vol.10 (特別対談①)千葉大コーチ陣から見たアンザイワタル 【松下 侑介】【上野 裕人】

<特別対談企画として、東大ラクロス部24期、そして現千葉大ラクロス部コーチ陣の松下さんと上野さんの対談をさせていただきました。
10年以上ワタルさんの近くにいるお二人から見たアンザイワタルを聞いてみました!>


千葉大ラクロス部でのコーチ陣とワタルさん

羽生
まずは、千葉大ラクロス部のコーチ業について教えてください。お二人は今社会人としてもお忙しいと思いますが、どんな形でワタルさんと千葉大ラクロス部のコーチをされてるんですか?

上野
仰る通り社会人なので平日は練習に行けないけど、それ以外は基本的にチームに帯同してるね。最近リーグ戦が佳境に入ってからは落ち着いてるけど、シーズン前半は週2回土日にはチームの練習に行っていたな。平日も週に1回くらいのペースでMTGがあったり、直接会わなくてもLINE電話を使いながら映像で発展したり。

松下
平日に直接練習に行けないのはやはり大きいね。休日に僕らが参加できる練習で、平日にコーチがいなくても現役だけでやっておいて欲しい練習の導入をするんだけど、いざ現役に任せた練習の映像を見ると「全然コーチサイドの意図と違う!」とか、「GBのテンションがメチャクチャぬるい!」みたいなことはよくあるわけ。直接伝えられない分映像を通して練習を見ると変な危機感が出てきて、「このパーツが課題だから早く何とかしないとヤバイ」みたいな課題意識を持ったときはコーチ陣で歩調を合わせたり。

上野
今のチームの中で成長して欲しい選手はDFに多いから松下は大変だよね。

松下
上野にはしょっちゅう「お前は大変だよなー」とか言われる(笑)

上野
練習の内容自体ではないけど、チームのメンタリティの部分はワタルさんがいつも些細な部分までアンテナを張ってくれているから、実際に練習を動かすコーチや幹部の大きなフォローになってるね。ワタルさんはその辺りのスタイルがあまり昔と変わっていなくて、コーチとしては熱いままな感じだな。

松下
他の人が目を瞑ってしまうようなポイントでも、ワタルさんは中々目を瞑らないんだよな。そのあたりのワタルさんは確かに昔と変わっていない。

上野
ワタルさんとは違うけど、そういう松下のラクロススタイルもあんまり昔と変わってないよね。基本的に「不確実性排除型」のラクロス志向というか。「ゲームの入りはマンツーで」とか言いたがる、未だに(笑)

松下・羽生 (笑)

羽生
千葉大ラクロス部でのワタルさんはどんな感じのコーチ像でしょう?話の感じからすると、僕らが現役だったときに東大でコーチをしていたときとはあまり変わっていませんか?

松下
現役のときもワタルさんはいつも自分の近くにいたから客観的に見れているかわからないけど、東大にいたときのワタルさんと比べると今のワタルさんは情に脆くなった気がする……。
俺と上野が4年で幹部だっときのシーズンの春先に、ワタルさんを含めた当時のコーチ陣に、ここでは伝えられないくらい厳しいトーンで「今のチームのレベルでは全然ダメだ」ということを詰められた時があったんだけどさ……。

上野
あったあった(笑)

松下
その場の雰囲気がマジでシビアすぎて、俺とか普通に泣いてたんだけどさ。

羽生
え、マジですか?

上野
そう、当時の幹部陣のチームへの関わり方とかラクロスへの本気度合いが足りないということが露呈し、いきなり俺と松下と澤田(※当時主将)が招集されてさ。そんなシリアスな感じだとは思ってもみなかったから、なんならMTG行く前は「ダリィな〜」みたいなだらけたテンションだったわけ。そしたらワタルさんだけじゃなくて、ミシェルさん(※当時ヘッドコーチ)とかウドさん(※当時GM)にもボコボコに言われてさ……。

松下
そういう俺たちにとってはメチャクチャ印象深いイベントが現役の時にあって、あのシビアさは忘れられないわけよ。
一方で、今の千葉大も当時の東大みたいにまだまだ未熟だから、今度は逆に俺たちコーチ陣が厳しく現役に求めていくこともしなくちゃいけないことは認識していたんだけど……。
いざ、俺と上野は気合いを入れて実際にその場を迎えてみたら、当のワタルさんが超優しくて……。俺と上野は、「ん?なんか俺らが現役の時と違うな……」みたいな。

上野・羽生 (笑)

松下
ワタルさん、最近は現役の選手にメチャクチャ感情移入しちゃうらしくて。キャプテンが涙ぐんでいると、ふと見てみるとワタルさんも一緒に涙ぐんでるし……。

羽生
マジですか?なんか……女子高生みたいですね。

上野
イエス、リアルJK。


松下
現役に感情移入もしちゃうくらい千葉大の現役のことをメチャクチャ大事にしていて、千葉大愛がすごいな、と感じるね。

上野
そう、情に脆くなったのは間違いない。
あとは精神的にも若いよね、好きなことをずっと貫き通しているしさ。社会人になったり結婚したりすると自分の好きなことばかりやれないシーンも増えてくるけど、ワタルさんは自分が好きなことをしっかり貫いてやってるからね。

羽生
なるほど……。
色々お伺いしましたが、一言でまとめると、「千葉大でのワタルさんは情に脆くなった」ということですね。

上野
そう、そしてStay young。

羽生
Stay young、若さはしっかり保っていると。

上野
そしてStay foolish。

松下
お前のその訳の分からん小ネタ、全部録音されてるからな。


東大ラクロス部と千葉大ラクロス部の違い

羽生
東大と千葉大のラクロスチームとしての違いはどうですか?

上野
(地理的に)遠い。

松下
それはある(笑)

上野
真面目な話をすると、今まであまり気づかなかったけど、東大は今まで引き継がれてきたモノの蓄積はやはり大きいね。新歓もしっかりやって、広報もしっかりやって、リーグ戦はFacebookでLive映像配信とかもやってるしさ。
千葉大もワタルさんが頑張ってチームの基盤を整備していて、例えば保護者会が最近始まったりもしてるね。

松下
選手の力でいうと、千葉大には「お前そんなポテンシャルあるのか!?」みたいな奴が多いね。今のチームは40人くらいしか人数がいないけど、これから100人くらいの規模になって、今の高いポテンシャルを持ってる人の割合がそのままにチームが大きくなったとしたら千葉大ラクロス部は相当強くなると思うよ。人数が他の一部リーグのチームと比べて少ないことがラクロスが強くなるためにボトルネックになっている事情はあって、例えば人が足りなくて下級生が試合経験を積めないという問題があったりするね。

上野
確かにいい選手が千葉大には多いね。もう少しチームが置かれた環境が違ったらみんなメチャクチャ上手くなるんだろうな、と思う瞬間は往々にしてある。
そしてそれは松下の力不足でもある。

松下
なんでだよ(笑)

羽生
もし一つ、千葉大ラクロス部のこのポイントが良くなれば劇的にチームが強くなるだろう、ということは何かありますか?

上野
長期的な観点では新歓だね、それは間違いない。

松下
新入生が入部した後に、チームへ定着する習慣もまだ弱いかもね。

上野
あとは、良いコーチを千葉大の中から作ってあげる、ということも大事だと思うな。外部コーチの立場は選手と信頼関係を築くのに時間もかかるし、限界もある。松下と違って、普通は外部コーチは選手に対していきなり厳しいことは言えないからね。

松下
俺は千葉大からコーチオファーを受けたとき、「何も知らずにオファーしてるけど、俺はコーチやると結構怖いけど大丈夫?」というところから入ってるから。

上野・羽生 (笑)

松下
そう啖呵を切ったけど、タイシ(※当時ヘッドコーチ)の方が俺より全然怖かったから、結局は最後まで静かにしておいた(笑)


ワタルさんからのコーチオファー

羽生
社会人をしながら地理的にも遠い千葉大でコーチをするのは相当大変だと思いますが、シーズン最初にワタルさんからコーチ就任の打診があったときになぜ受けたんですか?

松下
実は以前、俺はDesafio(※社会人ラクロスチーム)でラクロスをプレーしていた時代に一度オファーは受けていて、そのときは断ったんだよね。

羽生
そういえば、松下さんはDesafioでプレーされていただけでなく、チーム幹部もされてましたよね。

松下
そう、幹部だったのに靭帯を切ってしまってプレーは出来なかったんだけどね。

上野
え、カンブ(患部)がどうしたって?

松下
だからチームの幹部なのに怪我のカンブ(患部)になっちゃったんだって。

上野・羽生 (笑)

松下
話を戻すと、一度コーチオファーは断ったのにまた次の年にも声をかけてもらって、最初は乗り気じゃなかったんだけど……。でもワタルさんも上手く向こうの話に乗せてくるわけよ。
「今年はお前じゃなきゃダメだから、今回は俺は引かないぞ」みたいなことを言ってきて、テンションも上がって、いつの間にか俺もその話に乗ってしまっていた。

上野
あのポジティブオーラで人を話に乗せる力があるんだよな。
松下、ワタルさんに「左利きで、シュートがどこからでも入る選手がいて、明らかに強くなるチームでコーチしがいがある」とか言われたらしいよ。

松下
そう言われた、そしてそれは結果から言うと、嘘だった。

上野・羽生 (笑)

松下
でもワタルさんと話していると、なんとなく俺がコーチをやってみたらチームが上手くいくんじゃないか、という気持ちにさせられるんだよね。俺もラクロスは好きだし、当時は怪我で自分が出来ないという状況もあり、一回千葉大の練習に行ってしまったんだよね。

羽生
ちなみに、コーチ2年目で継続するタイミングではいかがでしたか?

松下
コーチ1年目のとき、本当に関東学生一部に残留できるのかと思う辛い時間が結構続いたけど、でも終わってみるとやはり学生ラクロスは社会人とは違って儚くて、チームに携わるのはとても充実した時間だった。来年もコーチをやったらもっと何か前向きなことができるのではないかという思いがあって、継続させていただいたって感じかな。

羽生
上野さんはいかがですか?個人的には上野さんが千葉大のコーチをされるのは意外でしたが……。

上野
俺もワタルさんの話に乗せる力にやられたな。
急に丸の内に呼び出されて、コーチオファーをされたんだけど……。千葉大ラクロス部の話をしているワタルさんが楽しそうだったんだよね。まぁ、俺を誘うために若干話を盛った部分は多分にあると思うけど(笑)
最初は不安な部分もあったけど、いざコーチを初めてみると今のチームのOFリーダーも頼れる奴だし、仕事で忙しいときもフォローしてもらえるから、コーチとしては結構やりやすいね。いいOFチームだと思うよ。

松下
それならもう少し点取ってくれない?

上野
いやいや、松下コーチがゾーンDFにしてるからOF時間が短すぎるんだよ。

松下・羽生 (笑)

羽生
では2人とも、ワタルさん自身が楽しそうで、乗せられてしまったのが千葉大のコーチをするきっかけということですね。

上野
プラス、コーチオファーのときに話を盛ってくることは付け加えといてね。

羽生
わかりました(笑)


現役時代の二人から見たワタルさん

羽生
ご自身の現役時代、ワタルさんとの繋がりやワタルさんに対するイメージはどうでしたか?今、コーチとして一緒に活動するときと違いますか?

上野
俺のワタルさんとの最初の出会いは1年生のときのBチーム練習だね。茶髪に奇抜な格好をしたOBがいて、「1年の上野です、よろしくお願いします」って若干緊張しながら挨拶したら、「おう、知ってる。」とかつっけんどんに返されて、(なんだこのオッさん……)って感じだったな。

松下
俺たちが1年生のときは、ワタルさんは"Flash Movieを作る人"だった。なんかカッコいい動画を作ってるオッさんがいる!みたいな。

羽生
あのFlash Movieはかなり集客力がありましたよね。

上野
当時のラクロス界は相当な人が見てたでしょ。俺も情報教育棟(※)で見てたよ(笑)
(※東大駒場キャンパスのコンピュータ・ラボ)

松下・羽生 懐かしい(笑)

羽生
当時は、ムービーの作成やBチームのサポートで、今より影ながら支えるポジションとしてチームに貢献されていたんですね。

上野
あと、今も同じだけど、ワタルさんは他の人の結構細かいところまで見てくれていたね。
俺が4年生のときの五月祭試合で早稲田に勝った直後、グラウンドで全員メチャクチャ喜んでいたんだけど、俺は副将というポジションということもあって冷静になってグラウンドのシールを剥がして片付けていたんだよね。
そしたらワタルさんがひょこひょこ寄ってきて、「お前も意外と成長してるな」みたいな感じでそっと俺に言ってきてさ。このオッさん、意外と人を見てるな〜と思ったね。

松下
俺が現役のときに感じていたのは、ラクロス部には"Blue Bullets-ism"みたいな思考の源流がウドさん、ワタルさんにあって、1年生くらいからその考え方を叩き込まれて4年生になって幹部として大成していく、みたいな流れがチームにあるなということで、感謝する一方で当時はその流れに抗いたかったという感覚もあった。今としたら若かったんだけどね。
ワタルさんは、今では「あの時のお前は嫌な奴だった」とか言うけど、それでもずっと関係を切らずにちょくちょく大事な話をしてくれたのはありがたかったし、そういうワタルさんみたいな、大きなチームの中で色々な思いを抱えた部員に対して一人一人に目にかけてくれる人は中々いないと思う。現役時代の俺は反発しようとしていたけど、今はワタルさんにオファーをされて千葉大ラクロス部のコーチまでやっているくらいだし。


上野
全然関係ない話なんだけどさ、この前千葉大の幹部コーチでLINE通話でMTGしていた時に、松下のLINEの画像に対してワタルさんが「バチェラー」って言い出してさ、松下がLINEの通話に出てこなかったタイミングで「おい、バチェラー!」とか言って(笑)
俺それ聞いた瞬間にもうDFの話なんか何にも聞けなくなっちゃって……。

松下
いや、マジでツボにはまって全然話聞いてねえの上野は。

上野
LINE通話しながらネットでバチェラー検索して……。

一同 (笑)



ワタルさんから受け取ったMeme

羽生
最後に、ワタルさんからご自身が学んだことや受け取ったもの、を一言で教えてください。

上野
「自然体」であること。周りの人から思われることはいい意味で気にせず、自分のやりたいことをしっかりとやること。社会人になると中々自分のやりたいことを貫くことは出来なくなってくるけど、ワタルさんみたいにしっかり貫き続けることも大事だと思い始めた。

松下
「そこら中に愛情を降り注ぐ」ことの大切さ。ワタルさんを見ていると、そしてその愛情はいつかなにがしかの形で返ってくるものではないかと思わせられる。俺も最初は反発してたけど、今や千葉大のコーチまでやっているし……。
環境が変わってちょっと疎遠になりそう、みたいなときでも、自分の方からベクトルを出して連絡をとるということは、幸せな人生を送る上で大事なのかな、とワタルさんを見ていて感じたりする。

羽生
松下さん、相変わらず話をまとめるのが上手いですね。

上野
まぁ、バチェラーだからな。

一同 (笑)

----------

松下侑介/Yusuke Matsushita

・プロフィール
東大ラクロス部 24期 #44 DFリーダー
2018〜2019年度 千葉大学男子ラクロス部コーチ
2014年〜 商社で増量中

・ワタルさんとの初めての出会い
御殿下グラウンドで練習風景を撮影するワタルさん。

・ワタルさんとの一番の思い出
昨年の入替戦に無事勝った後に交わした握手。
その他のわたるさんとの楽しいイベントは大抵記憶を飛ばして終わる。

・ワタルさんに一言
商社マンヤバいな〜っていつも言ってますが、どう考えてもわたるさんの方がヤバいです。40歳おめでとうございます。


上野裕人/Hiroto Ueno

・プロフィール
東大ラクロス部 24期 #51 副将
2019年度 千葉大学男子ラクロス部コーチ
2013年〜ひっそりと社会人

・ワタルさんとの初めての出会い
1年生で参加したB練@御殿下グラウンド。完全にフリーターだと理解していた。

・ワタルさんとの一番の思い出
3年生の時、MF長のオファーを受けるか迷ってたら(渋ってたら)、いいからやっちゃえよと言われたこと。
4年生の時、五月祭の後片付けしていたら知らぬ間に寄ってきて「お前も成長したんだな」と言われたこと。人が見落とす部分を感じられる人なんだなと思った事をいまだに憶えている

・ワタルさんに一言
死ぬまで人生をエンジョイしてください。ワタルさんから教わった、世界は知らない事に溢れているんだ、という体験を大事にして僕もパワーアップします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?