コンテクストデザイン

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ノート

露出過多と「意味のイノベーション」

イノベーションに求められることは、人が見いだす価値の「意味」を変革することだ。いま、ろうそくは光源ではなくむしろ「暗源」となり、電球よりも暗闇のある時間をつくっているように──。ロベルト・ヴェルガンティ教授の「意味のイノベーション」はTakramでのものづくりと共鳴する部分がある。特に一冊だけの本屋「森岡書店」や花と手紙のギフト「FLORIOGRAPHY」など。

2018年前半は、TakramC

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ありがとうございます。書籍化に向けて頑張ります。
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「意味のイノベーション」 TEDxプレゼンの日本語訳

デザインとその周辺を扱うポッドキャストTakramCastでロベルト・ベルガンティ教授の「意味のイノベーション」をテーマに収録をしたところ、Twitter上でちょっとした反響がありました。

イノベーションプロジェクトではよく「デザイン思考」が用いられますが、それだけでは片手落ちです。ときによって「意味のイノベーション」を使ったり、両者の要素を組み合わせたりできると理想。実際、欧州委員会ではこの二

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Message Soap, in timeの強い文脈、弱い文脈

「強い文脈、弱い文脈」の枠組みを通して、前回は一冊だけの本屋、森岡書店のことを考えた。

文脈の強弱はあくまで相対的なものだ。次の例として、向田麻衣さんという人物の活動を取り上げ、その文脈の強弱を(私の解釈や想像も少し交えて)考える。なお別項にあるように、Takramは向田麻衣さん率いるLalitpurとともに「Message Soap, in time」というプロダクトを手がけている。石けんのな

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スキ、嬉しいです。たくさんの「誤読」が重なりますように。
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森岡書店の「強い文脈」、「弱い文脈」

■森岡書店のこと

森岡書店 銀座店は、一冊だけの本を扱う、一室だけの小さな書店だ。店主は森岡督行さん。Takramもいろいろな形で関わっているが、お店のオープンにあたり、まずロゴデザインとブランドスローガンを制作した。

森岡書店は、一冊だけの書店です。
一冊だからこそ、解釈はより深く。
森岡書店は、一室の小さな書店です。
一室だからこそ、対話はより密に。
一冊、一室。
森岡書店。

森岡書店に

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Message Soap, in time ― いつ届くかわからない手紙

これはいつ届くか、ほんとうに届くかも分からない手紙だ。いたずらや賭けにも近い。曖昧で、投瓶通信のように頼りないメッセージだからこそ、ちょっと思い切った気持ちで本音を伝えられるのかもしれない。

蝋で閉じられた封筒型の箱を差し出す。開くと、一見普通のフェイス&ボディソープが入っている。泡立ちがいいから毎日使ってと手渡す。

受け手はひと月ほど経ったある夜、角が丸く溶けた石けんのなかから、うっすら

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長い文章、読んでくださって有難うございます。続けていきます。
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コンテクストデザインとは

見えない景色

良い映画は観たもの全員を語り部にする。人は作品に描かれている世界を語り、描かれていない風景をも語る。解釈をぶつけあう。このとき解釈の正否というものはほとんど意味をなさない。議論する人は皆同じ作品を語り合いつつも、異なる景色を見つめている。美しい同床異夢。ときにそれは通じ合う。

作品はいかに「語られる」のか。

ある歌人は、短歌はドーナツであるという。本当に大事なことは言葉にせず、

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強い文脈、弱い文脈

ハムレットに登場する有名な台詞 "To be or not to be, that is the question.” は時代によって色々の訳され方をしている。

「世に在る、在らぬ、それが疑問じゃ」としたのは坪内逍遥、1909年。

「このままでいいのか、いけないのか、それが問題だ」は小田島雄志の訳で、1972年。

「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ」これは2003年の河合祥一郎訳。

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コンテント、コンテクスト

パブロ・ピカソの『盲人の朝食』という絵画がある。頬のこけた盲目の男性がテーブルにつき、パンと水だけを摂っている。部屋も男性もその服も、すべて青みがかった重い空気をまとう。この絵を見て、ある美術評論家は「青の時代に描かれた一作品」と解説し、ある小学生はそれを「ちょっと不気味だ、お隣の井上さんに似てる」と思うかもしれない。ある通りすがりの鑑賞者は例えば「画家が盲人を描くということは、絵画に伴う『見る』

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読書リスト 2『宇宙と踊る』の料理と語源、科学と恋愛。

#読書バトン のテーマに合わせて先に「『波打ち際』の読書リスト ― 年末に読むおすすめ」で10冊を簡単に紹介したけれど、それぞれの本にまだ尾ひれがつきそうなので、続けていく。

冒頭に「物理学と文学の波打ち際」として紹介したのはアラン・ライトマン 『宇宙と踊る』だった。

先の記事で紹介した、空っぽのオーディトリウムのステージで練習するバレリーナの動きを物理学的に観察し、その跳躍が地球の軌道にどの

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実体、接線(の彫刻)

以下のテクストは、あるひとつの「もの」について記述している。これはなにか。

それは底面はもつけれど頂面をもたない一個の円筒状をしていることが多い。

それは直立している凹みである。重力の中心へと閉じている限定された空間である。

それはある一定量の液体を拡散させることなく地球の引力圏内に保持し得る。

その内部に空気のみが充満しているとは、我々はそれを空と呼ぶのだが、その場合でも

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