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【推理小説批評大全・総解説】

70
推理小説の批評的散文70編を厳選し、それぞれに解題を付した。2017年12月1日~2018年2月8日まで1日1編ずつ公開予定。
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記事一覧

『松井和翠=責任編集 推理小説批評大全 総解説』の完売について

 9月3日(月)を持ちまして『松井和翠=責任編集 推理小説批評大全 総解説』(文庫A6版)の在庫分…

松井和翠
6年前
8

「除夜を歩く」  有栖川 有栖

【(…)ないからこそ、そうであれば、と希う】  ※「除夜を歩く」解説には、刊行の際に、孔田…

松井和翠
6年前

『ちみどろ砂絵・くらやみ砂絵―なめくじ長屋捕物さわぎ〈一〉』解説新保 博久

【(…)捕物帳の追随者たちは、国産品では未開拓だった探偵小説を確立させるには至らなかった。…

松井和翠
6年前
1

『戦前戦後異端文学論』(抄)  谷口 基

【戦前の黄金期において〈探偵小説〉は、あらゆる奇譚を一堂に集めた深遠かつ壮麗な文学ジャン…

松井和翠
6年前
1

「不可能な薔薇 中井英夫『虚無への供物』論」  安藤 礼二

【兄と弟の間に結ばれる「虚数」としての、また「貴腐」としての憎悪と愛情の関係。おそらくそ…

松井和翠
6年前

「宿題を取りに行く」 巽 昌章

【再びいう。七八年二月まで戻って、佐野洋の発言に対して何か反論するとしたら、何を書くべき…

松井和翠
6年前
1

「『ブラッディ・マーダー』 /推理小説はクリスティに始まり、後期クイーン・ボルヘス・エーコ・オースターをどう読むかまで」 波多野  健

【(…)シモンズも独自に「初期クイーン」と「後期クイーン」の質的な差と不可逆性を認識できるところまで到達していたのである】 〈最終候補作〉 「クイーン,エラリー(ロス,バーナビー)」森英俊 「『第二の銃声』解説」真田啓介 「セント・ミアリ・ミード―アガサ・クリスティ―との架空対談」田村隆一 「『妾の罪』における叙述トリックの位相」小森健太郎 「『ブラッディ・マーダー』/推理小説はクリスティに始まり、後期クイーン・ボルヘス・エーコ・オースターをどう読むかまで」波多野健 「ゼロ

「緋色と赤の距離 ―アーサー・コナン・ドイル」  石上  三登志

【そしたら、なんとそれがハメットにつながってしまった!】  本日は「赤」と「黒」の距離に…

松井和翠
6年前

「本格ミステリvsファンタジー」 殊能  将之

【だからトリックって、実はイマジネイティヴなんです】  孔田多紀氏の『立ち読み会会報誌 …

松井和翠
6年前
3

『日本探偵小説全集〈11〉名作集Ⅰ』解説  北村  薫

【アンソロジイとは結局のところ、読者一人一人が自分の内に編むものだ】  北村薫の数ある優…

松井和翠
6年前

「明るい館の秘密クリスティ『そして誰もいなくなった』を読む」 若島  正

【この館は、どこまでも明るく影のない、「何も隠されていない」館である】  第二回本格ミス…

松井和翠
6年前

「終わらない伝言ゲーム―ゴシック・ミステリの系譜」 千街  晶之

【だが考えてみればミステリそのものが最初から、近代と対立する時限爆弾じみた自己破壊因子を…

松井和翠
6年前

「挑発する皮膚―島田荘司論」 法月  綸太郎

【(…)島田荘司と赤瀬川原平の「作品」がお互いに歩み寄り、触れ合おうとする接点とは、事物の…

松井和翠
6年前
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『探偵小説論序説』(抄)  笠井  潔

【(…)人為的に演出される輝かしい死のイメージは、大量死を模倣した大量生の波間を無力に漂うしかない大戦間の読者に、圧倒的な興奮と魅惑をもたらしたに違いない】  探偵小説は〝群衆〟と共に現れた。笠井潔はこのように主張する。  この論を鵜呑みにするならば、エラリー・クイーンの〈悲劇〉四部作の演劇的な構造やジョン・ディクスン・カーの登場人物たちが持つ喜劇的な振る舞いも、その〝群衆〟を意識したものとして受け取ることができる。日本に目を向ければ、極めて演劇的な『黒死館殺人事件』は言う