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M-1グランプリ2023

 2年連続でnoteにM-1の感想を記しておく。
昨年は「バイトを休んで首を長くして待っていた」「1回戦からしっかりと観ることができた」等と書いていたが、今年も同様、というかそれ以上の熱量で観ることができたように思う。予選も1回戦、3回戦、準々決勝、準決勝と、昨年以上にYouTubeやTVerをぶん回して観ていたし、予想にも熱が入りそれをYouTubeでアップする等、発信も積極的に行うようになった。

 ということで、予選からあーだこーだと書くととんでもない分量になってしまうので、決勝と敗者復活についてだけ書く。

◯ファーストステージ

①令和ロマン
 トップバッターは令和ロマン。昨年の敗者復活では断トツで面白かったのに、システム上の問題でオズワルドに惜しくも負け2位。お笑い好きからの大きな期待を背負い、今年は満を持してストレートで決勝に進出した。
 ネタは「少女漫画にて道の角でぶつかるシーンがよくあるが、主人公の男女が通う学校はどこにあるのか」というテーマ。慶応出身の彼ららしい知性を感じる発想ではありながらも、馬鹿馬鹿しさもあるしゃべくり漫才。得点はトップバッターとしての最高得点を大幅に上回る648点。キングオブコントに続き、M-1でもトップバッターが大爆発を起こし、松本人志は「80点台はないと思った」と発言。私も凄く面白いと感じた。

②シシガシラ
 2組目は敗者復活のシシガシラ。
 ここから暫く敗者復活戦の話をしたい。
 昨年のオズワルドやその前のハライチの失敗もあり、今年から敗者復活戦のルールが大幅に変更された。3つのブロックに分けられた21組の芸人を審査するのは視聴者ではなく、会場にいるお客さんと5人の芸人審査員(アンタッチャブル柴田英嗣、NON STYLE石田明、かまいたち山内健司、マヂカルラブリー野田クリスタル、錦鯉 渡辺隆)。人気投票ではなく、一番しっかりと笑いを取った一組が勝ち上がれるシステムとなった。
 Aブロックを勝ち上がったのはラストイヤーのヘンダーソン。昨年の決勝で3位のロングコートダディや、2年連続の準決勝進出となったママタルトを下し、見事勝ち進んだ。
 Bブロックはナイチンゲールダンス。「ほんとうにうんちしてま〜す」や「ソーラン節歌ってみた」等のワードで爆発を産んだスタミナパンや、決勝経験者のトム・ブラウン、そしてオズワルドを下した。これでこの新しい形式が正しいことが実証された。
 Cブロックで勝ったのがシシガシラだ。脇田がカラオケで歌う曲が全て抜けた髪の毛を想っているようにしか聞こえないというハゲネタでダイタクやななまがりを下し、そして芸人審査員によるヘンダーソンとナイチンゲールダンスとの決選投票も勝ち進み、晴れて決勝進出となった。
 ヘンダーソン、ナイチンゲールダンス、シシガシラという従来ではあり得ないであろう組が勝ったのがアツい。因みに、私が従来の形式で3組選ぶなら、ママタルト、スタミナパン、ナイチンゲールダンスだ。
 やっとシシガシラの決勝ネタの話をする。
 決勝は敗者復活戦のネタとは違い、浜中が脇田の言動に対してコンプライアンスを指摘しつつ、自身は脇田のハゲをいじるという漫才。これが敗者復活ほどの爆発を生まず、627点。私が敗者復活の時に思っていた「ギャロップがハゲネタでM-1では評価されなかったので、決勝では評価されないのでは」という危惧が見事に的中し、ナイツ塙は「ハゲネタだけだった。爆発力がそこまでいかなかった」と言及。やはり、M-1決勝でハゲネタは厳しかった。

③さや香
 3組目は昨年王道のしゃべくり漫才で準優勝のさや香。「1週間後にブラジルからホームステイの人が来るのだが、嫌になったので引っ越したい」というしゃべくり漫才。横綱相撲とも言える見事な漫才ではあったが、松本は「令和ロマンは超えてないかなと思った」と述べ、89点をつけた。この時はまだ私は令和ロマンとさや香はトントンだと思っていたが、徐々に進行するにつれ、1位となったさや香が煩わしくなっていき、「そんなに面白かったか?」と疑問を抱いた。因みに山田邦子の98点は当初から疑問であり、「昨年準優勝したし点数高くつけていいでしょ感」があって、なんならカベポスターの84点より納得いかなかった節はあった。やっぱり松本人志ってすげぇ。

④カベポスター
 昨年トップバッターとして登場し、山田邦子に84点をつけられたカベポスターが4組目。永見が学校で起こっていた怪奇現象を語るしゃべくり漫才を披露。しかし、前半の説明で笑いのない時間が長かったことや、後半でも爆発が少なかったことで奮わず。邦子は昨年より10点高くつけたが、私はこれこそ84点の漫才ではと思った。また、最後に浜田が噛んだことに対して海原ともこ、塙、博多大吉は審査には関係ないと明言した。昨年の最終決戦ではさや香が噛んでしまい、それがウエストランドの圧倒的な優勝につながったのだと感じていたが、ファーストステージでは噛んでしまっても、減点にはならないようだ。

⑤マユリカ
 5組目はオープニングVの「俺達が、一番、面白い」枠に阪本が採用された「ずっとキモダチ」のマユリカ。マユリカは3歳の頃からの幼馴染であり、水着写真集を出したり中谷の肛門にひらがなを入れる芸などで、キモキャラとして定着しているため、このキャッチフレーズ。かつてハリセンボンに「(デブ+ガリ)×ブサイク=爆笑」というキャッチフレーズがついたことがあったが、それを彷彿とされるような令和とは思えないフレーズ。
 ネタの内容は阪本が夫、中谷が妻に扮し、夫婦喧嘩を題材としたコント漫才。夫が普段からつるんでる人や掛け合いの大喜利が見事にはまったネタだった。

⑥ヤーレンズ
 6組目はヤーレンズ。ヤーレンズは昨年の予選で評判が良かったのを聞いて初めて知ったのだが、昨年の敗者復活戦は特別そんなに面白いとは思っていなかった。だが今年の予選はめちゃくちゃ面白かった。なので、私は優勝予想としてヤーレンズを推していた。
 ネタの内容は楢原が大家に扮し、出井が引っ越しの挨拶を行うコント漫才。松本が「全ボケ誰かにハマるようにできている」と述べたように、審査員それぞれが違うボケにハマっていたようで、2位となった。
 私はファーストステージで一番面白いと思った。

⑦真空ジェシカ
 7組目は3年連続の決勝進出となった真空ジェシカ。ネタはガクを「z画館」に行かせるというコント漫才。「三谷後期高齢者」「ただのラジオネームじゃん」で大爆発が起こったように見えたが、結果は5位。今まで異端とされてきた真空ジェシカが王道で挑んだネタだったが、塙は「もっとわけのわからないネタをやってもらいたい」、ともこは「もっと奇抜なことができるのではと期待した」と語った。今まで奇抜なネタでファーストステージを敗退してきて、王道に変えた途端にこの評価。無理ゲーである。しかし、松本人志は「真空ジェシカは今年ちょうどいい距離感だった」と語った。やはり、松本人志が審査員に一番相応しい人物なのだ。因みに立川志らくもXで「第一ステージで一番面白かったのは真空ジェシカ」「私が審査員をしていたら真空ジェシカには高得点をつけているから間違いなくファイナルに進めた」と綴っており、真空ジェシカを高く評価している。私はファーストステージの中ではヤーレンズの次に面白かったし、少なくともマユリカを下回ることはないと思った。

⑧ダンビラムーチョ
 8組目は昨年の敗者復活戦で森山直太朗の「生きとし生ける者へ」を歌ったダンビラムーチョ。ネタは大原がカラオケボックスを始め、その伴奏を大原自らが行うという彼らが得意とする歌ネタだったが、最初に「天体観測」の1番を丸々歌ってから初めてツッコむという構成に、富澤たけしは「面白かったが1曲目にそんなに使わなくてもいいのかな」と述べ、ともこは「最初が長く入り込めなかった」と述べた。ダンビラムーチョ本人は「長く感じなかった」としたが、十分長かった。

⑨くらげ
 9組目は今年の決勝進出者で断トツで知名度が低いと思われるくらげ。杉昇が忘れたものに対して渡辺翔太が多くの候補を挙げる形式のしゃべくり漫才。坊主頭にアロハシャツという出で立ちに、Snow Manのメンバーと同姓同名である渡辺が、サーティワンのフレーバーやサンリオキャラ、コスメブランドを列挙していく姿はかなり面白かったのだが、620点と壁に跳ね返された。松本は「少しミルクボーイを思わせたのかも」と、同じ物忘れをテーマにした漫才で2019年のM-1で伝説を残したミルクボーイの名を挙げた。形式は異なるが同じテーマのミルクボーイと比べると、やはり難しい戦いだった。

⑩モグライダー
 最後は一昨年のM-1でトップバッターながら、高いインパクトを残しブレイク、「リンカーン」の後継番組「ジョンソン」のレギュラーにも抜擢されたモグライダー。錦野旦の「空に太陽がある限り」を引用した漫才。ともしげが関西弁になったり「ごめんねごめんね〜」と栃木のスターになったりするところはかなり笑ったが、いつもよりはともしげができすぎていて7位と奮わず。ネタ後にともしげが緊張をカンチョーと言い間違えたところが、一番の爆発であった。

 最終決戦はさや香、ヤーレンズ、令和ロマンの3組で争われることになったが、私がファーストステージで面白かった順に並べると

1 ヤーレンズ
2 真空ジェシカ
3 モグライダー
4 令和ロマン
5 さや香
6 マユリカ
7 くらげ
8 ダンビラムーチョ
9 カベポスター
10 シシガシラ

かなと思う。


◯最終決戦

①令和ロマン
 くるまが町工場を舞台としたドラマを観たと言い出し、それを再現するというコント漫才。「トヨタにはこういう人はいません」「吉本にはこういう人はいます」で爆発を起こした。松本は「2本目に1本目よりも強いネタを持ってきたのが凄い」と述べた。

②ヤーレンズ
 楢原がラーメン屋の店主に扮するコント漫才。「バナナと言ったら丸美屋」で私はこの日の瞬間最大風速が出たと思ったので、ヤーレンズ優勝してくれ!と願った。

③さや香
 新山が四則演算の他に「見せ算」が必要だと主張するしゃべくり漫才を披露。全く新しい概念の提唱であり、ハマってなかったし、ウケてなかった。これならまだキャッチーなからあげ4をやっていた方が良かった。

 明らかに令和ロマンとヤーレンズの一騎打ちとなった最終決戦は、ヤーレンズと令和ロマンの票が交互に開いていき、最後に松本人志の令和ロマン票が開き、令和ロマンが第1回の中川家以来となる、トップバッターでの優勝を果たした。個人的にはヤーレンズだったが、令和ロマンでも十分納得できた。また、一昨年の最終決戦みたいに、全組2本目が弱いということがなくて良かった。

 さて、Xには来年のM-1の予想を作ったけど、R-1の方が先なのでまだ、XやYouTubeには出さないと書いた。M-1グランプリは1年で最後の最後の賞レースであり、年間を通すとまずR-1があり、THE SECONDがあり、キングオブコントがあり、THE Wがある。なのでM-1の予想を出すのは完全に早いのだが、今年のR-1は全く読めないので、もうnoteに来年のM-1の決勝予想を書いておく。どれくらい当たるだろうか。

ヤーレンズ
真空ジェシカ
マユリカ
東京ホテイソン
ママタルト
ナイチンゲールダンス
エバース
シンクロニシティ
パンプキンポテトフライ

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