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猫背と、わたし 〜底辺女二十六の野望〜Vo.5

あたらしい職場。

新しい仕事をするために、
あたらしい環境でいろんな人に挨拶をする。
少しでも早く仕事を覚えるために、体をこわばらせながら現場を見学する。

するとある人がこう、わたしに言った。

君さ、気をつけしてみ。横向いて。
そう、そうだよ。
胸張ってないと、自信なくみえるから猫背やめなよ。

ずん、ときた。
私自身でも、猫背である自分のことは分かっていたが、
そう簡単に人の習慣は治らない。

あぁ、見ている人は見ているんだな。
第一印象とか、身なりって大事なんだな、と思った。
そして同時に、この歳になってなんてことを注意されているんだろう、
という恥ずかしさもあった。
また、そんな恥ずかしいことを直接、そのまま言ってくれる人がいる。
まだ出会って2回目くらいなのに、そこまで言ってくれる人がいるこの環境で
私はこれから働かせてもらえるんだという、引き締まる思いと
あったかい、ここなら大丈夫だ、自分はいいところに来られた、
という安心の思いが滲み出てきていた。

もちろん、猫背を直したいと心から思った、努力しようと。

そもそも、私の父親が猫背である。
それを見ていたわたしは、みっともないと思っていた。
でも、自分が成長するにあたってどうにもこうにも猫背になっていく。

しかし、今思えば私は、高校生のころ猫背がなおっていたのではないかと
思い出した。
どうしてか、意識していたからだ。
猫背を直そう、、、ではなく、胸を張ろうと。
、、、、、、、、、、自信がない自分を隠すために。

私はバレーボールで高校をスポーツ推薦入学し、
一年生の頃から先輩のポジションを奪って、レギュラー出場していた。
しかし私には、そんな胸を晴れるポジションが自分には似合わず、
見合ってないと思っていた。
もちろんバレーを嫌になることはないけれど、こんな私でいいのか、
チームを代表して、プレーをする身分なのか、いつも迷っていた。
でもそんなことを、先輩や敵チームにばれてしまっては、いけない。
だから、胸を張った。自分を大きく、自身ののある人間だと思わせるために。
そして、自分自身に暗示をかけるように。
勝負をする人間としてふさわしくなるための術だった。

私は、高校3年間を胸をはっていた。猫背ではなかった。

そして、真剣勝負をする環境から卒業後。
私の猫背はまた、丸く、丸くなっていった。
胸を張る必要がなくなったから。
無理に自信を外側から出さなくても、良くなったから。

仕事も好きなことをした。自信もついてきていた。
でも、猫背はなおらない。
それどころか、仕事に集中し、デスクワークが増えるため、
ひどくなっていったように思えた。
そして、自分が猫背であることも忘れていた。

しかし、いまここで、胸を張らなくてはどうする。
本当にやりたいこと、をやれる時がきた。
今は、自信はないけれど、外側から、自信をつけるとき。
胸を張るときなのだ。

バレーボールをしていた時は、
自信がないことを隠すために胸を張っていた。
仕事を始めてからは、胸を張らずとも自信を持ってやっていた。

そして、これからは
好きな仕事を胸を張って、自信をつけながらやりたいと。

とりあえず、ネット検索して
ランキング1位のサッカー長友選手がプロデュースした
猫背矯正用のプロテクターを購入。
形から入るのは、基本である。

私は、変わりたい。そして、変わる。



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