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音楽と私|きらきら星

小学生だか中学生のとき、音楽高校でピアノのレッスンが受けられる企画があって、私はなんとなく興味があって参加した。当時の私は個人のピアノ教室で一番上手くて、大人も抜かしていつも発表会ではトリだった。もちろん毎日必死に練習して、厳しいレッスンにも堪え、相応の努力はしていたけど、それでもチヤホヤしてもらえるのは嬉しかったし、 言うなれば天狗になっていた。

音楽高校でのレッスン当日、小さなピアノ室には私ともう一人、同い年くらいの女子がいた。私はなんの曲を弾いたかも覚えていないけど、年齢の割には難しい曲を弾い た。先生にはなんて言われたか覚えていないけど、特別褒められも怒られもせず、想定され得る程度の直しがあって、自分の番が終わった。私の後はもう一人の女の子。何を弾くのかなと思ったら、きらきら星を弾き始めた。「なんやきらきら星かあ」って思った ら、曲はどんどん難しくなっていって、私はその日初めて、きらきら星はモーツァルトによるきちんとした(?)クラシックの楽曲なんだと知った。彼女の演奏を聴きながら、 私はなんだか度肝を抜かれて、その瞬間、ああ私は井の中の蛙やったんやなぁって思った。

私の中で何かが終わって、心の中はずっとモヤモヤしたままになった。それからもずっと真面目にピアノはやっていたけど、結局音楽高校にも行かず、音大にも行かなかっ た。先生には何度か進学を勧められたけど、「自分より上手い人なんていくらでもいるから」と言ってうやむやにした。あんなに厳しかった先生は、張り合いをなくしたのか、 どんどんお喋りの時間が長くなっていって、私はなんだか切ないような申し訳ないような気持ちになり、高校卒業と共にピアノ教室を辞めた。

こんなことを思い出すたび、私は時間が巻き戻らないことを知る。

HAPPY LUCKY LOVE SMILE PEACE DREAM !! (アンミカさんが寝る前に唱えている言葉)💞