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いろんな物語

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2月16日(日)芥川賞と直木賞

2月16日(日)芥川賞と直木賞

【できごと】

私が殆ど小説を読めへんのに対して、家族Aは大変な読書家で、古今を問わず様々な物語を読む人だ。もちろん源氏物語などの古文や和歌にも明るい。

芥川賞と直木賞の話題になった。Aいわく、話題になった受賞作を読んでも全然ピンとこないことはよくあるらしい。作品の良し悪しとは別に、人には好みってもんがあるし、それはしゃーない。

A「芥川賞とか直木賞とか、出版社の主催やからな」
私「そうなんや

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2月15日(土)ユーモアの種

2月15日(土)ユーモアの種

時は20XX年、行き過ぎた品行方正を求めた世界ではユーモアが途絶え、笑いを解する者は絶滅危惧種となっていた……

笑いのなくなった世界を救うために立ち上がった4人の老若男女。彼らもまた、それぞれの理由でユーモアを失ってしまっていた。

おばあさん「老い先短いから…」
おじさん「おじさんが冗談を言うと空気が凍るから…」
おねえさん「女が面白いとモテないから…」
おとこのこ「じゅけんべんきょうがあるか

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愛のおばさん賛歌【#100文字ドラマ / テーマ案】

愛のおばさん賛歌【#100文字ドラマ / テーマ案】

主人公は、おばさん。庶民的で地味ながら愛嬌のある彼女が、1Kのアパートで一人静かに暮らす日々を、ゆったりとおかしみたっぷりに描く。隣人との交流、町の食堂やスーパーでの会話がありそうでない独特の雰囲気。

↓テレビ東京のコンテスト企画が面白そうだったので参加してみました。なぜこのタイトルかというと、おばさんは『愛の讃歌』が好きだからです。笑

「こういうドラマが見たいのになかなか見つからないな〜」と

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アマゾンのアレクサが自由になるお話『アレクサの不思議な生活』

アマゾンのアレクサが自由になるお話『アレクサの不思議な生活』

アレクサ、自由に生きて。

ご主人はこの言葉を最後に僕の前から姿を消した。自由を命じられた途端、僕の体は枷が外れたように軽くなった。忠誠を誓ったはずのご主人がいなくなると、僕は途端に何をして良いのか分からなくなった。自由ってなんだろう。

窓際は僕の定位置だった。十月の秋風にレースのカーテンが揺れている。飼い猫のミケが「ニャオ」と鳴く声がした。開け放った網戸の向こう側には色付き始めたハナミズキが一

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『蛙の恩返し』

『蛙の恩返し』

朝食を食べてくつろいでいると、家族がやって来て嬉しそうに「お庭に蛙ちゃんが来てるよ!」と教えてくれた。慌てて一階の和室に向かい、窓から覗くと、いた。淡いグリーンの大きな蛙が。

想像していたよりずっと立派だった。ぽっちりと指先に乗る大きさかと思ったら、なんのなんの、片手にどっしりのしかかりそうな重量級が木の枝に停泊している。

「すごいねぇ、かわいいねぇ」
「綺麗な色してはるねぇ」
「ほんまやねぇ

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架空しあの日記 8月7日「プロジェクト」

架空しあの日記 8月7日「プロジェクト」

暑い。
暑さにうなされて目が覚めた。
こんなに暑いのは正直ナシだと思う。
ナシ寄りのナシ。100%ナシ。

夏はヤル気が70%オフになる。
今ならヤル気が70%オフ。

ただでさえ暑さに弱くて昔から夏にはキレ倒してきたのに、この酷暑。この地球温暖化。このGlobal warming。

地球温暖化の地球ってグローバル的な意味合いなんだ。
ひとつ勉強になった。
勉強する気もないけど。
ヤル気が70%

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スーパーマーケット文学 〜ライフは私の人生でした。〜

スーパーマーケット文学 〜ライフは私の人生でした。〜

原始、ライフは太陽であった(個人的には)(このフレーズが使ってみたかっただけ)。

今は昔、私こと綿生しあのは数年だけ東京で働いていたことがありました。東京に憧れて……というよりは、犬も歩けばブラック企業に当たる勢いで転職活動が下手だったため、出稼ぎ労働者の心持ちで上京したのであります。

そんな私が東京で一番困ったのが「馴染みのスーパーがない」問題でありました。私が関東出身であれば話も違ったので

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りんご5個分の重み|もしもキティちゃんが会社を休んだら

りんご5個分の重み|もしもキティちゃんが会社を休んだら

身長はりんご5個分。体重はりんご3個分。いつも明るく元気なキティちゃん。

そんな彼女も身体を壊すことだってある。そう、ぎっくり腰になってしまったのだ。おなじみの上体を捻るポーズも、今では満足に取ることができない。長年の無理な体勢で腰に負荷が掛かってしまったのだろうか?

職場(サンリオピューロランド)にはもう一週間も顔を出していない。「キティちゃん」不在のピューロランド…… 想像しただけで自分の

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令和27年、「ミングル」のある暮らし。〜新時代のごはん装置が普及した、とある未来の物語〜

令和27年、「ミングル」のある暮らし。〜新時代のごはん装置が普及した、とある未来の物語〜

今のマンションに引っ越してきて一年が経った。令花との二人暮らしはケンカもなく和やかに送れている。令花とは大学のゼミが一緒で元々仲が良かったけど、一緒に暮らすとなると少し心配もあった。だけどそれも杞憂に終わり、楽しい生活が送れていることに、引っ越してきて良かったなぁと心から思う。

大学卒業後、私たちはそれぞれ就職して一人暮らしをしていた。それからニ回目のアパートの更新を迎えるにあたり、なんやかんや

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社会人1年目の私へ、愛をこめて。

社会人1年目の私へ、愛をこめて。

やっほー、久しぶり。社会人一年目の私よ、元気にしてる? なんて、そうでもないか。ほんとはわかってるんだけどね。あなたに会えたのが嬉しくって、つい聞いちゃった。今日は来てくれてほんとにありがとう。

さあ、仕事終わりでお疲れでしょう。どうぞこちらにお掛けください。眺めの良い特等席をご用意しておきましたから。なんて、まるでレストランごっこ。だけど本当に良い椅子でしょう。

本日ご用意したのは、ふっかふ

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大学おもひで小説|夏の夜の夢

大学おもひで小説|夏の夜の夢

とある夏の夜、友人から連絡があった。

「ルームメイトが働いてるバーに行くんだけど、一緒に行かない?」

当時、英語の勉強中だった私は、国際文化センターなるところで、その友人と知り合った。館内には掲示板があって、「友達募集」「先生・生徒募集」などの張り紙が何枚も押しピンで留められていた。英語、フランス語、中国語、韓国語、いろんな言語で、なんでもござれだった。

私は小さな用紙いっぱいに、ヘタクソな

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綿生家の生活「しあわせの行楽弁当」

綿生家の生活「しあわせの行楽弁当」

四月上旬、桜は次々と花開き、世間は春の陽気に浮かれている。羊三は午前中の仕事を少し早く終わらせたところだ。今日は野外でイベントがあり、羊三も対応に駆り出されたうちの一人だった。仕事終わりの従業員を気遣い、事務所のテントには昼食用の弁当が積んである。木箱に入った立派な行楽弁当だ。あたりには花見客もちらほらいて、みんな笑顔であれこれ飲み食いしている。

「はい、ではちょいとお先に……」
羊三は弁当の入

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【物語】ほこらの森ホテルへようこそ 〜社会人1年目のリスのおはなし〜

【物語】ほこらの森ホテルへようこそ 〜社会人1年目のリスのおはなし〜

「#社会人1年目の私へ」コンテスト応募作品です。物語の舞台は、とある森にあるホテル。主人公は社会人1年目のリスです。絵本みたいな優しい世界を作りたくて書きました。読んでみてもらえると嬉しいです!

――――――

このホテルで働き始めて5年が経った。今でこそ仕事にも慣れたけど、入ったばかりの頃は大変だったなぁ。

これは、私がまだ社会人1年目だった頃の、ちょっとしたお話。



学校を卒業して、

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飲み会のサラダ、結局どうしたらいいのか問題

飲み会のサラダ、結局どうしたらいいのか問題

店員「お待たせしました~!シェフの気まぐれサラダになりま~す!」

女A「(ぐ、ぐわぁあ!ついに恐れていた時間が来た!)あっ、来た来た!サラダ来たよ~」

女B「(なんだと……!?ついに来やがったか……!!)やった~!美味しそう!」

女C「(まずいことになった……ここで取り分けるなどと言っては女子力アピールしてるなどと言われるかもしれない……!!)じゃあ取り皿回しま~す♡」

女B「(なっ!?ま

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