雑誌とコノビーと私

アナログ人間誕生

十数年、某ファッション雑誌の編集者としてさまざまなページを手がけてきた。

ファッション誌は、言わば「夢の世界」。

編集者は、その雑誌を手にとってくれた人に、現実よりもちょっと背伸びをした憧れの世界観を存分に味わってもらい、雑誌の金額以上の価値を感じてもらうことに注力する。

雑誌編集者の座右の銘は、「不眠不休」。

業務の9割が体力的にも精神的にもつらい日々が続く。

でも、みんなトレンドの最先端にいるという自負と、自分が企画から手がけたページが世の中のトレンドを動かすという1割の快感が麻薬のように脳内をかけめぐり、それがまた新たな企画への原動力となっていく。

ハマったら二度と離れられない。それがファッション雑誌編集者。

新たな決意

そんな私がWEBの世界に飛び込んだ。

紙でもまだまだやりたいことはあったし、紙でできることの可能性も広げたいし、もっともっと人の印象に残るような写真やアートディレクションも学びたい。希望は無限——。

でも、なにかが足りない。それはなんなのか。

編集経験10年をすぎたころ、言語化できない不安と、物足りなさを感じ始めたが、それはすぐに形となって現れた。

その頃、訪問していたすべてのクライアントから、「雑誌広告とSNSとの連動はできないか」「雑誌とWEBを連携させて企画を作れないか」。

…はい。できません。私、紙しか知らないので。(大門未●子風)

本心ではこのような叫びを繰り返していたが、仕事が発生した以上、世の中の流れに身を任せ、未知のままでもやらざるを得ない。

アナログな世界にどっぷりと浸かってしまっている私ふくめ、周囲の人々も「?」マークを抱えたまま、企画を納品する日々が続く。

納得できないまま、現状だけの編集経験で、この先私はどこに向かうのか。その思いが「物足りなさ」となり、新たなステージへいく決意となった。

2017年新世界への旅

紙の編集経験があれば、正直なんとかなると思っていたが、これが大間違い。

読者へのメッセージをどのような構成で伝えるかということは共通している部分は多いが、とんでもなく違うと感じた部分は、「タイトル」と「コンテンツをどのように届けるか」というところ。

まず「タイトル」は雑誌の場合、「購入させる」動機づけであり、それはコノビーでいう「記事をクリックさせる」ことと似ている。が、その作り方は全く違う。

雑誌はよりエモーショナルな造語で読者を引っ張り込むが、コノビーはより読者の共感、いまそこにある問題をどれだけ上手く言語化できるか、ということであり、使う頭の筋肉は全く別物であった。

そして、「コンテンツをどのように届けるか」は、コノビーの場合、リアルタイムで記事の反応が分かる分、公開後の調整が可能であるし、自社サイト以外のSNS等のツールを使って、編集者がその記事が読者に届くまでの過程を立体的にデザインできる。

雑誌ならば、校了後に媒体のSNSアカウントに編集者自身が最小限の工数でコンテンツの予告をしたりするが、その他発売前後の媒体の告知等は、出版営業部、マーケティング部、広報部などすべて他部署の仕事として捉えていて、雑誌がどのように読者に届いていくのかを一部始終把握している編集者は多くなかった。

アナログ人間の進化

2つの媒体の違いをひとことで言うならば、多少媒体によって差異はあれど、雑誌は「読者に憧れを売る=媒体主体」、WEBは「読者の課題にどれだけ寄り添えるか=読者主体」という方式が今、私の頭の中には存在している。

「これからどんなにIT化が進んでも、編集という仕事は絶対に人間でなければできない」――。

編集者に憧れて憧れて、当時広告営業だった私が会社に掛け合って行かせてもらっていた専門学校の先生から初日に言われたこの言葉。

新しいものを生み出し、届ける力は、まだまだ機械にゃ、まかせられぬ。紙とWEB、時として水と油ぐらいの差はあれど、2つの良さを熟知して、ハイパーメディアクリエイターになるのが目下の夢(それは嘘)。

2つの特性をきちんと理解して、より読者にとって有益な情報を届けられるよう、これからもアナログ人間代表として、もっと、もがいていきたい、と思っている。そしてそれが、私の中の物足りなさを埋める最大のミッションとも思っている(大げさ)。

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kanako.watari(nakayama)

コノビー編集者。元ファッション雑誌編集者。

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