見出し画像

TRPGの達人


 皆さん、こんにちは。シドニィ・シェルダンの売れ方から考察するに、売れる為に必要なのは面白さではなく、宣伝でしかないと思う。木賃もくちんふくよし(芸名)です。


 (´・Д・)」 あ。シドニィ・シェルダンは結構好きよ。


 誤解なきように言うと、シドニィ・シェルダンの作品は「ゲームの達人」の前編がめちゃくちゃ面白いが、他は「まあまあ面白い」ぐらいで、著作の半分以上は読んでると思う。

 ちなみに、「真夜中は別の顔」(1973)や、前述の「ゲームの達人」(1982) また、「明日があるなら」(1985)などが代表作に当たるが、


 (´・Д・)」 日本で
 ヒットしたのは
 1990年ぐらいなのよね。


 ぶっちゃけ日本でのベストセラー入りは、翻訳したアカデミー出版の功績である。

 選出、翻訳、宣伝、出版もすべて同社によるものだが、特筆すべきは、

 英語→日本語→日本語→日本語


 という日本語から日本語への翻訳を行なった事である。

 "I went to school today"

 ↓

 「私は今日、学校へ行った」


 翻訳物にありがちな堅い文章になってしまう。海外小説が日本でイマイチ売れないのは、この訳文が原因の一つだと言える。

 だから、意訳して「日常的な日本語の文章」にする。

 「今日は学校へ行ったんだ」


 ここに、物語の状況やキャラクタ性などを加味して、


 「ちゃんと説明聞いてた? あたしは今日、学校に行ってた。それで充分でしょ?」


 ってな具合に日本語から日本語に訳したのである。まあ、これ自体は特に珍しくも何ともない。だが特に、アカデミー出版のそれは、文章の大幅カットや加筆、構成の入れ替えなども行い、日本人向けに「小説1冊まるごと」を「意訳」した。
 
 ちなみに、意訳とは一つ一つの単語や文章にこだわらず、全体の意味を考慮して訳すこと。
 ことわざ慣用句などがわかりやすいだろう。

 Easy come, easy go. → 簡単入手、簡単退去。


 簡単に手に入るものは、簡単に去る。→ 悪銭身につかず。


 こんな感じだ。これを小説1冊全体でやった訳である。そして、それを物凄いことのように「超訳」と謳い、宣伝した。
 アカデミー出版から発売される以前は早川書房から発売されていたが、あんまり売れてなかった訳ですよ。
 要は内容も変わってないのに、売り方が上手かった。だから売れた訳だ。10年前の作品であるにも関わらずね。

 つまり、面白さとヒットに関係はない。

 (´・Д・)」 ゲームの達人の前編が
 面白かったことは認めるけども。


 さて。
 ここからが本題となるのだ、ぶっちゃけ前振りは「ゲームの達人」からタイトルを拝借したに過ぎない。
 なお「ゲームの達人」の原題は、"MASTER OF THE GAME"だったと思うが、実は、ゲイリー・ガイギャックスも"MASTER OF THE GAME"と言う本を執筆している。


 邦題は「ロールプレイングゲームの達人」


 簡単に言うと、ドラクエに代表されるようないわゆるロールプレイングゲームを遊ぶ為の手ほどき書である。
 ちなみに、コンピュータゲームではなく、ボードゲームの方。

 日本ではTRPGと呼ばれている。テーブルトークRPG。簡単に説明すると、言葉だけでやるごっこ遊びだ。


 進行役「君たちの前には巨大な石の扉がある。どうする?」
 戦士役 「そりゃ、開けて進まないと話にならないだろ」
 盗賊役 「待って待って。罠があるかも知れないから調べるよ」
 僧侶役 「じゃあ、まず僕が『感知』の魔法を使って、周囲の異変を調べるよ」
 進行役 「それでいいかい?」
 戦士役 「いいよ。そうしよう」


 こんな感じで進める「ごっこ遊び」だ。
 正確には、言葉だけでなく、己の分身の能力を記した紙「キャラクターシート」(ゲームのステータス画面)と筆記用具、進行に無作為性を持たせるサイコロ(与えるダメージが腕力+サイコロの目と言うように使用)なども用いられる。

 ぶっちゃけ、言い方は悪くなるが、子供は本物のごっこ遊びに興じられるから、ごっこ遊びを卒業したけど未練がある中学生以降の子供や、小説の中の世界を「より没頭する形」で堪能したい大人向けのゲーム、と言う訳だ。

 ちなみに、ごっこ遊びはイヤでも卒業しなければならなくなる。
 一番の理由は「世間体」だろう。そんなの気にしねえ!ってメンタルを持ってたとしても、一緒に遊んでくれる友達もそうだとは限らない。
 よしんばそこをクリアしたとしても、遊び場や時間の確保が困難である。

 そして何より、

 子供のように走り回る
 体力がなくなってしまうのだ。


 だからこそ、仲間さえ集まれば遊べるTRPGは根強い人気を持つ。

 しかし、スポーツの部活などと同じく、プレイヤー達の中に、メンタリティの違いって奴が多いに存在する。
 わかりやすい話、「スポーツをやるからには真剣に鍛錬して、勝ちたい!」ってタイプ「スポーツを楽しめて、運動になるさえなれば勝ち負けは気にしない」ってタイプだ。この2種はなかなか相容れない。

 ちなみに、TRPGには明確な勝利条件が存在しない。強いて言えば、プレイヤー達が協力し、進行役であるゲームマスターの用意したシナリオを完結させることである。
 中にはプレイヤー達の機転によって、用意された結末を覆す良シナリオとして完結する事もあり、それが醍醐味だったりもする訳だ。

 で。だとすると、基本的にプレイヤー達は、


 (´・∀・)」 みんな仲良し!
 協力プレイは強力だぜ!!


 となる筈だが、当然ならない。

 理由は明確である。ごっこ遊びでもスポーツでもコンピュータゲームでも同じだが、


 (´°Д°)」 俺が主役だ!
 俺に活躍させろ!


 って奴もいれば、


 (´;ω;`) 僕は魔法使いの
 役がやりたかったのに、、、


 とか、形は変わろうとも、


 (´・Д・)」 人間が集まりゃ
 揉め事は起きるのである。


 そして、かなり多い問題は、キャラクターとプレイヤーは分身同士でありながらも、別人格って事なのである。
 厳密に、コレを上手に使い分けできるプレイヤーは、


 (´・Д・)」 非常に少ない。

 マジで極端に少ない。


 例えば、ごっこ遊びで仮面ライダーになりきったとしても、子供は仮面ライダーになれる訳ではない。当たり前だが、バイクには乗れないし、叩かれれば痛いし、高くジャンプもできないのだ。
 しかし、全ての面において子供が仮面ライダーに劣る訳でもない。大人が潜り抜けられない遊具の隙間を通ることは可能。

 それと同じで、TRPGはプレイヤーとキャラクターは一心同体でありながら、一心でも同体でもないのだ。

 (´・Д・)」 例えば、頭のいいプレイヤーが頭の悪いキャラクターを演じる場合だ。

 多くのプレイヤーは、自分は頭がいいと思ってるので、頭の悪いキャラクターを演じられない。つまりはアホなのである。
 しかし、頭と質のいいプレイヤーは、バカなフリでゲームを進行させるのだ。

 理論上、アホが賢いキャラクターを演じるのは困難だが、頭が良いなら、バカな振りは出来る。

 例えば、冒険者達の行く手を阻む謎があって、プレイヤーに答えがわかっても、気付かないフリで、答えないでいる事は出来る。

 ここで、更に頭のいいプレイヤーは、突拍子もないバカな行動を取るのだ。

 しかし、バカな行動をしているように見せて、それが謎を解くヒントになったり、他のキャラクターやプレイヤーに気付かせる事も出来る。

 映画などでも、「お荷物」なキャラクターが土壇場で事件解決の手掛かりを見つけるシーンは興奮するだろう?

 これは最良とも言えるプレイヤーとキャラクターのパターンだ。

 (´・Д・)」 これは逆にも言える事で、プレイヤーが謎を解けなくても、判定でキャラクターに解かせる事も可能。


 魔法使い役 「誰も暗号の答えはわからないな。それじゃ、古文書のスキルを持ってるから、スキルを使って解読の糸口を探すよ」
 進行役 「じゃあ、サイコロを4個振って。目の合計がキミの『知識』の数字より下なら判定成功だよ」
 魔法使い役 「はい、14。以下? 未満? 僕の知識は14なんだけど」
 進行役 「うーん。完全に思い出した訳ではないけど、キミの天文学の古文書の知識から、いくつかの相似した記号があることに気付いたよ」
 魔法使い役 「ヒントだけかぁ。天文学。宇宙ねえ」
 僧侶役 「あ。このマークって、🌕が29個と、🌓が1個だから、月齢なんじゃない?」

 ってな具合に、キャラクターに謎を解かせる事も可能なのだ。

 しかし、これにも限度があって、プレイヤーの頭が悪すぎると、自分自身のスペックを勘違いするし、キャラシートの能力値を無視した設定を持ち出す。
 
 要するに、


 o(`ω´ )o 僕の演じる勇者ヴァヴリアスは、
 こんな謎ぐらい解ける天才って設定なの!!


 とか言い出すアホがいる。シートに記載されてる能力値を見ろ。知力8しかないやんけ。

 って事なのである。
 まあ、コレは極端な例だが、進行を妨げる、ルールを守れない、我が強い、マウント取りたがり、仕切り魔など、困ったちゃんは少なからず存在する。

 とても残念な事ではあるが、団体個人を問わずスポーツは出来ない、芸術を感じるセンスもない。当然、勉強も出来ないし、小説や映画で他人の人生を自分に重ねる事も出来ない。そして、世間体など捨てて、なりふり構わずごっこ遊びに興じる事が出来ない高いプライドの持ち主、つまり、


 (´・Д・)」 アホな上に、
 協調性のカケラもない
 幼稚なプレイヤーが、

 TRPGを逃げ場所に
 する事が多いのである。


 (´・Д・)」 TRPGというジャンルが根強い人気を誇りながらも、いつまで経とうとアングラなのは、割とこれに起因するんじゃないかと思ってる。

 てか、あらゆる趣味や日常において、進行を妨げる、ルールを守れない、我が強い、マウント取りたがり、仕切り魔など、困ったちゃんは後を絶たないんですけどね。

 ※ この記事はすべて無料で読めますが、いるよなって思った人も、気を付けようって思った人も投げ銭(¥100)をお願いします。
 なお、この先にはG・ガイギャックスの「ロールプレイングゲームの達人」についてのお話しか書かれてません。


ここから先は

351字

¥ 100

(´・Д・)」 文字を書いて生きていく事が、子供の頃からの夢でした。 コロナの影響で自分の店を失う事になり、妙な形で、今更になって文字を飯の種の足しにするとは思いませんでしたが、応援よろしくお願いします。