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ウィザードリィProving Grounds of the Mad Overload


 皆さん、こんにちは。「ダンジョン飯」を読破したところです。木賃もくちんふくよし(芸名)です。

 個人的には前半の方が面白かったかな。ヒロインも前半のイモっぽい方が好きだし。
 いや、物語的には丁度良いぐらいの長さでちゃんとまとまってたので後半も楽しめたんですが、むしろこの物語こそ、

 (´・Д・)」サザエさん的に、
 ダラダラ続けられたのでは。


 って思ってしまうのである。
 いや、もうこの辺は好みの問題なので何とも言えないんですが、漫画的に言うと「妖怪退治をするバトルもの」があるとすると、だいたい初期の「小物の妖怪を頑張って倒していく話」の方が好きなんですよ。

 パターンとしては、最初の頃の「弱い敵だけど倒し方にクセがある」とか「怪物の側にも事情がある」とか「主人公が弱いからこそ工夫をして倒す」って方が面白みを感じるんですよね。その作者の考えや、構築世界が見えるので。ええ。

 しかし、これが段々と敵も強くなり、主人公たちも強くなると、


 (´・Д・)」ただの
 バトル漫画になる。


 しかも、主人公が特別な力を有してる、なんて事が判明して超絶インフレ能力バトルになりがち。それも決まって「〇〇の血を受け継いでいる」とか「人間と〇〇のハーフ」だとか「半神半妖」なんて設定だし。
 この展開があんまり好きじゃない。いや、別にサザエさん的にマンネリをしゃぶり続ける展開が好きな訳ではないが、インフレ展開よりは描きたいものが描けてる気がしてならないのよね。ってか、インフレ展開に、作者がもう描きたくなくなってるのに描かされてる気がしちゃうと言うべきか。

 この点で「ダンジョン飯」は後半もインフレはしなかったし、特に中弛みもなく、物語も収まるところに収まって終わってるから楽しめたんですが。ええ。

 まあ、前半に不満点がないかと言うと、そーゆー訳でもないんですが。

 例えば、ワタクシは飲食業界にいて30年ほど経つので、食材の扱いや調理方法についての話はかなり面白く読めた。だがその一方で、


 (´・Д・)」架空の食材だから、
 何とでも出来ちゃうわな。


 って冷めた気持ちがひょっこりと顔を出してしまうのである。
 いや、架空の食材が悪い訳ではない。前述のように作者の構築した世界を垣間見る事ができる設定は面白みを感じる。だから、冷めちゃう気持ちをそこが補ってくれる訳で、最終的に面白く読めた。
 ちなみに、全編を通して一番面白かったのは「動く鎧」が貝類の群生(?)だったって設定である。
 ミミックがヤドカリなのも面白かった。

 ちなみにワタクシは飲食業界よりも、ファンタジー好きの方が歴が長い。
 なので、ファンタジー好きとしては夢魔が蜃(シン。中国の妖怪)だったり、サキュバスが蚊だったり、と言うような設定はワクワクした。
 そして、この作者が何歳で、どんな人物なのかは知らないが、おそらく、


 (´・Д・)」ウィザードリィが
 好きなんだろうなァ、、、


 って思ったので、親近感が湧きまくったのである。そう。「ウィザードリィ」とは、ファンタジー系コンピュータRPGの元祖とも言われる作品であり、ワタクシはこの作品が大ファン。
 いわゆるボードゲーム、つまり現在で言うTRPG(テーブルトークロールプレイングゲーム)をコンピュータに移植した、ほぼ開祖とも言える作品である。
 そして、同時に「特定アイテムを狙って、ひたすら周回を繰り返す」系の始祖。つまり諸悪の根源とも言える。

 この作者が、おそらくウィザードリィ(とソレに類するゲーム)が好きなんだろうな、と感じられる箇所がそこかしこにあり、作者なりのウィザードリィの解釈が「ダンジョン飯」なのではないかと思うと実に楽しめた訳だ。
 なお、これはワタクシの勝手な想像だが、作者は末弥純(ウィザードリィ)より、米田仁(ソーサリアン)派だと思う。
 で。これも憶測に過ぎないが、作者はFC版ウィザードリィのファンだと思う。

 そして、ワタクシはPC版ウィザードリィのファンであり、このPC版ウィザードリィには、


 とんでもない
 欠点があった。




 (´・Д・)」ロード時間が長い。




 立ち上げに2分ぐらい。迷宮に降りるのに1分。ステータス確認に30秒。ステータス画面を閉じるのに20秒。
 敵モンスターと遭遇から戦闘までで30秒。戦闘終了から移動再開までに30秒。


 (´°Д°)」いわゆる
 クソゲーなのよね。


 「ドライブの 寿命縮むぜ ウィザードリィ」という俳句が読まれる(ログイン誌)ぐらいに、ひたすらディスクドライブにアクセスしている。とにかく、ずっとロード時間なのである。(違法コピー防止プログラムの所為なのですが)
 いや、ゲーム自体も冷静に考えると単調で、ただひたすらモンスターを狩るだけ。物語もないし、地下10階あるダンジョンも、実質、1階、4階、9階、10階しか行かなくていい。
 しかも9階は通り道でしかなかったりするから、実質的に1階と4階と10階にしか用事がないのである。
 更に、主人公たちのレベルが上がったら、10階にしか用事がないので、1階エレベーターから4階、4階エレベーターから9階、9階から落とし穴(滑り台)で10階に行き、魔物を狩るだけ。
 しかもグラフィックは稚拙な癖に、ロード時間がクソ長いからちっともサクサク進まない。(FC版は高速です)


 (´°Д°)」クソゲーやん。


 だが、これが何故か面白い。
 面白かった理由は色々あると思うが、ワタクシが思うに、


 (´・Д・)」ロード時間が
 長いからこそ面白かった。


 と思っているのである。


 (´・A・)、 何を言ってるんだお前は?


 そーゆー反応が来る事は承知しているが、何故ストレスでしかないクソ長ロード時間が面白かったかについて説明しよう。


 (´・Д・)」想像という
 遊びがあったからだ。


 待たされる時間が長い間、主人公達のパーティは「こんな雑談をしながら冒険してるんだろうな」というイメージで遊んでいたのである。
 キャンプを張るたびに、「さっきの敵は手強かったな」とか「さっきのお宝をさっさと鑑定しようぜ」とか、そーゆー会話をしてる物語を紡いでいたのだ。
 稚拙なグラフィックは、このモンスターはこんな動きをして、こんな生態なんだろうな、という想像と創造があったのである。

 ハッキリ言ってしまえば、ほぼあらゆるゲームにおいて、ロード時間が長い事はストレスでしかない。ロード時間の短さは正義である。
 しかし、ウィザードリィはその数少ない例外だと言えるだろう。

 まだまだ日本では西洋ファンタジーの人気がなく、作品も資料も少なかった時代。
 ショボいグラフィックだからこそイメージを掻き立てられたし、待たされたからこそ、作品世界を堪能できたのである。
 コレがワタクシがウィザードリィを未だに愛してやまない理由の1つであり、「ダンジョン飯」は同様に想像と想像を楽しんだ作者なりのウィザードリィ世界だと感じたからこそ、楽しめたのだ。

 ってな話を熱弁していた訳だが、これはおそらく、時代にそぐわない楽しみ方であり、懐古主義という訳ではないが、同じ楽しみ方はもはや失われてしまったと思うのである。


 (´・Д・)」実際、
 今のワタクシは
 待たされたくないし。


 この話をしていた時の知人も、


 (´・∀・`) やっぱ
 ロード時間の短さは
 正義っスよー。


 って言ってたし、更にそこから発展して、


 ヽ(・∀・) ロード時間と
 労働時間は短いに限る!


 って話で綺麗にオチもついた訳である。

 ※この記事はすべて無料で読めますが、ウィズ派もウルティマ派もダンジョンマスター派もそれ以外も、投げ銭(¥100)をよろしくお願いします。
 なお、この先には懐かしの洋RPGの話しか書かれていません。


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(´・Д・)」 文字を書いて生きていく事が、子供の頃からの夢でした。 コロナの影響で自分の店を失う事になり、妙な形で、今更になって文字を飯の種の足しにするとは思いませんでしたが、応援よろしくお願いします。