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たこ焼きとイエローモンキー

僕が17〜18歳の頃、まだ母親の焼き鳥屋を手伝っていたときに、お店に来ていた中年の男性がいました。

常連というわけではないのですが、たまに1〜2人でお店に来ては飲んでいました。

ある時、そのお客さんが連れの人と話しているときに「たこ焼き屋」をやっていることが分かりました。
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僕は小学校低学年の頃、土曜日の夜になると近所のセブンイレブンの前に止まっている車でおばちゃんが売っていた「たこ焼き」を買うのが毎週楽しみでした。

そのたこ焼きは、衣が厚くタコは小さいのですが、キャベツや天かすがいっぱいでソースがたっぷりかかっていて僕の中では今だに1番美味しいたこ焼きなのです。

(本場のたこ焼きにはキャベツが入ってないというのを大人になって知りました)

ちなみに、お好み焼きは「ふきや」が1番で、焼きそばは「たこ焼き太郎」が1番です!
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そのお客さんが「たこ焼き屋」だと分かると、僕はいてもたってもいられずに話しかけていました。

「僕、たこ焼き屋になるのが夢なんです!」


お客さんはビックリしていましたが、「じゃあ今度やってみる?朝早いけど大丈夫?」と、あっさりOKが出ました。

何日か後の朝8時頃、そのお客さんのお家に行くと、自宅のガレージでバケツに入ったタコ焼きのダシを混ぜていました。

「うちのたこ焼きは生地にヤマイモを混ぜてるから美味しいんや」とその人は言っていました。

混ぜ終わった生地とたこ焼きの具を乗せた軽バンで、いよいよ出動しました。


軽バンが着いた先は「国際センター」でした。


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その日は、「THE YELLOW MONKEY  “FIX THE SICKS” ツアー」のライブが18時頃から開催される予定でした。

僕は当時、先輩に連れて行ってもらったスナックで、年上のホステスさんに「JAM歌って」と言われたのですが全く知らなくて、CDをレンタルして猛練習したことがありました。


ただ、そんなにのめり込んではいませんでした。

しかし、「ザ・イエローモンキー」は人気の絶頂期で、昼から若い女性が集まってきていました。

僕はたこ焼きを任されて、1人で焼いていました。

任されるときにいわれたのは、「組関係の人が来たら、ケツ持ちはどこか聞かれるから、一本でやってますって答えろよ」と言われていました。

マンガみたいにショバ代を取られるのかな?と思って、面白くなってきました。

そうやって1人で焼いていると、色んな人が買いに来てくれました。

若い女性はもちろん、チケットを違法(?)で売っているダフ屋のおじさん、ヤクザ風のお兄さん。

そして本当に「どこがケツ持ってんの?」と聞かれて、「一本でやってます」と答えたら、「そうか、頑張れよ!」と言われました。笑

あ、意外とすんなり許されたな〜。


そうこうしているうちに16時頃になってきて、1人の女の子がたこ焼きを買いに来ました。

友達同士で買いに来る子は多かったのですが、1人で買いに来る子は少なかったので、何となく気になって声をかけていました。

「1人なんですか?」
「友達と約束してたんやけど、来れなくなって…」
「えっ、そうなんですか?チケットがもったい無いですね」
「うん、でも今から他に来れる人もいないし」

その子はちょっと寂しそうにしていました。

僕はたこ焼きを焼くのに一生懸命です。

「マヨネーズは、普通のとからしマヨネーズどっちがいいですか?」

「あ、普通ので」

僕は焼きあがったたこ焼きをその子に渡しながら、「あの、もしよければ僕もライブ行かせてもらえませんか?」と聞いてみました。


一瞬の間がありましたが、「え、いいんですか?1人で心細かったから助かるー」と言ってくれました。

「じゃあ、僕仕事が終わったらいきますね!」

「うん、じゃあこれチケット」

僕は初たこ焼き屋で初イエローモンキーのライヴを体験することになったのです!

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仕事が終わって会場に入り、ライブが始まりました。

その子からもらったチケットは前の方の席で、ステージから10列目くらいの席でした。

初イエローモンキーの第一印象は、「でけえな」でした。笑

ボーカルの吉井さんがとにかくでかい!

曲はあまり知らないので、正直ノレなかったです。

ライブも後半になり、「帰りどうしよっかな〜」と思っていました。

これ、もしかしてこのあと何かあるんじゃない?

と、ちょっと期待もしました。

その子は10代後半か20代前半、小柄でショートカットでした。

もしかしたら、もしかするかも?

と思いながら、ライブ会場をあとにして一緒に帰っている時、ふと彼女の顔をみると、何と…






鼻毛が出ていました。

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若かった僕は、女性の鼻毛を許すことが出来ずに、そのまま帰ってしまったのでした。


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