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始まりの挨拶と木彫りの熊とセワポロロ(北海道)_20190122

郷土玩具の日記?を始めました。

ところでかれこれ10年くらいでしょうか、リサイクルショップやヤフオクや骨董市などで安く木彫りの熊を買い集めては、熊の毛並みの彫り跡に合わせてカラフルな化粧を施す作品をつくっています。
冒頭の写真のような作品で、最近も以下のような感じで継続してつくっています。


さらに以前の作品はこちらでまとめて見られます。
「渡部剛の狼煙雑記」(こちらの更新は止まったままだな。。)

木彫りの熊といえばかつての北海道土産の王様で、居間のブラウン管上に鎮座していたイメージがありますよね。
北海道と熊だからアイヌ文化由来かと思いきや、実はこれ大正時代に生まれたものなのです。江戸時代が終わって近代となり、北海道に入植した尾張徳川家のお殿様が新婚旅行でスイスのベルンに行った際、ご当地のシンボルであった熊の木彫り人形(ベルンとは"ベアー"という意味なのです)を持ち帰ったのがきっかけです。
農業などできない厳しい北海道の冬の間に、このお殿様は農民にこのスイス土産を手本に木彫りの熊をつくらせたのが始まりです。
木彫りの熊の第一号は鮭をくわえていません。
ちなみにこちらはベルン市の紋章。

この辺りのくわしい話をもっと知りたければ、こちらの記事がわかりやすいと思います。函館近郊にある八雲という町が発祥の地で、ここにはおびただしい数の木彫りの熊が展示されている資料館もあります。僕も数年前に訪れたことがあります。


このように木彫りの熊に魅かれて10年ほど経つわけで、心の中では「一からつくってみたいのだけど、木彫りはなかなかハードル高いよなあ。。」と思っていたところ出会ったのがこの本。

なぜ今までこの視点に気がつかなかったのか、と衝撃を受けました。
あー「郷土玩具」ってあるなー。日本全国の色んなところで、"その土地の素材でその土地特有の文脈(神話や民話や祈りなど)"題材にささやかなるものたちをつくってきたんだなーとえらい感動しまして。

思えば、ここ数年、「陶芸やりたいなー」「パン屋やりたいなー」と言ってまして、そのどれもが"設備の投資コストでかい問題"で現実的ではありませんでした。しかし自分を農閑期の農民(もちろん豊かでない)に置き換えて考えてみたところ、「(郷土玩具の中でも張子人形なら自分でも、、!)」と思い至りました。

また陶芸もパンも木彫りの熊も、「手のひら」の中でつくられるものという意味では同じで、僕の好きな領域であり、張子はちょうど良いのではないかと思っています。

手始めの手習いとして、いろいろな形をつくりながら、さらにいろいろな土地のことを知ることができて楽しいので、日本全国47都道府県にある郷土玩具を張子でつくってみるシリーズを開始しました。
北海道から開始して最後は沖縄まで。徐々に公開していきますが、既に東北地方まで来ています。

木彫りの熊は既に触れましたが、ヘッダー画像の右側、セワポロロについて。

後ろの木製のものはオリジナルです。
セワポロロとは樺太先住民族のウィルタ族の木偶を参考にして網走でつくられた守り神です。北海道旅行が盛んになった1960年代に、網走の民芸品店「大広民芸店」でつくられたそうです。
とにかく見た目がキュート。無印良品でも売っていた記憶があります。

大広民芸店さんへのインタビューで詳しいことが話されていて興味深いです。


子供の頃、北海道の親戚と家族で北海道旅行をした際に網走に行ったことがありますが、いつか再訪してみたいです。網走には高倉健映画やゴールデンカムイ(オソマおもろい)の舞台ともなった網走刑務所もあって、ここは刑務作業製品の箪笥など質の高い製品の即売所もあったり、ユニークなお土産を売っていたりします。

張子制作に使う粘土や和紙や糊やジェッソや絵の具や筆や竹串やなんやかんやを買いたいのでサポートしてください!!