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舞台「染、色」 ー秋に咲いた桜は次の春に花を咲かせるか


舞台「染、色」の配信を見ました。
あまりうまく言葉にできないのですが、言語化しないと勿体無いな〜というのと、言語化したところで自己満足で終われるブログっていいよな、と思い適当に文章にします。

まず、改めて正門良規さんのような素晴らしい俳優がジャニーズにいることに感激しましたし、層の厚さに恐ろしくもなりました。
なお、正門さんだけではなく、真未役の三浦透子さん、北見役の松島庄汰さん、原田役の小日向星一さん、杏奈役の黒崎レイナさん、滝川役の岡田義徳さん、6人全ての役が必要で、全ての俳優が素晴らしかった舞台でした。
どこか歪に、どこか美しく、そして繊細にピースがはまっているパズルのような演劇であったように感じます。
そんな劇場にいたらスタンディングオーベーションせざるを得ないような演劇が家で手軽に見られて良い時代を生きているのだなと思います。(もちろん製作側の労力などを考えたら手軽に見られることへの罪悪感もありますが。)

今まで原作・脚本を手がけた加藤シゲアキさんの作品は触れたことがなく、ブログしか読んだことがなかったのですが、これは早く触れるべきだったなと……
また、劇中にスプレーアートが何度も登場するのですが、それらが照明と音響によって観客の目に映るアートとして表現されており、演出にも圧倒されました。
そして衣装。深馬と真未の白黒の対比とカラフルな周りの人達。深馬の白と黒とグレーの衣装が、シンプルが故にこちらに意味を持って語りかけてきました。
わーなんか、全部が良かったな〜ちょっともう一回、と軽く見たい舞台ではないけど、それがいいな。

冒頭の、「秋に咲いた桜は次の春にも咲くのか」という1人の孤独な青年の、観客にとっては何気ない疑問が、最後には狂い咲く桜として孤独に散りゆくことで答えが見える。
私たちが事実として受け止めたあの2時間とちょっとの時間はどこかが紛い物であり、誰かの意識によって染め上げられた事実ではないなにかであった、ということがラストに、しかも主人公とともに理解する、ということがあまりに苦しかった。

加藤シゲアキさん自体、以前に「物語が湧いて出てきて、書いていないと死んでしまうタイプではない」と仰っていたらしいので、多分彼自身ものすごく入念に調べ物をして作品を作るのだろうな、と勝手に想像しています。
だからこそ、様々なモチーフやオマージュが散りばめられていて、オマージュが何で、とかいうのはなんか野暮なんだけど、それを考えるのも楽しかった。
また、物語の展開も入り組んでいて複雑であるのに、とても明瞭で、ものすごく奇を衒っている作品ではないにもかかわらず、とても新鮮に感じました。もちろん役者さんの芝居の力量と圧も!日本の演劇界は安泰だな〜とか勝手に思わされてしまい(笑)

自分自身の大学時代と重ね合わせても胃が痛くなって、それもまたなんかよかった。
出演者がは同年代なんですけど、なんか勝手に悔しくなりますよね(笑)世の中にはぼーっと生きてる私みたいな人間もいれば、魂を削るこんなすごい人がいるのかー!と。
この熱量を浴びられたのもたぶんコロナのせいで、コロナも捨てたもんじゃないのかな〜と思ったり。思わなかったり。


取り止めもない、文脈もないなんかどうでもいいブログになったな〜
なんかもっと書きたいことはあった気がするのに、自分自身の言葉の引き出しのなさで書けない〜もどかし〜
てなかんじで凡の自分は凡なりに生きていることを実感しつつ。

7月11日まで見逃し配信あるから迷ってる方は是非見てください。

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