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今日の本『少女パレアナ』 〜喜びさがしゲーム 〜

『少女パレアナ』という本を読んでいる。

いつものように1階の和室で静かにすごしていて、窓の外の緑もじゅうぶんに見尽くし、なにかやることはないかな、と探している時だった。

寝室用の小さなテレビの横に、ちょこん、とかわいらしく白いカバーの文庫本がたっていて、それがパレアナとの出会いだった。

表紙には両手で頬づえをついた外国の女の子が描かれていて、作者はエレナ・ポーター。この人は知らない人。訳者の項には村岡花子さんとある。

村岡さんといえば『赤毛のアン』を日本にはじめて翻訳した人で、彼女を主人公にしたドラマ『花子とアン』には惹きつけられるように毎日見ていた。

本が好きで英語が好きで、書くことも好きな花子さんが紆余曲折の少女期をのりこえ、天賦の才と芯のある確かな努力によって翻訳家になっていく姿には、深々とした感銘をもって共感すらも覚えたものだ。

『赤毛のアン』のアニメーションも最初のうちだけではあるけれど見たことがあるし(アンが激情派なのでつかれてしまった)、パレアナの本にあるあらすじを読むと、なるほど大筋は赤毛のアンの話とよく似ていそうだ。

私はぴらりと1枚ページを繰り、なんの気なく物はためしと文字を追ううち、気がつけば物語の世界に夢中になって文字を追う視線が止まらなくなり、すっかり本の半分あたりまで読み進めてしまった。まだ3日と経っていないのにである。

パレアナという少女は実におしゃべりで、彼女のいうことをふむふむ聞いているうち、つい笑ってしまうくらいに前向きな性格をしている。「前向き」という単純な言葉では不釣り合いなくらい、風変わりで、独自の発想にもとづいて常に良いことを見つける天才だ。

まだ半分しか進んでいないけど、私はすでにパレアナとお別れするのがさみしくて、もう半分も読んでしまったから、これからの彼女の姿がもっと見たいけど、まだ見たくなくて、だから本を閉じてしまった。

パレアナのまわりの大人たちは、どんなに意固地になって心を凍りで閉じ固めていても、パレアナとすごしていると、ふっと油断して笑顔を漏らしてしまうようで、それは読んでいる私も同じだと思う。

パレアナの習慣のひとつに『喜び』をさがすゲームがあって、これはどんなものごとからでも喜べることをみつけるゲームなのだけど、こんなふうに私が書くとまるでこじつけの喜びさがしなのに、パレアナがすると本当に上手い。

どんな不遇なできごとからでも、まるで思いもつかなかったような視点で喜べることをみつけだして、誇らしげにいるものだから、なるほどこれは「ゲーム」なのだな、ゲームだからおもしろおかしいのだ。

パレアナを引き取ったきびしくて頑固な伯母さん、長年の病気でへんくつになってしまったご近所のおばさん、丘の上の大きなお屋敷に住んでいる無口なおこりんぼの男性など、みんなパレアナと出会ってから少しずつ変わっていっている。

物語がこれからどうなっていくのか、楽しみだ。




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