ミステリ評論ベストテン

『深夜の散歩』福永武彦/中村真一郎/丸谷才一
・三人の〝達人〟による贅沢なミステリ散歩。丸谷の推理小説評を集めた『快楽としてのミステリー』(ちくま文庫)も必読。
『論理の蜘蛛の巣の中で』巽昌章
・通り一遍の作品紹介や採点/格付けとは一線を画した、現代推理小説最高の批評家による最高の批評的時評。
『夢想の研究』瀬戸川猛資
・筋道だった珍説奇説のオンパレード。これがホントの〝論理のアクロバット〟!
『夜間飛行』青木雨彦
・軽妙な文体の裏に流れる苦悩と屈託。和製軽ハードボイルドの先駆はこんなところに。
『紙上殺人現場』大井廣介
・全編会話体・誤字脱字・ネタバレ・時事ネタ満載だからこそ、却って光る鋭い批評眼。
『わが夢と真実』江戸川乱歩
・乱歩は小説より評論より随筆。乱歩の半生はそのまま日本探偵小説の半生なのである。
『推理日記Ⅰ~Final』佐野洋
・これを外したミステリ評論ベストテンは考えられない。切れ味鋭い技術論は勿論、哀愁漂う追悼文も忘れ難い。
『戦前戦後異端文学論』谷山基
・異端作家たちの《奇想と反骨》を炙り出した一世一代の書。推理作家協会賞はこの作品に与えて欲しかった!
『乱歩と東京』松山巖
・《乱歩と都市の共犯関係》を暴いた画期的名著。四半世紀以上経った今でも古びていない、古びるはずがない。
『私のハードボイルド』小鷹信光
・ハードボイルドを共に生き、共に育ち、時に殺し、そして甦らせた〝パパイラス〟の船長、最後の航海記。

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