名前

深川和図という名前は、生きるためにつくった。

自分ではない人間になりたくてしょうがなかったから、試行錯誤して名前らしい言葉を作った。

まず、名前を考える時、音で考えた。

音の中では、母音が好きだ。

あかさたなはやまやらわ

優しい音がする。

なるべく、その音の中から選びたかった。

その次に、好きな意味を持つ言葉をなるべく使いたかった。

言葉が流れるものという認識が好きだった。

英語は言葉が物体として使われることが多いが、日本語は液体として、流動性のある不確定なものとして扱われることが多い。

それが好きだった。

わ、という母音は絶対入れたかった。

わ、の後に何が続けばいいのだろうか

と考えて、とりあえず全ての音を続けてみた。

その時は、ゲームのユーザー登録をしていた時だったから、2文字の名前は被ることが多かった。

最終的に入力出来たのが、wazuという名前だった。

大昔にしていたものでつけた名だから、検索しても何も残っていないし、他のものだけが出る。だけど、心の中ではその名が好きだった。

そこからは、ずっと自分がwazuなのだと思い込んで生きれた。

本名など気にせず、名を捨てた気になって、違う自分になれるのが気持ちよかった。

何度も名前を使い捨てて、言いたいことを言う人間がネットに多い意味を理解出来た。

自分じゃないなら何をしてもいい。

そう思うのは危ないと思って、私はずっとwazuで居続けた。試行錯誤して、偶然でできたwazuという名前を一生持つと思う。

だからnoteでも和図という名を持ち続けると思う。

現実の名前が一生変えられないのと同じで、和図も和図のままだ。

綺麗な言葉を使うのも、汚い言葉を吐くのも、同じ自分だからだ。

一貫して自分は自分である。

あの時の自分が、周囲の人間が、環境が、過去が、自分ではない他人が、と言って、自分のせいにするような人間にならない。

全て自分の所為であり、結果も責任も自分持つもの。

私は、和図だ。

性の、fukagawaも母音が半分以上を占めている。

深という意味も、川という意味も、
言葉が流れるものという認識に一致する。

深川という苗字も、名前と同じくらい気に入っている。

fukagawa wazu、両端のuに挟まれて、aが並ぶ。

心地のいい音がする。

やはり、私は一貫してfukagawa wazuである。