見出し画像

ビジネスの正しい撤退のタイミングとは?




多くの起業家がビジネスを立ち上げる際、成功のイメージに心を奪われがちですが、失敗や事業の終了についてはあまり考慮されません。


これは、結婚を控えた人が離婚の可能性を考えないのと同様です。


友人が結婚の話題になると、離婚について尋ねられても「大丈夫」と楽観的に答えるものですが、実際に分かれる際は予想外の困難に直面します。


私の経験上、離婚を経験した友人も、最初は離婚のことを考えていなかったと話します。


これは、ビジネスを始める多くの人が直面する心理状態と似ています。



成功への夢に満ちている一方で、失敗や事業の閉鎖についてはあまり考えたくない、そんな状況なのかもしれません。




つまり、始める前に廃業したときの事など全く考えていないのではないか?と言う意味です。





最近はネットにお金儲けの方法などの情報が溢れているため、多くの人が、経営者に降りかかる問題などを事前にリサーチせずにビジネスを始めています。



成功することだけに意識がフォーカスされすぎているのです。




とくに、ネット系のビジネスに参加してくる人の中には会社で使い物にならなくて退職することになった、




そもそも仕事人間とは言えない人たちの駆け込み寺のようになっているようにも見受けられます。



不祥事を起こした芸能人がYoutuberに転身することに似ています。





2005年前後はスマホやPCもほとんど普及していなくて、ネットだけで副業ができることなど、まったくと言っていいほど広まっていませんでした。



そのため私の世代の人達は、20代前半のときには、まず300万円以上のタネ銭を働いて貯めることが、当然だと考えていました。



例え、節約に節約を重ねて300万円を貯めたとしても、それで流行りの漫画喫茶を一件開けるかどうかしか商売を始める方法など、知りませんでした。



今のように簡単にネットでビジネスができるなんて、想像もできなかった時代だったのです。



そのため、私たちの世代は、いざ、タネ銭が溜まったときのために、経営者の本を何百回も食い入るように見て時間を潰すことしかできませんでした。



そのためか、撤退のことをしっかりと考えることが、強く意識できているのですが、



ネットでビジネスが簡単にできるようになって会社で仕事ができなかった人たちまでもが自分で商売を始めるようになったわけですが、



当然彼らはビジネスマインドを持っていないのです。



彼ら彼女らは、ネットビジネスに参入して、一時でも成功してしまうと、



その成功がずっと続くかのように考えてしまう傾向があるようです。




私から見ると、彼ら彼女らの特徴は失敗したときの、撤退のプランをまったく持っていないように見えます



よくあるパターンは、できる限り借入を増やすことで延命することを考えるケースです。





彼らの多くは、本来なら、撤退をするべきタイミングでも延命を考えます。




なぜなら、彼らは、普通の仕事には戻りたくないと、考えているようだからです。




しかし、ちゃんとした経営者なら、資金が0になる前に事業を精算し、雇われが嫌でも現実と向き合って、やり直すことを実行するのが普通です。



0になる前に事業を精算して、運送業でもセールスの仕事でもなんでも良いので、



一からやり直すことができる人なら、今回の話は必要ありませんが、


借入をずっと増やして、生き延びることを考えるような人に向けて、



今回は撤退のタイミングを一緒に、一から学び直そうと思います。



これは私自身も自戒の意味を込めて、ビジネスがどこまで後退したら撤退を決断するのか、



復習のため書いておこうと思います。


継続的な損失



私が20代前半のころ、ビジネスを自分で立ち上げるのが今ほど容易ではなかった時代でした。



まずは、タネ銭を働いて貯めるのが当然だと思っており、事実、私が20歳のときくらいには、



居酒屋FCの和民(わたみ)の社長などが、都知事選などに立候補する時代であり、



彼の著書の中にあった、「創業資金は佐川急便で300万円貯めた」という話も、非常に話題になっていた頃でした。



そのような時代背景から、私たちの年代は、ビジネスのスタート資金は貯めてから始めるのだという意識が強く根付いている状況と言えました。




そのような時代なので資金が貯まるまでの間は将来経営者になったら、どう行動するか、



どう経営するかを、経営者向けの書籍を読みながら頭の中でシミュレーションしていました。



その中で私が特に学びが深かったのは、ユダヤ人が、ビジネスをわずか3ヶ月で撤退するという話です。



商才に長けているとされるユダヤ人からは、多くを学ぶことができます。



彼らはビジネスを始める前にしっかりと計画を立て、最初の3ヶ月間はどんなに見込みと違っていても計画通りに資金を投じ続けますが、



3ヶ月が経過した時点で、将来的に予想される利益や売上が確実に見込めると思えない場合は、



彼らは迷わず手を引くと言う話でした。



貿易商のバイブル『ユダヤの商法』より抜粋


貿易商のバイブル『ユダヤの商法』より抜粋



その決断は、これまでの苦労や投資を顧みず、これ以上の損失を避けるためです。



一方、日本のビジネスマンの中には、半年やそれ以上の時間をかけても成果が出ないプロジェクトをさまざまな理由から続けてしまう人がいます。



「これまでの投資を無駄にできない」「雇われたくないから」といった考えが大半を占めていると思いますが、



このような考えは商売上手のユダヤ人から見て正しい戦略ではありません。



実際、ビジネスが初期段階でうまくいかない場合、早期にその道を諦める勇気が、長期的な成功への鍵となることが多いことを知っておくべきです。




しかし、会社での仕事を嫌ってネットビジネスを始めた人々は、計画がうまくいかなかったときのプランBやプランCをまったく用意していないのです。




その結果、初期の成功に安心し、ビジネスが下降線をたどり始めても、



撤退する適切なタイミングを見極められずに、最終的には借入を重ねてしまう傾向が多く見受けられます。



例えば、最近は登録者数が100万人を超えるようなYouTuberでも、以前に比べて視聴数が減少し、



それに伴い広告収入も下がっています。



このため、収益の低下により活動を停止し引退する、個人やグループが増えています。



原因は、参入者の増加により、視聴者の1人当たりの視聴時間が多くのYouTuberに分散され、以前のように簡単に再生数を稼ぐことが難しくなったからです。



この現象は、輸入ビジネスに限らず、どのようなビジネスも永遠に繁栄するわけではない、という現実を示しています。



だからこそ、ビジネスが行き詰まった時の対処法を、事前に考え、撤退のタイミングを見極めることが不可欠なのです。




ビジネスを始める前に、3ヶ月、半年、あるいは1年といった期間を定め、



その間に目標を達成できなければ、潔く撤退する勇気もまた経営者にとって重要な資質なのです。



結局、300万円を投じても、それでビジネスの成功と学びを得られるなら決して高い代償ではありません。



大切なのは、失敗から学び、次のステップに進むことです。




それが、ビジネスを成功させる人物に共通する考え方であり、ただ闇雲に、借入を重ねて事態を悪化させるよりも、時には撤退する決断も必要なのです。


ビジネス市場の変化



市場の変化への適応は、ビジネスの成功において欠かせない要素です。



挑戦を始めた際、うまくいかなければ、すぐに撤退する選択をすることは短絡的と見えるかもしれませんが



実はこれはユダヤ人が言う「ガラクタは一切背負い込まないですんだ」という考え方に沿った行動です。



問題なのは、ビジネスが開始してから初期段階である程度の成功を収め、2〜3年間、成功を継続した後のシナリオです。



このケースでは、一度大きな成功を経験してしまうことで、それを手放すことが初期段階で撤退することよりも難しくなります。



例えば、パチンコでスタートした直後から3万円が、すぐに消えてしまった場合、大きな演出もなければ、諦めがつきやすいと思います。




しかし、大当たりを引き、10連チャンなどの成功を収めてしまうと、撤退するタイミングを見極めるのが逆に難しくなったりもします。




多くの人は「再び大当たりが来るかもしれない」と、考えてしまうので、資金が尽きるまで、あるいはそれ以上の資金を投じてしまいやすいからです。



本当は出玉が残り2箱になったらキッパリとやめるか、もしくは全ての玉がのまれた時点で席を立ち、熱くならずに、一度、撤退するべきなのです。




では、ビジネス初期に見られた大成功は、借入をして延命し続けることで、もう一度再び得られるものなのでしょうか?

 


残念ながら大抵の場合、そうはいかないのです。



なぜなら、ビジネスを開始した当初に比べで市場環境が変化している可能性があるからです。




例え、そのビジネスが成長期にあるビジネスであっても、初期に利用した戦略や販売チャネルが飽和状態に達していたりして変化を求められるケースはかなり多いからです。



「アマゾンだけではなく、今はヤフーショッピングも検討する時期かもしれない」という思考は、市場の変化への適応を示しています。



しかし、2013年頃にアマゾンでOEMに挑戦した大多数のプレイヤーは、2018年になっても楽天やYahooショッピングへの移行を躊躇しました。



その結果、2018年以降の楽天やYahooショッピングを使った中国輸入ビジネスでは、




新規参入者の方がこれらのプラットフォームで成功を収めることとなりました。




この状況は、既存の中国輸入プレイヤーがアマゾンに慣れ親しんでしまい、市場の変化に対する危機感が、欠如していたことを示しています。



ひと昔前と同じ手法が通用しなくなったら、新しい方法を学ぶ必要があります。




しかし、資金が底をつく前に、その方法が見つかり、習得できる保証はありません。



そのため、新しいやり方を覚える必要があると感じた時点で一度撤退して、普通の仕事に戻ることも勇気のある正しい決断と言えるのです。


資金が底を尽きたら



2016年にAmazon OEMで月商が350万円まで到達した私の友人も、会社員時代に貯めた700万円が、



残り200万円になった時点で潔く撤退しました。



彼は事業をしている時は誰も自分を管理してくれないので、独立したばかりの時期には頻繁に車でドライブに出かけていたそうですが、



廃業したあとに「経営者ならやるべきことは無限にあった。例えば商品ページを改善するなどもっと努力できたはず」と反省もしていました。



しかし、それでも彼が賢明だったのは、全て自己資金でビジネスに挑戦し、資金が完全に底をつく前に撤退を決めたことです。



「借金してまで続けるつもりはない」という彼の決断は長期的な視野に立ったものでした。




その後、彼は新たな職に就くことができ、以前よりも条件は厳しくなったものの、変わらぬ努力で状況を改善していきました。



また、その彼は、その時に残しておいた余剰資金を、彼の友人が見つけた、次の儲け話で10倍近くに膨らますことに成功したのです。


モチベーションの低下


また、経営者のモチベーションが低下した時点でのビジネスの撤退も利益が出ているかどうかにかかわらず重要な検討事項です。


短期間の休息で回復可能な場合は別として、



例えばパートナーとの別離など私生活の変化が原因で、特定の地域や市場との関連がなくなりそれがモチベーションの低下に直結することもあります。



中国人の奥さんや旦那さんと離婚したケースなどが、分かりやすいかもしれません。



そうした場合にも、ビジネスが利益をもたらしていたとしても、新たな興味や市場への転換を考えるかもしれません。



モチベーションの低下は、競合との競争においても、不利に働き事業の衰退を招く可能性があります。



そうした状況下でも「特定の条件が揃ったら撤退する」とあらかじめ決めておくことで、スムーズな撤退が可能になります。




家族持ちは撤退のタイミングが違う



また、ビジネスを行うにあたっての責任範囲は独身者と家族持ちでは大きく異なることに注意してください



独身であれば、極端な例としてパチスロやギャンブルで大きな借金を作っても最終的に「自己破産する」という選択肢があります。





独身者なら、ある意味でリスクを負いながらも、大きな賭けに出ることができるかもしれません。




しかし、家族がいる場合はそのようなリスクの取り方は適切ではない可能性が高くなります。



ビジネスにおいて自己資金の範囲内で行動し、家族の生活費を銀行からの借入金で賄うような状況は避けるべきだと思います。




万が一、働いても返せない額の借金を抱えてしまうとそれを返済するためにさらに借金を重ねるという悪循環に陥りかねません。



これは、単に資金があれば事業を継続できるというわけではなく、資金繰りに追われることで、ビジネスの戦略に使うはずの思考力まで奪われることになり、本来のビジネスの目的からも逸脱してしまう可能性があるからです。





家族がいる場合は特に、できる範囲内でリスクを管理しビジネスを行うことを考えましょう。



私の友人は、サラリーマンとして築いた貯金を基に、ビジネスを始めましたが撤退のタイミングについてはしっかりと計画的に行動したので、



最終的には新たな職場を見つけて安定した収入を得ることができました。




これは、撤退する際にも次の機会に備えて資金を残しておくことの重要性を示しています。




最終的に家族を守るためにもビジネスでの失敗から学び未来の成功のために資金を確保することが肝心です



家族がいる人は確実に成功する見込みがある場合を除き、借入れに頼ることなく自己資金の範囲で事業を行うことを優先的に検討するべきです。



「家族がいるから頑張れる」ことは理解できますが、だからと言って、延命するためにどこまでも借金を増やして良い理由にはなりません。




これは、ビジネスだけでなく、家族の未来に対する、責任ある態度と言えると思います。



ただ、人生賭けて勝負している、という人は、この話は無視するしかないと思いますので、



そのような人に向けて次回以降は、




『限界まで借入をしても問題ない人の特徴』について詳しく解説します。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?