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Sonic Youthについて語ってみるよ⑥

 Sonic Youthの活動期間を下記の6つに分け、今回は⑥について。

①黎明期:1st EPから『Bad Moon Rising』
②確立期:Steve Shelley加入から『Daydream Nation』
③オルタナティブ期:メジャー移籍、オルタナブーム
④メジャーでの実験期
⑤Jim O'Rourke参加、加入による転換期
⑥Jim O'Rourke脱退~Matador移籍~活動停止

 これでひとまずSonic Youthについては最終回とします。他にもSYRとかコンピとか各メンバーのソロとか色々あるけど、それはまたいつかの機会に。


Rather Ripped

 2006年リリース作。まず本作での大きな変化として、5人目のメンバーであったJim O'Rourkeが日本へ移住するために脱退し、再び4人となって制作されたということ。Jim O'Rourkeの存在はかなり大きかったと思うが、それを感じさせない出来となっているのは流石。そして結果的にメジャーでの最後の作品でもある。
 まず全体的に非常に軽やかな音作りになっている。メロディがこれまで以上に際立っている。これまでの延長線上、ポップさと実験性を理想的な形で融合させた、と言うべきか。Thurston、Kim、Leeの3人のヴォーカルは穏やかさがあり、でもギターは時に荒々しく響き、それらをSteveの堅実なドラムがしっかりと支えている。結成25年を過ぎ、もはや円熟と言っても過言ではない。でも若々しさを感じるのもSonic Youthらしい。凄く良いアルバムだけど、どこか印象も薄い感じがする。個人的には好きなアルバムだけど。

The Eternal

 2009年リリース作。まず大きなポイントとして、前作のツアーメンバーであったPavementのベーシストMark Iboldが正式なメンバーとして迎えられて制作されたということかな。Markは元々KimとFree Kittenというバンドを組んでおり、彼女の推薦でツアーメンバーになっている。次に、『Goo』から続いて来たGeffinとの契約を終了させ、メジャーからインディーへと戻って来たこと。本作はPavementも所属するMatadorからのリリースとなっている。そして最大のポイントは、これがSonic Youthの最後のアルバムになった、ということ。当時はまさか最後になるとは誰も思っていなかったはず。
 1曲目『Sacred Trickster』から非常に疾走感のあるナンバーをぶつけてくる辺り、インディーに戻って来たことを高らかに宣言したかったのかな、と。次曲『Anti-Orgasm』も荒々しい曲で、ThurstonとKimによるヴォーカルが絡み合う。それだけでなく穏やかな曲もあるが、前作に比べると激しめの曲が増えており、やはりメンバーの気合、気迫が感じられる。メジャーでも好きなように演奏していたと思うけど、インディーの方が気持ちが入ったのか。個人的にはLeeが歌う『What We Know』やThurstonの『No Way』が好き。これからは新章が始まる、と言わんばかりの充実した内容。

 だからこそ、2011年のThurstonとKimの離婚、それからの活動停止(事実上の解散)には驚いた。特にKimがもうThurstonとは一緒に出来ない、と思ったみたい。離婚の原因もThurstonの不倫だし、そりゃあそうだろうな、と。後にThurstonはファンから責められたらしい(「俺は解散するとか言っていないのになぜそんなことを言われないといけないのか」と言っていたけど……)。2011年、バンドは南米ツアーの後に活動停止、そして現在へと至る、と。
 その後は各メンバーともそれぞれに活動している。個人的にはKimのソロアルバムが非常に尖っていて好き。Sonic Youthの実験的、前衛的な部分を担っていたのは実はKimだったのか、と思わせてくれる。
 Sonic Youthに関しては解散後、Bandcamp等を通して多くのライブアルバムが発売されていて、それらを聴くと新たな発見もあったりで楽しい。未発表音源もリリースされたりしていて、評価は今でも高い。
 
 多くのバンドや音楽シーンに影響を与えてきたSonic Youth。この文章で少しでも興味を持っていただいたなら、とても嬉しいです。それではまた。
 

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