死神の消息を聞くたびにこの世界は色を鮮やかにする

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死神がご機嫌いかがと軽やかに尋ねてわらう初夏真昼（はつなつまひる）

他界からの風の便りになつかしい空のにおいがよみがえる午後

生まれくる前の場所へと還る旅　ひと息ごとに花が零れる

去り逝くと知ればすべてがいとおしい　傷痕さえも煌き果てる

重すぎる荷物をひとつ捨てたあとの空漠をただ抱きしめている

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脊椎がここにいるよと自己主張するように痛む長い長い夜

体芯を貫く光の道をもつ脊椎動物なんだ私は

走れないからだを生きて黄昏に追い越されたら火星になろう

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私から光も風も過ぎ去ってdepressionが支配する夏

致死量の悪意を解毒しきれずに悲鳴をあげた肝臓異変

ひんやりと白い機械のトンネルを出るたびに流れる時の砂

亡骸となりゆく日々を直射する生の証としての痛みは

ロキソニンだけでは消えない痛みのみ生の証として認めます

長生きも早死にするも親不孝だから間をとって早生き

通行人Ａを襲った悲劇より静穏な死を迎える準備

一歩ごと見えないドアに開かれる終りへの道果てしなくひとり

いつか君も齢（とし）を重ねてたどり着く道にしおりを残していくね。

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ありふれた病でたぶん逝くからだにはありふれた午後の紅茶を

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幾千の叶わなかった夢の実がさざめきながら僕に降る夜

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ほら、悪性新生物と呼べば癌もやんちゃな未知の小動物だ

転移した癌をチャルルと名づけたら一緒に生きていける気がした

☆参照： http://newmoon555.jugem.jp/?eid=516

再発した癌とともに生きてます。