見出し画像

「ねないこだれだ」が教えてくれたこと

絵本「ねないこだれだ」 せな けいこ さく え

とけいが なります ボン ボン ボン
こんな じかんに おきてるのは だれだ?
ふくろうに みみずく ・・・・

と続くこのお話。みなさん読んだことはありますか?

思い出の1冊

私は双子が生まれてこの本を知りました。
義理の母が、双子父が小さい頃読んでいた絵本として送ってくれた荷物の中に見つけた一冊がこの絵本でした。30余年あまりの時を超えて手元に届いた絵本は、ずいぶん年季が入っているけれど、インパクトのある絵とテンポの良い言葉で読みやすく、双子が0歳〜の絵本タイムにピッタリでした。

子育てをしていると耳にする「絵本の読み聞かせ」という言葉。私はこの「読み聞かせ」という言葉にどうも抵抗があって(これには諸説あるみたい)なんだか子供のために絵本を読んだほうがいいの?とか読まなきゃいけないの?ってちょっと義務のように感じてしまっていたんですよね。

でも、ある時、感情が穏やかな時でないと絵本は読めない。って言葉を目にして。たしかに怒っている時って絵本読める気分じゃない!そこで双子を死なせないために死に物狂いの一日に、少しでも穏やかな気分になる時間を持つには、絵本は良い気がする。ということで、半ば自分のために絵本を読む時間を作ることにしました。それが双子が寝る前の絵本タイムです。

毎日2冊の絵本を読んでいました。そこでよく読んでいたのが、せなけいこさんの「ねないこだれだ」です。

毎晩一人ずわりができるようになった二人を両膝に乗せたり、観客に見立てて2人を並べて座らせたりしながら、3人で絵本を読んでいました。

思いがけない言葉

そんなある日のこと、いつものように私が読んでいると、

とけいが なります ボン ボン ボン
こんな じかんに おきてるのは だれだ?
ふくろうに  ・・・・

と言った瞬間、息子が「ミミズク」と発したのです!

字も読めるはずのない小さな息子が、「ミミズク」と…!
あの一瞬の出来事は衝撃すぎて今でもよく覚えています。

え?今何か言った・・・?

これが絵本のちから…?

絵本の読み聞かせをすると「語彙力」が高まる。という話はよく聞きますが、まさにその瞬間に立ち会わせてもらったというか。耳で聞いてインプットしてきた結果を口からアウトプットした瞬間を垣間見たのです。

それからは、「ボンボンボン」「ドラネコ」など、私が読むのに併せて、掛け合いのように言葉を発するようになりました。絵本をとおして、子どもたちとこんな時間を持つことができるなんて。それは私に絵本の世界の扉を開いてくれた出来事でした。それ以来、図書館でも本屋さんでも、せなけいこさんの作品を探し集めるようになりました。

その後、我が家の双子たちは読んだ本を耳で聞くと覚えて発するようになりました。特に娘は、長い文章を聞いたままスラスラ−っと言うのが得意で、当時の二人の発する音声を録音したボイスメモは今では私の栄養剤となっています。

もうあの幼児特有の声が聞けないと思うと、あの時絵本を通して会話できた時間は本当に良い時間でした。

後に保育士試験を受けて、「言語」の授業を受ける機会があり、絵本の読み聞かせについては、絵本の開き方(見せ方)導入方法や、読み方のコツなどを学びました。プロが行う絵本の読み聞かせには、いろいろ手法はあるけれど、自宅で読むには、自分が好きな絵本を読んで一緒に楽しめればよいのかな、と。

オススメ情報(せなけいこ展)

そんな、私に絵本を通して子どもと接する時間の素晴らしさを教えてくれたせなけいこさんの展示会『ねないこだれだ』誕生50周年記念 せなけいこ展 が現在、横須賀美術館で開催中です。

お宝のような絵コンテや貼り絵の原画がずらり。あれも読んだね、これも読んだね。と双子と盛り上がりました。

せなけいこさんは日本銀行に勤めていたこと。
37歳で絵本作家デビューされたこと。
ご主人は落語家さんだということ。
お子さんのために絵本を作っていたこと。
大人気シリーズのうさこの洋服は、鎌倉の文房具屋さんの包装紙だった。
妖怪やおばけについてたくさん勉強されていること。
ゆうれいシリーズの作者のくろだかおるさんは、せなけいこさんの娘さん。

などなど、今まで知らなかったせなさんのことが知れて、ますます好きになりました。

せなさんの作品には、おばけがたくさんでてくのですが、おばけにはおばけの世界がある。というところが特に好きで。同様に、子どもには子どもの世界がある。というスタンスで描かれているのが私が好きな理由だなーと思いました。

▶写真OKゾーン
せなさんの絵本がたくさん置いてあるので、自由に読むことができました。親子4人、それぞれ好きな本を読みました。

せなさんの本棚。
外国の絵本や、おばけや妖怪の絵本がたくさん並んでいました。中原淳一さんの本が並んでいたのが印象的。

併設するレストランACQUAMAREでは、企画展コラボメニュー「おばけのてんぷら=おばけのフリットミスト!=」がランチ限定で登場。

おばけのてんぷら大好きな双子歓喜!ちなみにおばけはモッツアレラチーズとのこと!ものすごい勢いで消えていきました。

せなけいこさんの魅力満載の展示会!全国巡回とのことでおすすめです。




この記事が参加している募集

コンテンツ会議

最後まで読んでいただき、ありがとうございます! サポート嬉しいです。いただきましたサポートはnote内の出会いに循環させていただきます。