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新しい商売の形。コミュニティは信頼を取引する経済圏である。

私が主宰する地域オフラインコミュニティ、MerCS。田舎の50人程度の小さいサークル。ただスポーツをしたり、会食をしたり、イベントを開催したり、田舎生活を楽しくするためのコミュニティである。
コミュニティ名はMercuries’ Community Salonの略なのだが、僕はちょっと変わった意味を持たせている。
英語でmerc-は”商売”の意味を持つパーツである。このコミュニティの前身であるバレーチーム「マーキュリーズ=水星」の名も、商業を司る惑星である。では、このコミュニティと商売になんの関係があるのか?と、首を傾げる人もいるだろう。金儲けの団体なのかと怪訝な顔をする前に、少しだけ僕の話を聞いて欲しい。

僕は、この商売という単語を、金銭を用いた等価交換とイメージするのは、いささか視野が狭いと考えている。
と言うのは、個人の信頼が蓄積されれば、本来お金を払っていたものをタダで享受できることがあるからだ。
例えば、余った野菜をお裾分けしてもらったり、何処かへ行く時についでに車に乗せてもらったり、帰りが遅くなった時は家に泊めてもらったり。逆に、いくらお金を積まれても、怪しい人は車に乗せないし家にも泊めない(お金を積まれた方が恐い)。おいしい野菜も、知らない人より大切な人に食べてもらいたい。そう考えると、通貨よりも個人の信頼の方が価値がある場合があると言える。

このように、お互いの信頼をもとに、ものやサービスを循環させることもまた、経済と呼べるはずである。そして、そんな経済圏で生きる者にとって、信頼で物事を取引することは”商売”、その取引をする者を“商人”と言っても過言ではない。
僕は、この団体をそういう経済圏にしていきたいと考えている。そして、既にそれは実りを上げている。

数年前、会員の中のとあるカップルのために、僕を含む他の会員たちで結婚式を催すことがあった。プロの業者の手を一切借りずに、一からプランを立て、チャペルで式を挙げさせ、その後に親しい者で盛大にパーティーをした。本当に何から何まで自分たちでやったのだ。
予算は、パーティー参加費(1人数千円)とカップルからの依頼費(十万円)の中でおさめた。カップルからしたら、十万円で結婚式を挙げたことになる。
しかも、当初はシンプルなパーティーの依頼であり、一連の結婚式の予定ではなかった。それが、いつのまにか、催す側が勝手に高揚し、サプライズで結婚式を挙げさせてしまおうとなったのだ。ドレスアップさせられ、突然チャペルに通された2人は、間違いなく戸惑ったであろう。しかし、その経験をかけがえのないものと捉えられる2人であると確信していたから僕たちも実行に移せたのだ。

一般的に考えて、十万円では結婚式は行えない。さらに、このような希少価値の高い出来事はお金では買えないし、仮に買えてもお金で買ったサプライズなんて興醒めである。依頼したカップルと喜んで貰えると確信した僕たち、その間には間違いなく信頼で成り立つ”商売”が存在していた。
その後も、僕たちの団体では、ところどころで大なり小なり商売が繰り広げられている。おそらく、みんな、無意識の内に行なっている。僕は、その様子を見て、「今日もここの経済は順調だな」と、ニヤニヤしている。新たな経済圏を作り出すなんて、こんなエモいことはない。

インターネットの普及とそれによる価値の多様化により、人は共感できるコミュニティを追い求めるようになった。その結果、標準化された幸福像は崩壊し、人は物質的充実より経験的充実に重きを置くようになってきている。“何が欲しいか”より、“何をするか”と“誰とするか”が大切なのだ。

さらに、幸福のためにひたすら働いてお金を稼ぐ時代は終焉に向かい、信頼を集めれば個人では調達不可能なお金や労働力が自然と集まる世の中になってきた。クラウドファンディングやオンラインサロンが最もたる例である。
これからの時代、幸福になるために必要になってくるのは、間違いなく信頼を蓄積する力だ。そのためには、なんらかのコミュニティに属し、その中で貢献することが必要であると思う。

千葉県旭市に公民館的飲食店を開店予定です。 店をたくさんの本で埋め尽くしたい。OA機器を揃えたい。イベントで使うAV機器も必要etc...だけどフトコロが厳しいんです。汗 少しでもサポートしていただけたら嬉しいです。 よろしくお願いします!