VALORANT Champions Tour 2024 Kickoff SUNSETの各地域ごとの差について

考察にあたり

今回の命題は各地域におけるSUNSETの戦い方の差はどのようなものか、というものだ。課題解決に際しいくつか観点を持ち考察していく。
また、基本的な考え方として以下の考えを用いる。

[攻めの定義について]
イニシエーター索敵スキルのリチャージタイムが40sであることから
10~40sまでの攻めを1巡目の攻め
41~70sまでの攻めを2巡目の攻め
71s~の攻めを3巡目の攻め
とする。(攻めの定義はplantした時間)

[データの扱い方について]
PacificではSUNSETの試合数が少なく内2試合がGen.Gの試合であることから
Pacificのデータは統計学的に有意とは言えないためあくまで参考として数値を出す。

エージェント構成の差

SUNSETは競技シーンで最も最新のマップでありまだメタが定まっていない。そのため各チーム自ら考えた構成を使用するわけだが今回そこに焦点を当てた。
チームのやりたいことはそれぞれ個としてみればチームのやりたいことを構成にするわけだがリージョンごとに見れば必ず各リージョンごと考えがちな癖につながると私は考えた。適宜情報を加えつつ解説していく。

画像(1)各リージョン構成差Chinaだけ他とは違う構成であることが多い

上画像はSUNSETにおけるエージェントpick率である。
コントローラーはオーメン、センチネルはサイファーがどのリージョンでもほぼ採用されていた。
デュエリストはレイズが多かったがジェットやネオンなども散見された。しかしながらレイズのpick率を見るにデュエリストの採用に関してはリージョンでの差というよりはチームの特色と捉えるのが妥当であると判断した。
リージョンごとの特徴としてはChina地域が他地域とは大きくpick率に関して違いが見れる。主に
viper採用の少なさ
ブリーチ採用の多さ
この2点が見て取れる。
ソーヴァ、フェイド、ゲッコー等の索敵系イニシエーターのpick率は1コントローラー2イニシエーターの構成をとるチーム等の影響である程度バラけていると考えられる。

Viper構成の強みについて

一般的にヴァイパーを使用した場合、ヴァイパーに求められるのは単独でのエリア保持、拡大である。スネークバイトによる相手の進行阻止や解除阻止等も行える。
エリアコントロールを有意に進め相手のアビリティを割かせる、そのままラーク、ローテート等多数の選択を取れるマルチなキャラだ。
しかしながらヴァイパーのみではコントローラーの役割を全うできるわけではないためヴァイパーを採用した構成では多くが2コントローラーの構成である。
実際にkick offでもヴァイパーのみの構成は存在しなかった。
メタ構成としてLotusなどはヴァイパーオーメンなどの2コントローラーがある。

2コントローラーに対する各リージョンの違い

先述したようにChina地域ではViperの採用がほとんど見られなかった。
各地域のSUSETで2コントローラーを採用していたチーム数は

Pacific 6/7チーム

EMEA 5/9チーム

Americas 6/8チーム

China 2/10チーム

となっている。このことからもChina地域の特色の1つとして

メタ作りの構成段階での差
が挙げられる。

ブリーチ構成

画像(1)にもあるとおりEMEA地域、China地域ではブリーチ+索敵イニシエーターの構成が他地域と比べ多い。ブリーチを入れた構成はブリーチスタンを主体としたアビリティで攻守ともにアグレッシブに戦い、エリアや撃ち合いを有利にするシチュエーションを生み出すことのできるキャラである。
このエージェントのpick率が高いということは積極的に撃ち合い、人数有利や少人数戦を行う狙いがあると考えた。

構成がもたらす戦い方の違い

ラウンド進行その1

画像(2)Kick offトーナメントSUNSETにおけるPlant前にラウンドの決まったラウンドの割合

画像(2)はSUNSETにおけるプラントする前に敵殲滅などでラウンドの勝敗が決まったラウンド数とその割合である。
China地域ではその割合が36.71%と最も高い。このことからもChina地域では攻守ともにブリーチを主軸とし、撃ち合いでラウンドをとるスタイルが高いことがわかる。
しかしEMEA地域でも一定数ブリーチが採用されているが割合としては最も低い23.55%だ。ここで私はEMEA地域とChina地域ではブリーチの運用が違うと考えた。

ラウンド進行その2

画像(3)China地域
画像(4)EMEA地域

画像(3)(4)はChina地域、EMEA地域におけるPlantまでにかかった時間を10~30s、31~70s、71~100sに分けそれぞれ割合で示したものである。
40~70sの間が一番多いことからもEMEA地域ではエリアコントロールを行なう傾向が高いと言える。反対にChina地域は70~100sの割合が高い。これは主に少人数戦で足音を消してスロープレーに移行することから起こってる。また微々たる差ではあるが10~30sのラッシュが多いのもChina地域の特色である。

ラウンド進行その3


画像(5)Plant時間の分散の値

画像(5)は各リージョンのPlantまでにかかった時間の分散を求めたものである。
この値が高ければ高いほど散らばっている(Plantまでの時間が一定でない)ことを示している。EMEA地域はその他リージョンに比べてもかなり値が低い。これはエントリーの際のイニシエータースキルのリチャージを待ってからエントリーする傾向が強いことを表している。
このことからEMEA地域はセットプレイを好んで行うことがわかる。


Americas地域、Pacific地域

もしかして忘れてた??

ここまでラウンド進行などを見てEMEA、China地域などは特色をつかめてきた。Americas、Pacificにもそろそろ触れないと見ていただいているIGZISTの方が激昂する恐れがあるためそろそろ触れていく(冗談です、大変申し訳ございません)。

攻めマップ?守りマップ?

画像(6)

画像(6)はSUNSETのアタッカーとディフェンダーでラウンド勝率である。Americas地域最大の特徴は全リージョン中SUNSETでアタッカーの方が勝率の高い唯一のリージョンである、ということである。
要は攻め上手である。理由として挙げられるのは構成の多様さ、である。フェイド、ゲッコー、ブリーチ、ヨルやkay/oまで全リージョンの中で最も構成に富んだ地域であった。
ミラーマッチでは用意しているセットなどが既に自チームで行なっているものであったりスクリム等で見慣れていたりするがエージェントが違えばもちろん見るセット全てが初見になる。また、構成に富むあまり選手が毎回違う構成相手に戦うことになる。このような背景からアタッカーの勝率が唯一ディフェンダーの勝率よりも高い地域になったと考えられる。メタに引っ張られることなく自分達がやりたいことを押し付けるスタンスがAmericas一番の特徴だ。

Pacificは...?

各リージョンのSUNSET試合数を見てもらいたい。
Pacific 4/46試合
Americas 9/51試合
China 8/46試合
EMEA 11/46試合
Pacificのみ試合数が少ない。ここからわかるのはPacificは0から考えるのではなく他リージョンの試合を見てから構成等決めるチームが多いということだ。
他のリージョンのいいところをとってくる、これがPacificの最たる特徴だ。

First killとPlant時間の関係性


画像(7)
画像(8)
画像(7)


画像(10)

画像(7)~(10)まではファーストブラットからプラントまでにかかった時間を散布図にしたものである。一見そこまで特出すべきことはないがChina地域だけはこの散布図の相関係数が高く出た。つまりファーストブラットをとる(もしくはとられる)からプラントしにいくまでの時間が最も短い地域であるといえる。
このグラフからはChina地域がいかに特殊かを見出すことができる。

各リージョン特徴まとめ

Pacific

新マップは他地域の構成など動向を伺う傾向が強い。国際試合経験チームなどは積極的にプレーする。
正直特徴は掴めなかった。

Americas

構成、戦い方ともに自分達の戦い方を押し付けるような戦い方をする。
チーム独自のセットプレーの多さ、故に相手のセットに対する対応が難しい。そのためアタッカーの方が勝率が高い唯一のリージョン。
数値を見ても各リージョンの間であることからも柔軟な対応力があるチームが多い。一番強豪が揃っているのではないかと予測する。

EMEA

エリアコントロール重視、型にはまったお手本のような丁寧なスキル運びをする地域。イニシエーターの時間管理などラウンド前にやることが大枠としてかなり決まっている印象。5vs5のPlantが多いことからフェイクやスキルなどの回し方はEMEAが他リージョンを圧倒している。

China

魔境。撃ち合い、破壊。撃ち合いを有利にさせるためのスキルや索敵が多い。エリアコントロールにおいては他リージョンよりかなり劣っていると言える。

あとがき

ここまでお読みいただきました方、本当にありがとうございます。
アナリスト、自分がどうしてもやってみたいことの一つでしたので経験としてぜひ無料でもやらせていただきたいです!!
よろしくお願い致します!


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