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惜別

お別れは かなしい。

この店のフォーが好きだった。風邪気味のときも 落ち込んだときも 優しく胃のなかに とけこんだはずなのに。

不吉な兆候は 少し前からあった。

まず 添えられたチャーシューが  パサパサの ボケた味になった。1回位だったら「今日は新人が仕込んだのか?早く一人前になれよ」と思うけど。いつも完璧なメイクのひとが ちょっと寝坊したのかな?って思うけど。それはそれで愛らしいし。また別な魅力もでてくるかもだけど。

いつ行っても このパサパサ肉だと

「間違えない。肉の質を落とした」ってことに気がつく。コスト削減だか店の事情は知らないけど、大事なことは

程よく脂がのった あの肉はもうない。

それでもは麺とか汁は 変わらなかった。

ぎりぎり許容範囲。満足じゃないけど、安定の あの味。

そして今日、いちばん恐れていたこと。

汁が不味い。

一口目、飲んで首を傾げる。嫌な濁った雑味。それゃナンプラー好きだけど パクチー好きだけど、それ類とは違う。

しかもぬるい。猫舌じゃないので、熱いものは さらに熱く、ふーふーしながら食べたいのに。

麺も 心なしか ドヨーン。

もう 無理。もう来れない。おまけに いくら消費税上がったとはいえ、プラスしてさらに値上げ。

私の サンクチュアリだった お店。そして いつだって感動的な味だったフォーよ。

さらばです。










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