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中野喫茶室ー2場①


    入口ドアあき、キラキラした二人が入ってくる。二人ともサングラスにマスクスタイル。

店員1    いらっしゃいませー

新人役者   二人

店員1    空いているお席にどうぞー

役者     (見渡し)ソファしか空いてないじゃん

サラリーマン よーし

    ソファに座る二人。
    人間ジュークボックスに百円を入れる。譜面を繰っている。

新人役者   すいません

店員1    はい、お待たせいたしました。

新人役者   僕は紅茶、ホットでお願いします

店員1    かしこまりました

役者     俺・・・コーヒー、無し無しで

店員1    コーヒー無し無しで、かしこまりました。紅茶はレモンとミルクはどうされますか?

新人役者   両方無しでお願いします

店員1    かしこまりました~

    店内見回してるタレント二人。
    サラリーマンが選曲を終えて、曲が始まる

【音楽】   「M3(BEGINのような曲)/ナリナリ」

    音楽が鳴っている間、それぞれの時間が続いている。音や言葉は、まじりあい、カオス。
    音楽終わり、人間ジュークボックスに

サラリーマン 音楽は最高の癒しだね。僕はこの喧噪感がたまらなく好きなんだよ

店員見習い  (ソファ席に)お待たせいたしました

役者     ありがとう

サラリーマン ね、そう思うでしょ?

店員見習い  ・・・

サラリーマン 癒されるでしょ?

店員見習い  うるさいだけです

サラリーマン それがいいんじゃない

店員見習い  ・・・

サラリーマン 人の声が聞こえて、食器の音がそれに重なって、そして音楽が聞こえている。たまらないよね~

店員見習い  (何か言いたげにサラリーマンの顔を見ている)

サラリーマン そっかそっか(ニコリ)

店員見習い  ・・・うるさいだけです

サラリーマン そっかそっか(ニコリ)

店員見習い  (食ってかかりそうな怒り顔)

サラリーマン 大丈夫大丈夫(ニコリ)

店員見習い  ・・・暗いと思ってるんですよね

サラリーマン 思わないよ~あー癒された。お会計お願いします。

店員見習い  ・・・

    サラリーマン、荷物を取ってレジカウンターへ。

店員見習い  420円になります。

サラリーマン はい。ありがとう(ニコリ)

店員見習い  ・・・(一応ペコリ)

店員1    ありがとうございました~

店員見習い  チッ

店員1    はい舌打ち罰金千円ね

店員見習い  は?

店員1    今したでしょ、舌打ち。チッて聞こえるようにわざとやったでしょ

店員見習い  ・・・

店員1    したよ、罰金ね

店員見習い  くだらね

店員1    はい?

店員見習い  なんですか舌打ち罰金って、ガキじゃないんだからそんなくだらないこと言わないで下さい

店員1    (見てる)

店員見習い  なんですか、くだらないでしょ、ガキくさいこと言ってるからくだらないって言ったんです、なんかおかしいですか

店員1    チッ!チッ!チッ!チッ!チッ!

店員見習い  ・・・

    怒りでガチャガチャ音を立ててバックヤードへ
    無駄にかっこつけてたタレント二人、やっとサングラス外し

役者     はあ~

新人役者   悩んでますね

役者     お前とは違うんだよ

新人役者   大丈夫ですよ、ちょろいですよ

役者     ちょろくねーよ

新人役者   あの人、ただのマネージャーですよ?簡単ですって、

役者     あの人俺の事もうどうでもいいんだぜ?俺見捨てられたんだぜ?

新人役者   大丈夫です適当でしょうあんなの

役者     何がだよ

新人役者   かわいさアピールでいちころですよ

役者     かわいさって、なんだよそれ

新人役者   先輩、泣けますか?

役者     は?

新人役者   泣くといいですね。とりあえず今日は泣いといた方がいいと思います。

役者     なんで泣くんだよ

新人役者   え、理由なんかないですよ、泣けばいいんですって

役者     それで?

新人役者   それでああこの子はなんてかわいいのってなるから大丈夫ですよ、僕たちのこの顔はなんのためにあるんですか?

役者     なんのためだよ

新人役者   ずばり、泣き落としのためです

役者     マジか

新人役者   僕は事務所入って半年ですけど6回かな?

役者     マジで!月一で泣いてんの?なにそれ

新人役者   今は泣かない期です

役者     そんなこと言ってて大丈夫なのかよ

新人役者   大丈夫ですよ、誰もいないから

役者     いねーけど

    手を止めて半分振り返りそうになりながら二人の話を聞いていた作家、慌ててPCに文字を打ち込みだす。

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