない。自分のために買ってるものでも、自分と相手っていう、垣根がないんだと思う。全部共有しちゃう。『貸したら返ってくるし、良いじゃん』みたいな。信頼にもとづいてるところがあるんだろうな。そのときって、「約束」しかないじゃないですか。形にならないもの、と言うか。すげえ言葉にしづらいんですけど。周りの人を馬鹿正直に信頼するんですよ、あの人。金とかもすぐ人に貸しちゃうし。バカなんだよな。「人に貸すぐらいなら俺にくれよ」っていっつも思う。

やばこ
ははは(笑)。

三浦
性善説なんですよ。

やばこ
そんなね、軽くマフラーとかあげらんないもんね。

三浦
やんないっしょ絶対(笑)。

自分で買ってるのに、人にすぐ物をあげちゃうっていうのは、カッコいいと思った。僕はひたすら、お父さんお母さんとナヤの真似をしてるんです。ずっと。あと、甲本ヒロトの真似してるんです。真似というか

憧れというか。

やばこ
Wasei Salonでやりたいって言ってた「物々交換フリマ」もそれから影響受けてるところがある?

三浦
すごいありますね。物々交換、美しいなと思いますよ。

やばこ
なんだろうな。最初は「物々交換」っていうことしか見えてなかったんだけど、「思い出を渡す」っていう手段としての物々交換なんだって考えると、すごく面白いなって。今日話を聞いて、なおさらそういうことなのかなって。

三浦
金とかじゃないっすもんね。2000円のジッポでもだいぶ価値のあるものですよ。モノが持ってる価値の幅っていうのは人に基づくものなので、「思い出の価値とは」みたいなことをすごく意識するの、楽しそうだなと思います。

やばこ
三浦くんが書く文章って、自分が直近で体験したようなものが多い気がしていて。普段考えてることもそうだけど、それも思い出みたいなものを残すとか、そういうものを書こうとしてたりする?

三浦
どうなんですかね。

やばこ
これ書こうかなってどうやって選んでる?

三浦
なんだろう。身の回りの人について書くときは、思い出したときです。ふと思い出したとき。構えて、「じゃあ1週間後にはあいつのこと書こう」とか、そういう予定はあんまりできないので。そういう狙ってやるとか、無理なんです。無理だよ。明日の予定もわかんないんだから。

やばこ
ははは(笑)。

改めて振り返ってみてどうだった? 自分の大切にしてるモノ。

三浦
いやあもう最高(笑)。最高ですよ。

やばこ
もう、すぐパッと選べた?

三浦
いやもちろんです。絶対これ。間違えない。

この4つがあれば三浦ができますね。

やばこ
確かに(笑)。

これがカフェに置いてあったら、「あ、三浦くん? トイレかな?」って思うもん(笑)。そんな感じがすごいする。今回は、知るというよりは確認に近い感じだったけど、でも楽しかった。

三浦
嬉しいです。すごい、ありがたいです、最高です。酒飲みに行きましょう。

やばこ
行きましょうか。

※インタビュー本編は、こちらで終了ですが、この先の有料コンテンツでは、三浦くんが思い出の場所やオススメのスポットなどを紹介しています!


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