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さざなみダイアリー①

長島のさざなみハウスで仕込み中のできごと。

「整理してたら亡くなったカミさんの指輪が出てきたからあげる。」と90を超える紳士が唐突に、携えたセカンドバッグの中から立派なパールの指輪を出してきた。

いやあ、私なんて指もゴツいし、カサカサのしわしわだし。ってコンプレックスを並べながら、その指輪をはめてみるとピッタリだったので、そのまま譲っていただくことに。

いいんですか、奥さんの大切なものじゃないんですか?って聞くと「カミさんは洒落ててアクセサリーようけ持ってたんよ。だけど、指輪だけは一回もせんかった。」

私はその意味にハッとして、言葉にできなくて黙ってしまう。タンスの隅っこに追いやられていたパールの指輪。

長島で暮らす人の多くは指先を切断している。白くてキレイな指先に憧れる自分の気持ちを思い出したら胸がきゅっとなった。この指輪、ゴツゴツした切り傷だらけの指にはめて大切にしよう。

ていうか、指輪なんてもらったの人生で2回目なんですけど。。。
大正生まれのダンディズムに胸がやられています。笑

「サウダーヂな夜」という変わったカフェバーで創刊された「週刊私自身」がいつの間にか私の代名詞。岡山でひっそりといつも自分のことばかり書いてます。