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生きているだけで

トンビがただ飛んでいるのが不思議で、
女の子二人が海岸に座って、
あのトンビ何考えてるんだろね、
なんて呟く演劇を作ったことがある。

鳥は大空を飛ぶ。
花は咲く。
そこに何のために、ということはない。
しかしそれがそのまま生命の充実になると、
ホモ・クーランスの哲学は言う。


私はと言えば、
ただ生きているだけで、今とても空虚だ。
何も感じない。
ホモ・クーランスの考え方で言うなら、
自身の中で、
生命体としての感度が落ちているのだろうと思う。


生命の、充実。

ただ、生きているだけで。


ただ、生きているだけで、
それがあるはずなのに。
ただ、それだけで、
生命の充実になっているはずなのに。

生きて"いこう"と思った瞬間、
私たちはいつも
それを失ってしまうのだろうか。

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