見出し画像

Get out of your comfort zone.(千葉大学ラクロス部向けメンタルスキル vol.1)

※本稿は、2016年に千葉大学ラクロス部の部員に向けて書いた文章です。
======
GMのワタルです。

「勝利を目指すアスリートとして」「"勝つために楽しむ"集団として」学んで欲しいことがいくつかあります。
そのために、「これがチームで当たり前に共有されれば、千葉大ラクロス部は爆発的に成長できるな」と僕が思うことを、今日から数回、定期的にこのML上で紹介していきます。

先に言っておくと、これはチームとしての規則や決まりではありません。
もちろん、僕やHC、主将からの「命令」でもないです。

例えるならば、「引力によってリンゴは地面に落ちます」というような知識です。
「地面から飛ぶには、自分の体重よりも強い力で垂直に地面を蹴ります」というような技術の話です。

これらを総称して、「メンタル・スキル」と呼びます。
考え方、物事の判断の仕方に関する知識と技術の総称です。

「アスリートとして成長して」、「千葉大ラクロス部が"勝つために楽しむ"集団になる」ためには、結局は、部員の一人ひとりが悩んで、考えて、行動して、変わっていくしかありません。
これはその手助けになる、単なる知識・技術です。
日々の練習の中で、一日の行動の中で、いろんなところで応用できるものです。
もちろんラクロス以外でも。

是非、自分の日々の行動や判断に照らし合わせて考えてみて下さい。
そしてぜひ、チームメイトやいろんな人と、自分が感じたことについて話してみて下さい。

ここから本題です。

"Get out of your comfort zone."
(あなたにとって居心地の良い場所から出ていきなさい)

割と有名な言葉なので、聞いたことがある人もいると思います。
「自分の殻を破りなさい」みたいな感じでライトに語られることもありますが、ここではもうちょっと大きくて深いところまで。

何かで成功したい、成長したい。何かに勝ちたい、何かを成し遂げたい。
これらは全て「自分自身が変化する」ということです。自分自身が変化するということは、言い換えると、今の自分ではない別の何かになるということです。
そのためには、必ず「居心地の悪いこと」が必要です。ここで言う、「居心地の悪いこと」というのは例えば、こういうことです。
・つらい努力をすること
・何かを我慢すること
・今までの自分を否定して、新しい選択をすること
・周囲の誘惑や風潮に抗って、自分の道を貫くこと

ラントレツラいよね。筋トレもしんどい。映像見るの追いつかない。 
  ーでも、死ぬ気で追い込まないと、成長できないのです。

もうちょい朝寝たい。週1で合コン行きたい。彼女と温泉旅行行きたい。ポテチ死ぬほど食ってコーラがぶ飲みしたい。
  ーダメです。練習しないとうまくなりません。栄養ちゃんと取らないと筋肉つきません。

今までは、覚悟も努力も足りなかった。こっからはきちんとやろう。って思うんだけど、今までの生活とキャラがしみついてて、なかなか変えられない。 
  ーイイから今すぐ変えよう。今までのお前はクソだったよ。

高校の友達はみんな遊んでて楽しそうだ。俺も遊びたい。みんなサボってるから、自分も少しくらいサボってもいいんじゃねーか? 
  ー他人は関係ないでしょ。自分で決めて自分でやれよ。

ってな感じで。変化するってことは、基本的に「苦痛」で「居心地の悪いこと」なんです。そもそも人間は、変化を嫌う生き物ですから。なるべく今のまま、できる限りダラダラ過ごしたい。
ましてや。「Final4で勝つ」なんて目標を達成するには、相当な苦痛と居心地の悪さが伴います。それを目指して頑張っているチームがわんさかいる中で、そいつらよりも早く大きく「変化する」ってことだからね。

まとめると。
スポーツで目標を叶えるっていうのは、必ず苦痛を伴うのです。
しかも、目標が高ければ高いほど、その苦痛は増えます。

逆に言うと、苦痛を乗り越えれば乗り越えるほど、目標に近づきます。

これが、まず知っておいてもらいたい「変えようのない事実」で、今回の大前提の「知識」です。

=======

じゃあ、なんでみんなそんなに苦しいことやれるんですかね?
過去、関東で優勝したチームのメンバーは、みんなスーパーMなの?
日本代表の人とか、頭おかしいの?

違うよね。人にもよるし、チームにもよるけど、基本的にみんな楽しそうでしょ。

じゃあ何が違うんでしょうか。ここから先は、「技術」の話。
彼らは「居心地の悪いプロセス」そのものを楽しむ方法を知っていて、それを実行しています。加えて、その居心地の悪いプロセスの先にある「充実感、達成感」を知っていて常にイメージしているので、そもそもあまり苦痛だと感じていません。
どれだけ嫌だと思っても、苦しいプロセスの量は減らない。避ければ避けるほど、結局後でしわ寄せが来ます。だったら、むしろそれを楽しんだ方が良いでしょ?ってことです。
で、どうやってその苦しいプロセスを楽しんでるんでしょうか。

人によっていろいろな方法があると思いますが、多くの人が行っていることを一つ紹介。

彼らは、その苦しいプロセスの中で、「自分の小さい成長と変化」を見つけるスキルを身に付けていて、そのプロセスを楽しんでいます。
人間は非常にゲンキンなもので、「意味がない」と感じていることには強い苦痛を感じます。
でも「これは自分にとって得だ!」と思えることは、喜んでコストを支払います。
それを知っている or 本能的に察知しているので、優れたアスリートは、自身の小さな成長、小さな変化にすごくアンテナが高いです。
そして、同じコストを払うなら、最大のメリットを得た方が効率が良いこともわかっているので、1つ1つの努力にすごく集中し、全力で追い込みます。
この「頑張ったら、良いことあった!」という経験が、次の努力に繋がっていきます。「頑張ればいいことがある」ということを知っているので、次の苦痛にも耐えられます。そうやって「成長するサイクル」を回しているのです。

逆に言うと、優れたアスリートは「頑張ったけど、良いこと無かった」という経験を嫌います。「成長するサイクル」が途切れてしまい、次の努力へ向かうためのエネルギーが減ってしまうからです。ですので、無駄になるかも知れない努力は極力しません。そのための準備を最大限します。努力の目的を明確にします。
※ちなみに、必ずしも「成長」だけがメリットではありません。「○○しても成長しないことが分かった。次からはやめよう」という気づきも、十分メリットです。
このサイクルを回すということが、「居心地の悪いプロセス」を楽しみ、成長に繋げる技術です。


ここで、最初の話に戻ります。

"Get out of your comfort zone."
(あなたにとって居心地の良い場所から出ていきなさい)

もしもあなたが今、あなたにとって「居心地の良い場所」にいるのならば、それは危険です。今すぐそこから離れて下さい。そこに成長はありません。

もしもあなたに「居心地の良い場所にいること」を薦めてくる人がいるなら、その人は遠ざけて下さい。その人は、あなたの成長の妨げになります。

もしもあなたに「居心地の悪さ」を強制してくる人がいるなら、その人を大切にして下さい。その人は、あなたの成長の助けになる人です。

ちなみに、人に「居心地の悪さ」を強制してくる人は、めったにいません。その人にメリットが無いので。そういう人をなるべくたくさん持っておくように努力することは、あなたが成長するのに非常に助けになります。

そうして踏み込んだ「居心地の悪い場所」での変化と成長に、敏感になって下さい。そのことが、「居心地の悪い場所」を楽しむ唯一の方法です。

その変化と成長を最大化するために、入念に準備して、最大限集中して、追い込んで下さい。そこで得た経験が、次の成長に繋がります。

ーーいずれ、その居心地の悪さを感じなくなるかも知れません。   
  そうしたら、さらに居心地の悪い場所に移動しましょう。

この「成長のサイクル」に入ることが、爆発的な成長を生み出します。

=======

<良かったら他のポストもお読みください>


【 Follow me ! 】
  Instagram : @wats009
  ※note更新情報もこちらに掲載してます



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?