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失恋9日目~さらに恋した一日

今日も残業を終え少し前に帰りつきました。
皆様いかがお眠りでしょうか? すいれんです。

今日わたしは1日非常勤の女医さんとの診療を担当、毎週水曜日は先生とは離れ離れの1日を過ごすのです。

先生から頼まれた仕事を出発前に終わらせねば…と院長室でデータをチェックし書類を整備しているところに先生が出勤してこられました。

昨夜、明らかにローテンションだったわたしに先生が気づかないはずはなく、帰りには、わたしがなかなか車を動かさないのに気付いて、駐車場の出口でわたしが後ろについてくるまでご自分の車を停めて待っていてくれた先生。
今朝出勤してすぐにも、昨夜やぶれかぶれ状態で切った短すぎる前髪にすぐに気づき、目の上でハサミで髪を切るジェスチャーをして「かわいい」と言った先生。
その時の先生の顔が近くて、3cmくらいの距離まで顔を近づけて「かわいい」と言われて、ときめかない女はいるでしょうか。

朝礼では、昨日の臨時往診前の検査に行ったわたしが、患者さんの異常を発見し早期搬送につなげたことを皆のまえで褒めてくれ、「すいちゃん、本当に経験豊富でいつも助けられてるんですわ」と言ってくれた先生。
そして、困難事例になりそうな予感の新患さんの診療帯同に、「すいちゃん、いいかな?」とマネージャーに断ってくれた先生。

決定的な失恋翌日に、この『デレ』はなんですか?

わたしをもてあそんでいるのですか?
それとも言葉通り、大切に思ってくれているのですか?

そんな答えはいらない。

皆の前で堂々とわたしを特別扱いしてくれた先生に、わたしは自分の思いに素直に行動するだけだと心を決めました。

『がんばろう』

そしてもう一人の男性看護師が担当している金曜日の診療について、先生は以前からわたしに担当してほしいと話されており、今日の帰りにほかの看護スタッフに、「月曜日金曜日は臨時往診が多いから、〇〇(男性看護師)に救急に飛び回ってもらって、それを帰りに僕が回収してくるようにしたい」と告示。
マネージャーは即座に「すいちゃんの負担が大きくなるから」と反論し、「私も診療に出ようかなと思ってる」と言いました。

最悪…

先生も同じことを思ったようです。
しかし先生は『全方向天才』です。
産休明けの看護師については「子供が小さいうちは発熱とかで不安定だからすぐ帰れるような体制にしておいた方がいい」と言い、マネージャーについては明言しませんでしたが、今日わたしが担当した非常勤の女医さんの診療で勉強する・『二人で帯同したほうがいい』ということを話し、先生の担当をすいれんに固定しようと説得してくれました。
そうでなければわたしは困るし、先生も「すいちゃんでないと僕の診療についてくれない、僕が困る」と常々言ってくれているので、今日以降、わたしの願いの上位は『先生の診療はすいれん担当』です。

その話のあとすぐほかの看護師は帰って行き、例のごとく駐車場で見張っているのかなにをしているのか立ち話をしていましたが、もう気にすることはなく、わたしは先生とコンビニに夜食を買いに徒歩で向かいました。

『こういうの、デートみたいで楽しいな』
と思いながら。

今日先生は診療する患者数も多かったし、無理難題を押し付ける施設長の対応、さらに仕事ができない+先生が嫌いなデブの男性看護師と一日一緒だったため、非常にお疲れでした。
夜食を食べ終え、少し仕事をしはじめましたが、明らかに白い幕に包まれたような先生を見て、「寝てきたら?」と言うと、先生は嬉しそうに笑って、休憩室に寝に行きました。

『もはや、添い寝を希望したい気分だわ』

とは思いましたが、自分の仕事もだいぶ残っており時間もないことなので、ひとりせっせと作業に没頭。

我慢できず二度ほど先生の寝顔を見に・寝息を聞きに行きました。
折り畳みのパイプ椅子でお尻が痛くなってしまったので、先生の椅子を借りて座りました。
それで少し作業しましたが、知らず知らず寝入ってしまうこと数回。

『そうだよ、昨日は1時間も寝ていないよ』

そう、ショックのあまり眠れぬ夜を超えてきたわたし、背もたれにしっかり持たれて体をあずけ、少し寝ようと思いました。
もう次の瞬間からの記憶はなく、本当にその状態で寝てしまい、気づくと1時間ほど経っていました。

『先生は?』

…まだ寝ていました。
先生を見に行くときに、自分も寝起きなのでうるさく動いてしまったようで、先生もすぐに起きられました。
天才は寝起きの状態でも血液データの数値から病を見つけ、治療法につなげていっていました。
本当に天才…そう思いながら、一人の患者さんの検討後すでに23時になるところだったので「もう帰るか」とクリニックを後にしました。

今日は口もきけないほどの状態で始まりましたが、やはりわたしは真のナースだと思い知る日となりました。

自分かどれほど悲しくても、その悲しみを出すことがもうできなくなってしまっているようです。
自分の感情を取り繕うことが上手になりすぎて、自分で自分が悲しい。

それでも今日も先生と過ごせた。

大好きな人がここにいる。

それはとても幸せなことだということ、再確認しました。

今日という一日に、素直に感謝です。

恋は続きます…

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