見出し画像

夏の思い出

久々に友人が帰郷するとのことで
親しい数名を誘い皇居周辺へ行く。

感染症対策もあり炎天下の屋外を
敢えて会合場所に指定したものの
流るる滝汗に耐え切れず即刻移動。
公園にある屋外喫茶に逃げ込んで
木陰の微風に感動しつつ話し込む。
とは言え緊急事態宣言下の東京は
会食の規定が厳しく長居出来ない。

顔半分をマスクに覆われた友人が
飲み物を口に運ぶ数秒間の素顔が
記憶の中と少しだけ歪んでみえる。
顔半分から連想する幼稚な素顔は
会えない時間の成長を描いている。

代わり映えしない私服の雰囲気と
ここ数年更新されていない記憶が
自分たちを一気に学生時代に戻す。

確かに会話の内容は大人びていて
あの頃とは違う部分も多いけれど
時間が巻き戻ったような気になる。

短い時間の再会ではあったものの
ここ数年分の愉しさが全部一括で
今日この日に集約されたみたいに
笑いの耐えない素敵な時間だった。

自粛生活以前から長らくひとりで
それに慣れてしまっていたけれど
やっぱり他人と過ごす時間もいい。

「明日からまたがんばれそう」と
「今からまたがんばらなきゃ」と
半分ずつせめぎ合って既につらい。

独りぼっちの部屋で明日を考える。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?