どうしても悲しいニュースが目に付いてしまう世の中で、明るいニュースをつくり出すのは常に人の力だと思うのです。

Twitterを眺めていると、芸人のゆりやんレトリィバァさんが『アメリカズ・ゴット・タレント (America's Got Talent = AGT)』に出場したというニュースが舞い込んできて、私は本当に嬉しくて胸がいっぱいになりました。ゆりやんすごいすごい！！やったやん！！

何が凄いのことかピンと来ない人も、スーザン・ボイルさんと言えば伝わるでしょうか。イギリスのオーディション番組で歌の才能を認められメジャーデビューした女性です。日本でも話題になりましたよね。

『America's Got Talent (AGT)』はその番組のアメリカ版で、歌に限らずマジックやダンス、コメディ、腹話術やサーカスなどなど、あらゆる「タレント（才能）」を発掘しようという趣旨の元に放送されている大規模番組です。

その『AGT』に、関西出身の、よしもとの、まだ２０代である若手の、芸人の、女の子が出場したと。これが胸が熱くならずしてどこが熱くなるというのでしょうか？目頭か？目頭やったらとっくに熱いけれども。

ああ、ゆりやん、あなたは関西の希望の星です。

動画を見てみれば分かりますが、出演中のゆりやんの肝の座りっぷりったらもう、とんでもないことになっています。まったく物怖じせず、あのそうそうたるメンツの審査員たちの前で、普通にボケる。サラリと、どこかとぼけた調子の、いつもの「ゆりやん」のまま、しっかりとウケを取ります。

私はもともと『AGT』やらのオーディション番組が大好きで、おまけに日本のお笑いも好きなので、奇跡のコラボレーションがここに爆誕したというか、もうそれだけで感動がマックスです。

ゆりやんが、あの奈良の吉野町のゆりやんが、
アメリカで、あのサイモンと話してるーーー！！！
（しかもウケてるーーー！！！）

ゆりやんさんの英語はとても流暢で、意思の疎通だけでなくユーモアの疎通も巧みにこなしています。自分も英語を頑張っていたので分かるつもりなのですが、英語が喋れたとしても、英語で面白いこと言うのってめちゃくちゃ難しいんです。私は何度も英語での集まりで今ひとつ面白いことが言えず、悔し涙を流しながら帰ってきたことがあります。会話する人数が増えれば更に難易度は増す。ああそれなのにゆりやん、あなたというお方は……！！

ゆりやんが英語を頑張っている姿は以前からなんとなくネット上でも観測していました。ゆりやんには「ロバちゃん」という親友がいて、その方は英語ネイティブの女芸人さんなのですが、二人で共同インスタアカウントを運営して英語のやり取りをしている姿を発信しているのも見ていました。ゆりやん、頑張ったんやね……！！

話が脱線しまくりですが、『AGT』での肝心のパフォーマンスは謎ダンスでした。これが始まった瞬間私は死ぬほど笑いました。ゆりやん、あんた最高や！

ステージ衣装の星条旗水着はいつもバラエティで着ているものでした。アメリカにいつものゆりやんがいる。「ゆりやん」のまま、日本で培ってきた「ゆりやん」としての笑いのまま、アメリカの大舞台でウケをかっさらっている。ネタの不思議さには、まるで『R-1ぐらんぷり』を観ているかのようなホーム感がありました。

ゆりやんさんがアメリカで挑戦したいという想いはきっとずっと彼女の心の中にあったのでしょう。彼女はこれまでにも米軍基地のアメリカ人たちの前でネタをやったり、『アナザースカイ』に出演した時はアメリカのコメディクラブのステージに立っている姿も見たことがありました。

国が違えば文化が違い、文化が違えば笑いも違う。日本とアメリカの笑いは感性が異なり、言葉を英語に変えただけでは通じないことも多い様子。過去に「ハリーポッターが好きすぎる少年（ピアノの演奏が途中から全部ハリーポッターの曲になってしまうというボケ）」のネタを英語で披露しているのを見たことがありますが、手応えは今ひとつという感じで、海外（というか欧米）で通用する笑いを模索している姿はテレビ越しにも伝わっていました。

そんな奮闘を経て、世界でも最も注目度が高い『AGT』で、いつもの水着を着て、シンプルに謎ダンス一本というネタで勝負して、会場の笑いを取っている、その姿の貫禄といったらもう……！もうめちゃくちゃ爆笑しました。この数週間で一番声出して笑った。それでいて同時に泣きそうにもなった。

ああゆりやん、あなたは最高の女性です……！彼女はきっと今、「日本一面白い女」から「世界一面白い女」になろうと、脱皮しようと、羽ばたこうとしている。世界一面白い女になるってどんな気持ちなんやろう。なあなあ、どんな気持ちなん？まったく想像できない世界に彼女は旅立って行ったのです。

審査員には披露中に「☓」印のブザーを２つも押されてしまいますが、この番組におけるコメディ系のパフォーマンスでは割とよくあること。この「ブー！」の効果音によって会場が更に盛り上がるという演出効果もあります。そこらへんも考えて審査員は押しているはずなので、単純な好き嫌いや非難という話ではないかと私は解釈しています。

ドキドキの公表の結果、まあ割と当然な気もしつつ結局次のステージには進みませんでしたが、そこはあんまり重要じゃない。１回戦にだけでも出場したという、挑戦する心と、その勇姿に意味がある。私は彼女の姿から本当に勇気をもらいました。あとめちゃくちゃな笑いと。

パフォーマンス後、審査員との会話でゆりやんが「Thank you so much...」と返すくだりがありますが、これはきっと「アカデミー賞のスピーチで感極まる女優のネタ」の感覚で言ってるのだろうなとか伝わってくるものもあり見ているこちらもニコニコ。

更に一番嬉しかったのが、右端のサイモンとの会話の流れで「シェラトンホテル302」と部屋番号を伝えて宿泊先に誘うくだり。これはいつも日本のトークバラエティでも使っている小ネタで、その時々でホテルの名前が違うのですが、ついにアメリカのシェラトンにまで来たか……！と思うと、このネタを通じて日本とアメリカが繋がった感覚というか、ワールドラフ＆ピースここにありと思って本当に嬉しかったです。

ゆりやん、改めゆりやんレトリィバァさん、素晴らしいパフォーマンスを本当にありがとう。楽しくて明るくて夢のあるニュースでした。

悲しいニュースがどうしても目に付いてしまう世の中で、明るいニュースを生み出せるのはいつだって人の力だと思うのです。アメリカのエンターテイメントと日本のお笑い。どちらも私にとって夢を与えてくれる大切な世界。その２つを繋げてくれたのがゆりやんさんです。本当にありがとうございました。本当におおきにです。おおきに、と申します。名前！？

P.S. 収録終わりにサイモンとハグしてる姿がほとんど全裸にしか見えなくてめちゃくちゃ笑いました。

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日本語で見たいという方は、このツイートのリプライ欄に、個人の方がアップされた字幕付き動画が載っていますので、参照されて下さい。

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※このブログをたまたま読んでしまった芸人さんや関係者の方、お笑いファンの方へ

読んでいただきありがとうございます。この文章はただの一般人の感想で、この快挙や喜びを、普段お笑いやAGTのような番組を見ない方にも伝えたいと思い、自分なりに知っていることを書いてみました。知識も十分でなく解説にもなっていないとは思うのですが、どうかご了承いただければ幸いです。そしてゆりやんさん、文中にて呼び捨てにしてしまってごめんなさい！本当におめでとうございます！🏆✨