見出し画像

境界

つい先日、公演中のパフォーマーへの観客による性暴力を告発するご本人のツイートとそれについてのたくさんのツイートが流れてきました。今回の事件は明らかに性暴力ですが、性的であるかによらず同意なく他人の身体を触る人間は普通に存在していて、このような者たちが速やかに世界から駆逐されることを心から願っています。

私は身体が男性であるため、同意なく触られた経験は女性の身体を持つ方よりは遥かに少ないのではないかと思います。暴行と思えるものが7件ほど、うち性的なものが4件。暴行までではないかと思えるものを含めると総数は増えますが、多く見積もっても、女性が受ける数の数%にも達しないのではないでしょうか。身体が男性であることのメリットの一つでしょうが、そんなことがメリットになる社会は明らかにおかしいです。

4件の相手は、身体男性の人と身体女性の人が半々。男性の1件は、レジでの会計時にいきなり手首のあたりまで両手で握ってさすってきたというもの。男性の残る1件と女性の2件は、いずれも、混んでもいない電車で体(男性は体の一部、女性は全身)を押し付けてくることを続けるというものでした。女性の1件では、不自然に密着してきたため車両の端まで下がったところ、そのまま密着し続けてきたので離れてと言ったら「男のくせに」みたいな暴言もありました。相手は酔っていたようですが、そんなものは知ったことではありません。

経験がないとわからないことですが、同意なく身体に触れられることは、とくにそれが性的なものである場合は、とても怖いものです。ごく普通の日常に、突然、異常なほど強い悪意が降りかかってくるわけですから。怖いことともあり、第三者からすると、できるはずのことを何もしなかったり、不自然な行動をしたり、相手を受け入れているように見えたりする状態に陥ってしまう。そのことや、そもそも悪意に晒された原因を被害者自身が作りだしたとして、第三者から、酷い場合には身内からも非難されたりするわけです(二次加害)。加害者を非難するのではなく。何故そんな愚かなことをするのか全く理解できない(もっと言うと加害者とは別の悪意があるとしか思えない)のですが、理由をわざわざ探してまで非難したりする。今回の事件でも、パフォーマー本人のツイートに対してわざわざ理由を探し出して非難するツイートがたくさんあり、その腐りきった性根にあきれ返りました。

性犯罪への対応のためには厳罰化と第三者への啓蒙(よいツイートを見つけましたので下に貼っておきます)と、そして何より被害者の保護が必要なのは明らかだと思っているのですが、何故か、いつまでたっても実体的な対策が何もなされません。もう2023年ですよ。21世紀に入って1/4が終わろうとしてます。いい加減、対策をまじめにやれよと今回の事件と、その少し前に流れてきた学習塾講師の性犯罪を聞いて結構腹を立てています。やろうと思えば簡単にできることをやらないのは、悪意や憎悪などの得体の知れない感情に基づく意図的な不作為であると考えざるをえません。

*****

人間性には見えない境界があると思うのです。

自ずから存在しており、尊重すべき境界。

他人の持つ境界を侵す自由は誰にもありません。