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中野喫茶室ー1場②

作家     (ノートPCなど机上整え)すいませんメニュー一つ!フフフ、メニュー一つ!って、オーダーかっての、ハハッ俺おもしれ、あ、これ書こ、メ―ニューひーとーつー・・・

店員1    はいただいま~、持ってけ

店員2    かしこまりました~

    持っていき

店員2    お待たせしました、メニュー一つお持ちしました

作家     

店員2    お客様、メニュー一つお持ちしました!

作家     ちょっと・・・

店員2    え?

作家     やるじゃないの・・・やるじゃんちょっと、俺の「メニュー一つ」に動じないこの対応、普通揺るぐでしょ、「お客様、メニューはメニューの中にございません」とかなるんじゃないの?普通、そうでしょ、あれ?メニューはメニューの中にございません・・・いいね、これいいね、使えるね、これも書いとこ。おーきゃーくーさーまーめーにゅーはーめーにゅーのーなーかーに・・・

店員2    ?ご注文決まったらお呼び下さーい!

    戻り、

店員2    なんすかあの人

店員1    お前いい加減覚えろよ、サッカ君だろサッカ君、毎日来てんだろ、ほんとお前一人も客覚えないな

    バックヤードに消える店員1

店員2    サッカ君・・・へえ~・・・なに人なんだろ、めっさ日本人ぽい顔してるのに、え、なに人?サッカ・・・マッカーサー・・・サッカルトル・・・サッカジョニー・・・ジョニーサッカ・・・ボブサ・・・あ。

店員1    (戻り)違うな、ボブサッカじゃない。

店員2    え!違うんすか!え!ボブサップ系じゃないんすか!え!違うんすか!え~じゃなんだろー作家オーダー入れちゃいまーす!

店員1    はいただいま~。

作家     えーとねー今日はねー・・・

店員1    アメリカンコーヒーになさいますか?

作家     !え!え!ええー!なんでわかったかなーえ!すごいなんで!えー!

店員1    アメリカンコーヒー一つで

作家     はい!お願いします!

店員1    かしこまりました。少々お待ちください

作家     ・・・そーこーにーはーちょーうーのーうーりょーくーをーもったー店員―がーいーた・・・って!俺・・・想像の宝箱(うっとり)・・・

店員2    さすがパイセン。さすがっすね

店員1    オーダー入ります、アメリカン

店員2    マジすげーっすね、

店員1    お前さあ

店員2    はいっ!

店員1    いい子だなあ(バックヤードに消える)

店員2    え!先輩!マジっすか!え!ちょっと!嘘ですよね!?(バックヤードに追う)

    買い物袋(紙袋)を持ち、戻ってくる店員見習い、客がいるのを見て

店員見習い  ・・・

    レジに入り、ぼーっと立っている店員見習い

店員1    出てきて

店員1    ・・・

店員見習い  ・・・・

    新聞を読む店員1

店員1    ・・・お前なんかあるだろ

店員見習い  どうも

店員1    暗いなお前

店員見習い  ・・・(見ている)

    コーヒーを持って出てくる店員2

店員2    あども!

店員見習い  ・・・

店員2    お客様大変お待たせいたしました!アメリカンコーヒーになります!

作家    (PCに集中していてそれどころじゃない)今のってるから

店員2    はい!?

作家     僕!のってんの!

店員2    え、どこっすか?(PCのぞきこみ)

作家     あここね、ここのってるからってのってないよ!のってるって言ってるのよ!もう!バカ!

店員2    (ニコッ)ごゆっくりどうぞ~!

    戻り

店員2    あの人ちょっとアレなんすかね?ハハッ

店員3    (店員2を睨み付け)

店員2    はい?

    ドア開き、入ってくる客

店員2    いらっしゃいませーお客様おひとりさ・・

店員1    お好きなところどうぞ~お前行け(見習いに)

店員見習い  ・・・(メニューと水を持っていく)

営業マン   は~(ソファにどっかり座る、ネクタイゆるめ)

営業マン   コーヒーちょうだい

店員見習い  (ペコリ)

営業マン   暗いな~あの子暗いな~暗い暗い

    おおげさにため息をついたり、きょろきょろと落ち着かない営業マン

    ドアが開いて入ってくるサラリーマン。勝手に定位置席(テーブル3)に座る。

店員2    いらっしゃいませ~あ、俺行きまーす

    オーダーを伝えにバックヤードに入る店員見習い
    対照的な二人の店員を見ている店員1

サラリーマン いつものお願いします

店員2    かしこまりました~いつもの入りまーす(カウンターに戻り)いつものってなんですかね?

店員1    え?知らねえよ、コーヒーでいいんじゃね?

店員2    マジっすか、そっすね、いつものコーヒー入りまーす

    バックヤードに入る店員2

営業マン   あ、ちょっと、ちょっと

店員1    あどうも、いつもありがとうございます~

営業マン   え、嬉しいなー覚えてくれてんの?

店員1    覚えてますよ~休憩ですか?

営業マン   え?あーそうそう、休憩よ休憩、いやー疲れるよねー

    ひたすらPCに打ち込んでいる作家。キーボードがカチャカチャ鳴り続けている

店員1    お疲れ様です

営業マン   あでも休憩って言ってもあれよ?営業じゃないよ?これよこれ

店員1    あー、そっちですか、どうです?今日調子は

営業マン   聞いてよ、ちょっと、聞いてよ、聞いてくれる?そのために呼んだんだけど聞いてくれる?ちょっと

店員1    聞きましょう

営業マン   今日5番

店員1    5番?

営業マン   ハハハハハ抽選で引いちゃったのよ!

サラリーマン よしっ!(微笑んでいる)

    サラリーマン、鞄から財布を出す。小銭がない。ズボンのポケットを探り、百円玉を握る。人間ジュークボックスに近づき、箱に百円を入れる。譜面台から曲を選んでいる。

店員1    じゃ好きな台、選びまくりっすね

営業マン   そ。何打ってると思う?

店員1    えーなんだろーやっぱルパンっすかね~

営業マン   と、思うでしょ?

店員1    え、なんですか、違うんですか?

営業マン   違うのよ!聞いてちょうだい!

店員1    え、なんなんだろ~なんか調子よさそうだしな~

営業マン   これが!今更マリンちゃんなんだな~

店員1    えー今更海物語ですか!大丈夫っすかソレ

営業マン   思うでしょ?え、思うでしょ!?今更って思うでしょ!?

店員1    おおお~っその感じはちょっと!

営業マン   そうなのよ!きちゃったのよ、朝から12連チャン!

店員1    ええ~っマジですか!12連チャンですか!え!どこの店ですか

営業マン   グランパー!!

店員1    グランパ来た~!

営業マン   いや俺調子悪かったのよ、ほんと、神様もういないな~って諦めててさー給料も前借りしちゃってるし、ほんと今月の家賃とかどうしよって感じ?

店員1    うわ~

営業マン   え家賃とか毎月ちゃんと払ってる?え、お兄さん実家?え、一人暮らし?え、結婚してる?いやそれはないね、ないわ、してなそ、てかできなそ・笑

店員1    えーそんなー家賃くらい払えるときはちゃんと払いますよ~

営業マン   うっわ、ダメそ~って俺も3か月払ってないけど!笑・でも今月は払えるからな~

店員1    12連チャンですからね~いいな~

    サラリーマンが選曲を終え、人間ジュークボックスに曲を伝える。
    歌いだす人間ジュークボックス

【音楽】  「M2(2分程度、ミディアムテンポ、明るめの曲)/ナリナリ」

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