東京五輪と戦艦大和

日本政府は何がどうなっても東京オリパラを強行するらしい。小池都知事も一時的に中止の考えもよぎったようだが、自分のためにどちらが有益か天秤にかけて、開催に賭けたようだ。いずれにしても無謀な賭けである。

なんのかんの言っても、実際に開催され、日本選手の活躍が大きく報じられれば国民はもろ手を挙げて喜ぶだろう、そして政権の支持率も上がり、総選挙でも勝てるだろう、との思惑があると思われる。

しかし、果たしてそんな風にうまくいくだろうか? 日本のコロナ対策は初動から完全に失敗し、複数回にわたる緊急事態宣言、ワクチンの確保の出遅れなど、後手後手どころか周回遅れと言わざるを得ないし、戦術的に愚策である逐次攻撃的な対応を続けている。これを太平洋戦争の失敗になぞらえる知識人も多い。・・ノモンハン、ガダルカナル、インパール等々。筆者は日ロ戦争時の「203高地」が真っ先に思い浮かぶが。

百獣の王ライオンは子ウサギ一羽捕まえるにも全力を尽くすと言われるが、コロナ対策で必要なのは正にこうした姿勢だ。まず行うべきは「宣言」ではなく「ロックダウン」であり、生活物資と生活費の補償、大々的な検査と隔離の徹底であった。これは「武器」であるワクチンが国中に行きわたるまで、唯一有効な手段であると言っていい。

話を東京五輪に戻そう。コロナが収束していないこの状況で開催に突き進むのは、あたかも太平洋戦争末期、敗戦が確実となった状況で、護衛機もなく片道分の燃料で「出撃」していった戦艦大和の姿そのものではないだろうか。国のリーダーが無知、無恥、無能、無策、無責任であるがゆえに数多くの善良な国民がその尊い命を奪われた。日本はコロナとの戦いに完敗したのに、更に犠牲を増やそうとしてる。まさに狂気の沙汰と言わざるをえない。


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