『本格ミステリ・エターナル300』を読もう

 この企画は『本格ミステリ・エターナル300』(探偵小説研究会・編著/行舟文化)に取り上げられた300作品を淡々と読了していこうという単純なものである。ちなみに私は300作品のうち21作品しか読了していない。つまり私は、この10年間、所謂【現代ミステリ】とは隔絶した生活を送ってきたわけだ。無論その点に関して私は特段問題を感じていない。例えば私は、現代の小説を読んで《現代の問題》と向き合おうといった姿勢は持ち合わせていないし、現代の小説を読むことで現代の《最前線》なる位置に立ち得るなどといった幻想も抱いていない。私の興味は常に、現代の作品が過去の遺産をどのように引き継ぎ、またはそれにどのように反抗し、そしてそれらが―その意識/無意識に限らず―どのような相貌を見せているかという点に限られる。そしてまた、この企画は確実にその中途で頓挫することだろう。そして、その時私は再び【現代ミステリ】への興味を失うことになるだろう。我ながら、なんと情けない話であるが、こればかりは致し方ない。その旅の中途まで付き合っていただける奇特な方のみ、お付き合いください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?