見出し画像

特別企画 けいおん!豊郷聖地巡礼(1)

Bonjour ! お住いの地域によってはもう梅雨が始まった所もあると思いますが、皆様はいかがお過ごしですか? 普段はフランスとフランス語の話を中心に書いておりますが、今回は思いきり趣向を変えて私の大好きなアニメ『けいおん!』に登場する女子高の舞台のモデルとされる、豊郷小学校旧校舎群を訪問した話を書きたいと思います。

『けいおん!』とは、2007年春から2010年秋まで漫画雑誌『まんがタイムきらら』に連載されたかきふらい原作の四コマ漫画で、2009年の4月にTBSでアニメ化されると若者を中心に爆発的な人気を博した作品です。部員が4、5人だけの小さな軽音楽部の、のんびりとしながら心温まる日常を描いたコメディーですが、製作したのがあの京都アニメーションだけあって青春のはかなさと細かな心の動きが所々美しく表現されています。私がこの作品と出会ったのはすでに連載が終了した後でしたが、しだいにそのキャラクターの魅力に魅かれ、再放送でアニメを観たのをきっかけにすっかり人生の宝物にしてしまいました。

この『けいおん!』の登場人物が通う女子高の外観のモデルとされるのが滋賀県豊郷町にある豊郷小学校旧校舎群で、1937年に数々の日本の近代建築を手がけたウィリアム・メレル・ヴォーリズの設計により建設されました。新校舎が南側に建てられてからは解体の危機にも陥りましたが、結局保存が決まりアニメ『けいおん!』の放送が始まってからは国内外から大勢のファンが訪れるようになり現在に至ります。遠方にあり当初は私も訪れるのに二の足を踏んでおりましたが、2019年7月にこの作品を制作した京都アニメーションが放火され大勢のアニメーターが亡くなる事件が起きると居ても立ってもいられなくなり、追悼の意味も込めて翌月初めてこの旧校舎に足を運びました。

先月の末、久しぶりにこの豊郷の町を訪れ、この『けいおん!』の聖地をじっくり楽しむことが出来ました。白亜の旧校舎の三階に部室のモデルとされる音楽準備室があり、板張りの床の上にアニメの設定と同じようにティーセットの置かれた机が並べられて作品の世界観をそのまま再現しておりました。また黒板とホワイトボードには登場人物の似顔絵やメッセージがみっちりと描かれ、いまだ衰えない人気の高さを感じました。奥の物置には、作品に登場する顧問の先生(写真右端の女性、通称さわちゃん)手作りのコスプレ衣装(セーラー服やメイド服など)がひっそりと展示されており、そのこだわりの強さに驚きます(笑)

校舎の両側には旧図書館と講堂があり、前者は奥に『けいおん!』のコーナーがあって実際に登場人物が使ったとされるギターやベース、ドラムやキーボードといった学期がずらりと並べられています。フィギュアとグッズはほぼ全種類展示され、『けいおん!』の連載された雑誌や各国語版の単行本も読むことができます(もちろん、私はフランス語版のものを読みました)。後者の講堂は軽音楽部のメンバー(バンド名『放課後ティータイム』)が学園祭と新入生勧誘会でライブをする場所と言う設定で、中に入るとその雰囲気を味わうことが出来ます(残念ながら、当日は別の催しがあり立ち入ることが出来ませんでした)。また旧図書館の中には観光案内所がありますが、ここで売られているソフトクリームは味が絶品なのでおすすめです。

当日は日曜だったということもあり、ファンと思しき訪問客が沢山訪れていました。先ほどお話した音楽準備室にも入れ替わり立ち替わりグループやカップルのお客さんが来て、面白そうに室内と装備品を眺めていました。観光案内所の人にそのことを話したら「今日はまだ少ない方」と言われ、連載とアニメの放送が終わって10年たった今でも『けいおん!』が愛されていることを知り嬉しくなりました。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?