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中野喫茶室ー3場①

    曲中、テーブルの上を片付ける店員。作家は、また書く作業に戻っていく。
    時間経過。
    曲の終盤、経過時間まで、時計を進める店員1。
    曲が終わり、店内、店員2と、作家のみになっている。

店員2    コーヒーおかわりお待たせしました。

作家     ありがとう

店員2    来ないっすね

作家     何が?

店員2    事件ある感じのお客さん

作家     うん、来ないね。て言うか、客が来ないね。ヤバいね

店員2    それ俺らもヤバいっすね・笑

作家     じゃ僕、祈ろうか

店員2    え?

作家     %&#$?¥@#〇◆☆Д ◎!!!!!!

    入口のドアが開き、入ってくる客。マネージャー

作家     びっくりしたー

店員2    マジすげーっすね・笑・いらっしゃいませー(さっきの客であることに気づき、)あ。

    見渡し、ソファ席に座る、マネージャー。

マネージャー コーヒーください

店員2    (ムッとして)はい

    バックヤードに消える店員2
    テーブルにファイル、手帳など出し、仕事を始めるマネージャー。
    ・・・無関係なのに少し緊張している作家。
    暫し後、

店員2    (コーヒーを持ってきて無言で置く。ガチャン)

マネージャー (見て)・・・

店員2    (ムッとして見ている。行こうとして)

マネージャー 態度悪いですね

店員2    ・・・

マネージャー 客商売なのに

店員2    ・・・すいません。ごゆっくりどうぞ。

マネージャー そういうことじゃないですよねえ

店員2    ・・・

マネージャー ・・・何?

店員2    昼間も来てましたよね

マネージャー ああ、迎えにね

店員2    俺ちょっと聞きたいんですけど、

    マネージャーの電話が鳴る。

マネージャー (見て)あら(出る)お疲れ様ですーお世話様です、先日はありがとうございましたー・あ、ちょっと待ってください(手帳だけ持って外に出る)

店員2    (憮然としている)

    入れ替わりに入口のドアが開き、飛び込んでくる営業マン

店員2    あれ、

営業マン   ちょっと、あれ、千円貸してくんない?

店員2    は?あなたさっきのコーヒー代も払ってな・・・

営業マン   あれ、店長は?

店員2    はい?うち店長はいませんけど、ちょっとなんなんですか

営業マン   えー店長いないのか~ダメだ急いでんだよ、ちょっと千円貸してくんないの、あもういいや、ちょっと

    人間ジュークボックスに走り寄り、箱からジャラジャラと小銭を取り出す

営業マン   ちょっと千円貸して、悪いね、倍にして返すからさ

店員2    ちょっと!

営業マン   あとちょっとでくるんだよ、大丈夫だって、あとちょっとだから待っててよ、今日のはでかいぜーこれまでのツケ全部返せるぜ多分!ありがとね!

店員2    え、ちょっと!

    走って出ていく営業マン

店員2    (怒りが爆発しそうになり)・・・

    戻ってくるマネージャー

マネージャー 何、何か言いたいことあるの?

店員2    どいつもこいつも・・・

マネージャー は?

店員2    どいつもこいつもなんなんすか、あなたなんなんすか、マネージャーさんかなんか知らないけどそれってそんな偉いんですか

マネージャー は?何、いきなり

店員2    若くて顔がいい男まわりにはべらせてそれで幸せですか、疑似ハーレムですか、ホストクラブごっこですか

マネージャー は?何言ってるの、

店員2    あの子はなー(人間ジュークボックス)自分の人生歌って百円もらって・・・百円しかもらってないんですよ

マネージャー だから何、私には関係ないでしょ

店員2    チャラチャラしてるように見えても一生懸命生きてたり、スタバ破産寸前になるまで頑張って毎日着るもの悩んで一生懸命悩んで、そんなんしてるのわかりませんか

マネージャー なに?うちの子たちのこと?は?スタバ?

店員2    ちょっと聞いていいですか、なんであの子の事信じなかったんですか

マネージャー あなた店員さんでしょ?客の会話聞いて何かそれに対して言ってるってこと?え、どういうこと、

店員2    関係ないっすよ、俺は見てて疑問に思ったから聞いてるんですよ

マネージャー (ため息つき)疑問に思う客だっているでしょう、それ喫茶店の日常なんじゃないんですか?あなたもしかして疑問に思ったらそれをお客さんにいちいち聞いてるんですか?腹が立ったらそんな風にお客さんに文句言ってるんですか?そんなのあり得ないでしょう

店員2    俺は・・・

マネージャー 何

店員2    俺は、店員とかそんなんの前に人間だから

マネージャー だから?

店員2    俺はなんか。よくわかんないけど、嘘とか、人を売るとか、なんかそんなんで誰か傷ついたりなんか、そんなんが

マネージャー アホくさ

店員2    どうせ俺はアホだーー!!

    店を飛び出していく店員2
    バックヤードから出てきて見ている店員1

作家     え、あ、ちょっと、え

店員1    ・・・お客様、よろしかったらどうぞ(クッキーかなにか、小皿に乗せ)

マネージャー どうも

作家     え、大丈夫ですか?俺、ちょっと探してきます!鞄置いときます!食い逃げじゃないですからね!

    店員2を追って出ていく作家

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