【親父】

親父はひねくれてる。

僕が何かを褒めて欲しく
報告した時には、
「でもそれってさぁ〜」と
揚げ足を取ってくる。
「◯◯がしたいんだ!」と言えば、
「何でそんなことするんだ??
△△じゃダメなのか?」
と、とにかく自分の願いとは
違う答えが帰って来た。

だから幼い頃は親父に
自分の考えを伝えるのが嫌だった。
仲は良好だったが、
本音に近い話は避けていた。

父に対してそういう認識を持ったまま、
僕は成人した。

大学を卒業し、会社勤めが始まった。
最初はそつなく生活していたが、
後々社会人生活に馴染むことができず、
僕は出社できなくなった。

そして休職の末に退職した。

家族には
報告しなければいけないと思い、
母親に報告した。
母親は心配してくれ、
新たな道に進むことを押してくれた。
そんな母親から、
「父さんにも伝えなさいね」
と言われたので、
『否定されるんだろうな』
という考えがありつつも、
親父に退職したことを報告した。

親父から来た返答は
意外なものだった。

「父さんもそういう性格だからわかる。
北海道帰って来てもいいんだぞ。」

その一言だけだった。

「3年は続けなさい」とか
「ここでやめたら次も辞めちゃうぞ」
などの返答を想定していたから、
意外だった。
否定されると思ってた人からの、
フォローの言葉は、
心が解放される思いだった。

その後ゆっくり、
人生の間に親父と交わした
やり取りを思い出してみると、
ひねくれてるのではないとわかった。

話を否定してくる時も、
僕を叱ってくれた時も、
悩んでいるときに
声をかけてくれた時も、

「考えが浅はかではないか?」

「人様に迷惑をかける
判断をしていないか?」

「答えらしい答えを
疑うことなく受け入れていないか?」

「本当に考え抜かれているのか?」

これらのことを、
僕に考えさせるために
問い続けてくれたのだと理解した。

会社勤めを辞めるにあたって、
僕は人生で一番悩み、苦しみ、考えた。
そんなことを見越して親父は
一言だけ返答してくれたのだろうと
今は思う。

そんな親父からの教えは、
僕の心に根付いており、
大事な価値観として残っている。
いつか子供ができた時には、
地位でも権力でもなく、
人としての考え方を
見せられる親父でありたいと思った。

ただ、
絶対に会話でいきなり
話を否定をすることは、
僕はしない。笑

親父の教育を全て踏襲しない僕も、
おそらくひねくれてる。


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とても嬉しいです。ありがとうございます。
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Wataru

essay

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