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革命的名著「THE CULTURE CODE」の内容をスライド4枚にまとめてみた

会社の先輩の勧めで「THE CULTURE CODE 最強チームを作る方法」という本を読んだのですが、これがここ最近読んだ本の中では革命的とも思えるくらい面白い明日から実践できる内容が盛り沢山だったので、無理を承知でスライド4枚にぎゅっと凝縮してみました。

実際に本書の内容を自分でいくつか試したのですが早速効果が出ており、内容の普遍性・即効性に少々ビビるレベル。特筆すべきはその具体例の豊富さです。ありきたりな「べき論」だけでなく、それを実務でどう行うべきか、様々な実例や言葉を元に展開されているのが本書の最大の特徴。

一方でチームマネジメントの実例が多種多様で(軍隊から窃盗団まで)あるがゆえに、一読しただけだとやや主張に重複があるように見えたり、結局何をすればいいのかというところが少しぼやけるというのも率直な感想でした。

「これは勿体無い!」と思い、自分自身の学びのためにも本書で主張されていることを構造化し具体的なアクションレベルで整理しておこうと思ったのがこの4枚であり本記事です。まずはぜひ本書を一度購入し目を通されることをお勧めしますが、その上で実践内容のサマリとして本記事がお役に立てば幸いです。

ハイパフォーマンスなチームを作るためには、1.安全な環境を作り、2.弱さを共有して、3.共通の目標を持つべし

まず根幹となるメッセージ。ハイパフォーマンスなチームを作るためには
1. 安全な環境作り
2. 弱みの共有
3. 共通の目標
が重要というのがシンプルなサマリです。1はGoogleの心理的安全とかでも有名ですよね。それと同じ話です。

3つの関係性は1→3の順に土台→ウワモノというイメージが近いです。

どれか1つでも欠けてはいけない、全てを組み合わせるべしというのも重要なメッセージです(Googleの調査で心理的安全がもっとも重要と言われているのは土台だから。土台無くしてその上にパフォーマンスは生まれません。が、土台だけでもだめということかなと)。

では、1〜3をどのように作るべきか。

1.安全な環境:3つの距離の帰属シグナルを送り続けよ

安全な環境だとメンバーが感じるためには、「あなたはチームの一員だ」「あなたはここにいて良いんだ」というメッセージを一貫して発し続けることが重要です。それをこの本では帰属シグナルと呼んでいます。この帰属シグナルは対象との距離に応じ3つの種類があり、必ず全てを組み合わせることが重要と書かれています(どれか1つだけでは効果は限定的)。

近距離シグナルは1対1で発するもの。挨拶や握手に始まり、目を見る、傾聴すると言ったあらゆるボディランゲージ・仕草を使い、全神経で相手の存在を認知しましょう(P142で紹介されているアレン曲線は非常に面白い。物理的距離とコミュニケーションは反比例し、互いの距離が8mを越えると急速にコミュニケーション頻度は下がっていくことが実証されています)。

中距離は近距離から一歩引いて相手のパフォーマンスに対してのフィードバック(以下FB)。FBの際に必ず「成果を期待していること」「あなたにはできると思っていること」を伝えることがポイントです。これが含まれているか否かでパフォーマンスは劇的に変化します。

遠距離はうんと引いて、世界や未来といったところから自分たちを捉える。その視点で見れば自分たちは繋がっていること、この関係性が未来にも続くものだと感じてもらうのがポイントです。

この近距離・中距離・遠距離の帰属シグナルを一貫して発し続けることでようやく、メンバーはチームに心理的安全を感じられるようになります。

2.弱さ共有のためのループと仕組み

弱さの共有は図にあるループを何度も繰り返すことが重要。ループの中でも特に1の「難しい課題に真正面から向き合う」のがポイントです(2〜4は割と文字通り)。良いチームは共通して、あえて難しい課題に向き合い気まずい瞬間を意図的に作り出している、と本書では語られています。

また気まずい瞬間のあと解決策を話し合うためには、全員が対等に真実を追求する姿勢があることが大切とあります。ポイントはこの対等というところ。誰かが誰かに命令する方法は簡単だが脆い。しかもまずいことに人間は放っておくとすぐそちらに流れる。だからこそ対等さを維持するために、

・誰かが肩書きで人を呼んだらすぐに訂正する
・「誰かこのアイデアの穴を見つけてくれ」など反論しやすくする

などが重要です。また、真実や失敗の追求も多くの人は嫌がること。でもこの役を嫌われてでもいいから買って出て「ちょっと待て、今本当は何が起こっているんだ?」としつこく追求する存在がチームには必要なのです。

このような姿勢が浸透し、難しくて気まずい課題に向き合うことで、弱み共有のループを回すことができ、チームメンバー同士が連携し始めるのです。

3.共通目標をキャッチフレーズにして浸透させよう

最後が共通の目標。目標が全くない組織はないと思いますが、お題目になることは多いもの。それを避けるためには、
・目標だけでなく目標達成までのストーリーを伝える
・ストーリーを短いキャッチフレーズにしてそれを何度も伝え続ける
ことが重要です。念仏のようなものですがこれに偉大な効果があるのです。

どんなキャッチフレーズを作れば良いかは、チームのタイプによって2つの方向性があります。

一定決まったゴールに対して熟練度が求められるチーム(レストランの従業員など)においては、目標と現実のギャップを埋める灯台型のキャッチフレーズが有効。「○○な時は○○する」という感じで状況と行動をセットにしたり「○○が最優先、○○は二の次」のように優先順位を明確にしたりして、人が迷いそうな場面における指針を示すイメージです。

一方で、創造性やクリエイティブが求められるチーム(映画制作チームなど)では、自主性を高める自走型のキャッチフレーズが有効です。「それはあなたに任せる」など権限が自分にあると感じられるものだったり、「失敗は早くしろ、たくさんしろ」など失敗・挑戦を促進するものなど、ゴールが不明確な中で人が前進するのを助けるイメージです。

これらのキャッチフレーズを作ればあとはそれを浸透させるだけ。言い続けるのもそうですが、自ら実践する、キャッチフレーズをカードなどの人工物にする、キャッチフレーズに沿ったメンバーの行動にスポットライトを当てる、などの行為も共通の目標を浸透させるのに有効な手段です。

以上、ここまでが本書の内容のまとめ&アクションリストです。このあとは追加で参考になったことを2つほどまとめてあります。



(おまけ1)良いチームかどうかを見分ける5つの基準

チームがうまくワークしているかどうかは、以下の基準で少しチームの様子を見れば誰でも分かるとのこと。ご自身のチームでも当てはまるかどうか、ぜひご確認を。

基準1. 全員が、同じ量の内容を、短く発言している
基準2. アイコンタクトが盛ん・会話のエネルギーが高い
基準3. 対リーダーだけでなくメンバー同士の直接コミュニケーションがある
基準4. 雑談がある
基準5. メンバーが定期的に外部で知見を得てチーム内で共有している

(おまけ2)個人的に学びになったTIPS5つ

TIPS1. サンドイッチFBはするな(サンドイッチ=ポジネガ織り交ぜた)
人間の脳はポジ・ネガ、一度に一つのメッセージしか受け取ることができない。だから混ぜてはいけない。褒める時も叱る時も徹底的にどちらかに寄せるべし。

TIPS2. ネガティブFBは必ず直接口頭で伝えろ
いかなる些細なことであってもネガティブFBは直接あって伝えるべきだ。メールやSNSで済ませてはいけない。ネガティブFBは気まずさと向き合う場であり、弱さや絆を作り出す場なのだから。

TIPS3. 人間は本能的に権威に弱いと知れ
人間は上官に命令されるとほとんど本能的にしたがってしまう。誰かが誰かに命令するという行為は非常に危険なのだ。

TIPS4. 価値あることを言いたいという衝動を抑えろ
一人一人が発言する環境を作るには「何を言うか」ではなく「何を言わないか」が鍵になる。もっともよく使うべき言葉は「それについてもっと話して」である。

TIPS5. 内職はチームを崩壊させる
内職は目の前にいる人たちを大切にしていないということが最も伝わる行為の一つだ。今すぐPCやスマホを閉じ、目の前の人々・やり取りに全神経を傾けよう。

終わりに:リーダーシップ論ではなくメンバーシップ論

チーム作り論なので、リーダー論と思われるかもしれませんが、チームはリーダーのものではなく属する人全員のもの。その意味でこのチーム作りのHow toは、リーダーシップ論ではなくメンバーシップ論だと考えています。

組織に属していようとフリーランスだろうと、何らかのチームとして働く人の方が圧倒的に多いはず。チーム作りに悩んだらぜひ本書(とこの記事)をお手に取ってみてください。


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最後までお読みいただきありがとうございました!

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